2017年
11月号
2013年4月に完成した新校舎

六甲山の麓で開校以来80年ずっと変わらない教育理念|関西屈指の文教地区“六甲”について

カテゴリ:教育・スポーツ, 神戸

六甲学院中学校・高等学校 校長
古泉 肇 さん

開校当時、「何もない」と言われた山の中の環境が、今や自然に囲まれた「文教地区」と呼ばれる。かつて「スパルタ」と言われた教育が今、認められつつある。世間の評価がどう変わろうと貫き続ける不変の教育理念とキリスト教精神に基づく使命とは? 古泉校長にお聞きした。

理想とする教育にふさわしい立地

―文教地区と呼ばれるこの地に六甲学院が開校した理由は。

 六甲学院はイエズス会が世界に開設している200以上の学校の一つで、1938(昭和13)年に開校しました。候補地には宝塚売布とここ灘区伯母野山町が挙がっていたのですが、初代校長の武宮隼人神父が「この地こそが自分が理想とする教育にふさわしい」として選んだそうです。若干35歳での校長就任でしたので、近隣の先輩校長先生方から「何もない山の中、イノシシしかいない」と反対されたそうです(笑)。しかし校長は、自然に囲まれた環境で、坂道を上ると心身が鍛えられ、見晴らしが良くて広い視野を育める理想の地だと話しておられたそうです。その後、神戸では幾つもの名門といわれる学校が山の手に開設されることになり、この周辺は「文教地区」と呼ばれるようになりました。先見の明があったということでしょうね。

―環境が生徒さんたちに良い影響を与えているのでしょうね。

 自然の中で過ごすと、人間が本来持っている力が発揮されると思います。緑に囲まれていると学習効率も高まるとも言われ、また遠くを見渡していると社会や人間に目を向ける習性が培われるとも言われます。最近は理系ばかりが脚光を浴びていますが、六甲学院からは文系に進む生徒が増えてきているのも環境の影響があるのではないかと思っています。

他者を支える縁の下の力持ちになれ

―他者のために、他者とともに生きる人間とは。

 40年ほど前からイエズス会のグローバルスタンダートとなっている理念です。より多くの能力を持つ者は、より世の中のために奉仕しなくてはいけません。本校では学校の中だけでなく、社会や世界に目を向けた奉仕活動に力を入れています。福祉施設での奉仕やインドにあるハンセン病施設の子どもたちへの奨学金募金など、継続することが大切だと考えています。他者に奉仕するという精神が在学中から培われ、社会に出て他者のために活動するだけでなく、他者を支える生き方が身に付き、日々のほんの小さな行いにも現れているのではないでしょうか。

―「仕えるリーダー」というのもその一つですか。

 そうですね。他者を上から見て命令したり、自分の意のままに動かそうとしたりするのはリーダーではありません。リーダーはピラミッドの頂点にいる人と考えられていますが、それを反転させて一番下で支えるのがリーダーだという考えです。縁の下の力持ちのような存在です。

―真の国際人を育てるとは。

 国際人とは、国や言語、宗教などさまざまな壁を乗り越えられる人間です。ところが一番厄介な壁は自分で自分に作ってしまう壁です。思春期の子どもたちは自分で壁を作ってしまい、試験や進路の問題でも「どうせ…」とか「無理」などと言います。教員はそれを言わせないように後押しし、自分の壁を乗り越えさせる教育です。乗り越えられないまま卒業してしまうと、社会に出て他の壁を乗り越えることなどできません。多くの壁を乗り越え、多様な考えを持った人と交わり、お互いを成長させることができる人間こそが真の国際人になれるのです。

今までもこれからも、世間の評価に惑わされることはない

―厳しい教育が、今の社会で評価されつつあるようですね。

 開校以来、戦前から戦後にかけて同じ教育を続けてきたのですが、世の中の評価は「自由な学校」から「スパルタ教育」へと180度変わり、最近は良い評価を受けるようになってきました。私たちはずっと同じことをやり続けているだけで、世間の評価に惑わされることは全くありません。これからも形は少しずつ変わるかも知れませんが、同じことを続けていくだけだと思っています。

―古泉先生が在学中とは変わってきたなと思われる点は。

 生徒があまり反抗しないで先生の言うことをよく聞きますね(笑)。小さくまとまっているというのでしょうか。もっと自分を出して、果敢にチャレンジする精神が必要ではないでしょうか。そこで、今までの社会奉仕のための海外との結び付きに加えて、大学見学や研修などの行事を増やしています。決して全員参加の観光というのではなく、希望者が参加して体験を通して多くの人と交流できる人間性を育もうというものです。

―将来の六甲学院に思うことは。

 仕えるリーダーを育てるという私たちの使命は変わりません。グローバルでコミュニケーション能力があるなど、今の日本で求められている人間像は、470年前、イエズス会が学校を始めた当初から求めてきたものです。今まで通りに推し進めていくことが、現代社会が求める教育と一致するものだと考えています。

初代校長・武宮隼人神父が遺した言葉である

見晴らしが良く広い視野を育める理想の地でもある

蔵書約60,000冊の書架と視聴覚コーナー、インターネット端末機完備を誇る学習センター

「他者のために他者と共に生きる」を指針に様々な奉仕活動が行われている

2013年4月に完成した新校舎

初代校長の「永遠なるもののことを静かに考えよう」という教えから受け継がれる瞑目の時間

「他者のために他者と共に生きる」を指針に様々な奉仕活動が行われている

古泉 肇(こいずみ はじめ)
六甲学院中学校・高等学校 校長

1954年、神戸市生まれ。京都大学理学部数学科卒業。母校の六甲中学校、六甲高校にて、数学科教諭として勤務。1999年以降、新校舎建築委員長、教頭、校長として、学校改革に取り組む。2016年より学校法人 上智学院の評議員を兼務

〈2017年11月号〉
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