2017年
11月号
「自然環境の良さ」も六甲学院の特徴である

鍛え、蓄えた力を他者のために使う。この精神を忘れずに|関西屈指の文教地区“六甲”について

カテゴリ:教育・スポーツ, 神戸

伯友会 会長
石光 一郎 さん

六甲学院24期卒業生であり、31年間教員として、また現在は同窓会長を務める石光一郎さん。在校中の思い出や、約80年にわたり揺らぐことなく守られてきた六甲教育の根幹についてお話しいただいた。

凛々しい制服と輝く徽章、爽やかな六甲生に憧れて

―いつお邪魔しても、六甲学院の素晴らしい環境に感動します。

石光 保護者のアンケートでも「自然環境の良さ」が常に上位に入っているようです。校地内の庭園は里山の雰囲気をそのまま残し、入り口辺りにある東屋や池から遊歩道が続き、生徒たちが自由に歩けるようになっています。初代・武宮校長が残された大きな財産のひとつ、情操教育のための教材にもなっています。

―ご自身が六甲学院を目指されたのは。

石光 すぐ近くの高羽小学校に私が通っていた当時、毎年30人ほどが六甲中学を受験していました。町内にはたくさんの六甲生がいて、その凛々しい制服と制帽に輝く徽章に憧れ、私も受験したいと思っていました。そして、昭和36年に入学することになりました。

―厳しい学校という認識はあったのですか。

石光 子どもの頃から街角で先輩を見かける機会がたくさんあり、下校時などに生徒同士が帽子を取って最敬礼して別れる様子などを見ていました。当時「スパルタ」といわれた六甲学院が一風変わった学校だという認識は持っていました。でも、カッコ良くて爽やかだなあという憧れの思いのほうが強かったですね。

―在学中から六甲学院の先生を目指しておられたのですか。

石光 実はパイロット志望で在学中理系クラスにいました。高3の時に体を壊し、夢は叶わなかったのですが…。上智大学に進学してからは、教員かジャーナリズムの世界に進みたいという希望がありました。東京で出版社勤務を経て、昭和52年、六甲学院に教員として戻って来ました。

身に付いた「人智を超える絶対的な存在」への畏敬の念

―特徴はやはりキリスト教精神に基づく教育でしょうか。

石光 私が通っていた当時はカトリックの神父さんが校内に何人もおられました。とはいえ、特にキリスト教の教えを説かれたという印象はなく、日々の教えや校長の講話から「人智を超える絶対的な存在」があるのだということを常に学んだのだと思います。迷ったり、壁にぶち当たったりしたときに、お金や地位といったような世俗の価値観ではなく、絶対的な存在に立ち帰るという姿勢を無意識のうちに叩き込まれたのではないでしょうか。

―社会に出て、六甲学院で受けた教育が生きていると思われたことは。

石光 「作業の中で感謝しながら祈りなさい」という教えですね。六甲学院では6年間、駅からのきつい坂を登って登校し、真冬でも裸足、素手でトイレ掃除をして、裸で走る等々、辛い作業や厳しい躾があります。入試に合格して入ってくる生徒ですから、やはり傲慢、我儘があり、それらを削ぎ落していく意図があるのでしょうね。お陰で社会に出ても、「歯を食いしばって物事に取り組む」という姿勢も自然に身に付いていました。また、5分前に予鈴が鳴ると、どこにいても直立不動で立ち止まり次の行動に移るという規則がありました。社会でもその精神は貴重です。早めに切り替えて行動することが当たり前になっています。

時代に合わせ外見は変わっても教育の根幹は揺れ動かない

―OBが集まると、どんな思い出話が出ますか。

石光 やはり行事のこと、特に六甲学院の体育祭は独特ですからね。今ほどの人数はいませんが、「総行進」は中高の生徒全員が一糸乱れず行進します。私たちのころは夏休み中に登校させられ練習がありました。今は先生が指導することはほとんどなく、高3生が中心になって企画から指導まで全て生徒たちの手で進めています。

―75周年を過ぎ、新校舎も完成し大きく変わりましたが、OBとしてどんな気持ちでご覧になっておられますか。

石光 伝統を守り続けたいという思いはもちろんありますが、時代に合わせて軌道修正をしていくことも教育現場では必要なことです。私が高校在学中、第2代シュワイツェル校長の下、創設期の木造校舎は全て取り壊され新しい形の校舎になり、高校生の丸刈りが長髪に、校則の成文化など変化がありました。外見が変わることへの違和感や抵抗感はないですね。六甲教育の根幹は一切揺れ動いてはいませんから。これはOBがみんな感じているところです。歴史を見ても、戦前、六甲学院は「外国かぶれ」「敵性教育」などと世間から非難を受けた時期があり、戦後の民主主義社会では一転して「行き過ぎたスパルタ教育」などと非難を受けます。しかしそれは、世間の価値観が揺れ動いているのであって、六甲学院の精神は一切揺らいでいません。これは私たちが自負するところです。

―六甲学院の今後について。

石光 「次世代を担う若者の心身を鍛え、正しい判断力と実行力を育み、他者を愛し思いやる心を育てる」という教育の基本的な理念に加え、六甲学院にはキリスト教の理念に基づく教育があります。神への畏敬の念を持ち、鍛え、蓄えた力は自分よりも弱い人たちのために使う。これだけはずっと堅持してほしいと思っています。

掃除では上級生が下級生を指導する。六甲学院の伝統でもある

創設当時の面影の残る六甲学院旧校舎

「自然環境の良さ」も六甲学院の特徴である

寒さの厳しい冬でも上半身は裸で行われる中間体操

中学1年生の各クラスに配属される高校2年生の指導員

石光 一郎(いしみつ いちろう)
伯友会 会長

1948年、兵庫県宝塚市生まれ。1961年、六甲中学校入学。1967年、六甲高等学校卒業。上智大学外国語学部英語学科入学。1972年、株式会社「研究社」入社。1977年、アイオワ大学大学院修士課程を修了。六甲学院に着任し、教頭を経て2008年に退職。六甲ラグビーフットボールクラブ主将・部長、兵庫県ラグビーフットボール協会理事を歴任した

〈2017年11月号〉
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