2017年
11月号

音楽のあるまち♬ 2 「スーパーストリングスコーベ」 第1回 定期演奏会開催

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 神戸

成長した私たちの演奏を楽しんでください!

兵庫県立芸術文化センターを拠点に活動する世界的指揮者、佐渡裕氏が最も愛するスーパーキッズ・オーケストラ(SKO)の卒業生たちが大人になって帰って来た。12月27日、初の定期演奏会を開催する。これまでの経緯や活動の意味を早駒運輸(株)社長の渡辺真二さん、神戸シーバス ブランディングプロデューサーの渡辺美香さんにお話頂いた。お二人はHKMエンタープライズ(株)として「スーパーストリングスコーベ」をプロデュースしている。

SKOとのご縁の始まり

 2010年、当時息子が通っていた甲南小学校のドッジボールクラブを創部した際、平生釟三郎先生の揮毫された『正志く 強く 朗らかに』平生精神を横断幕に掲げたいと甲南学園広報部にお願いに上がったご縁から、「甲南大学の甲友会館で佐渡裕氏とSKOの公開練習があるので聴きに来てください」と誘われました。この時が私たちとSKOとの出会いで、ちょうど東日本大震災の復興を願う演奏会「こころのビタミンプロジェクト」が始まった頃でした。そして、「日本医学会総会2015関西」の開会式での演奏、東北の吹奏楽部の中学生たちとSKOによる京都での合同演奏会の後、神戸に招待して船(神戸シーバスファンタジー号)に乗船していただくことになりました。

Tシャツから広がった人と人のつながり

 2014年、神戸の百貨店で開催されたバービー展の『もしもバービーがお洒落な神戸の企業で働いていたら』という企画で神戸シ―バスのユニフォームが採用され、たくさんの反響をいただきました。そして私たちは、皆様にもぜひ着ていただきたいと思い、セーラーカラーをモチーフにデザインしたTシャツを作りました。
 津波の被害にあった東北の子供たちにとって『海』は怖いイメージがあったと思います。ただ、島国に住む私たちにとって海は豊富な資源でもあります。そんな海を嫌いにならないでほしい、震災から復興した神戸港を思い出して、『いつか神戸のように』と夢と希望を持ってもらいたいと願い、子供たちにTシャツをプレゼントしました。
 その後、『次の演奏会にTシャツを600枚持って行こうと思う』という嬉しいお話をいただき、その一部を寄付させてもらいました。そして復興祈念演奏会の際、東北、熊本の被災地に私たちも二人で足を運びました。するとそこには、演奏者だけでなく地元の大人も子供もおじいちゃんもおばあちゃんもみんながTシャツを着て演奏を楽しんでいる光景が広がっていました。『共振しよう』という佐渡さんの熱い想いを体で直に感じ、言葉では言い表せないほどの感動を覚えました。

「続けてほしい」「続けたい」思いが一致して

 そして昨年大晦日には、神戸開港150年を迎えるにあたって、SKOの船上での演奏と併せて、復興祈年演奏会についても紹介するという企画が持ち上がったのですが、メンバーの年齢ではカウントダウンの時間帯には出演できません。そこで卒業生に声をかけると、東京、京都、海外からも30名近くがすぐに集まってくれました。佐渡さんの指導の下、少年少女時代を過ごした仲間ですからカンを取り戻すと、〝阿吽(あうん)の呼吸〟というのでしょうか、素晴らしい演奏で、聴く人たちに感動をもたらしました。「音楽を楽しんでもらおう」という姿勢を一人一人が持っているんですね。「この感動を多くの人に伝えるためにもこれで解散はもったいない」という声が上がり、今は別々の道を歩む卒業生たちからも「こんな機会があるのならぜひ続けたい」という声が上がりました。
 そこで、メンバーが集まりやすい年末の時期に定期演奏会を開き、神戸から発信する毎年の風物詩にできないかと提案しました。神戸新聞社さんにもご協力していただき、会場は松方ホールに決定し、いよいよ第1回目の開催です。
 卒業生たちは、「キッズの頃より成長した私たちの演奏を聴いてほしい」という強い思いを持っています。SKOの〝担任の先生〟のような役割を担っている池田明子さんに演奏指導や大人になった演奏家のための編曲など全面的にご協力いただき準備を進めています。初代SKOコンサートミストレス立上舞さんを迎えての弦楽オーケストラのほか、アンサンブルやソロもたくさん散りばめ、クラシックにとどまらずいろいろなジャンルの音楽も楽しんでいただく予定です。

無限の可能性を秘めた若い演奏家たちへ

 「スーパーストリングス」とは物理学の超弦理論であり、宇宙の全ての物質やエネルギーの根源を説明する統一理論で、未解明の部分も多い21世紀の夢の理論です。これからクラシック界で活躍する若い演奏家たちの未来に向けた無限の可能性にふさわしい名称です。ただ、時には壁にぶつかったり悩んだりすることがあるかと思います。そんなとき、『コーベ』が彼ら彼女たちにとって〝マザーポート〟になることを願っています。そして、昭和40年代の高度成長期をイメージした「スーパーストリングスコーベ」の文字には、「生き生きとした時代を取り戻そう!」という思いを込めました。
 人と人との繋がりやご縁によって、ようやくスタートラインに立ちました。神戸のまちに溢れる音楽を市民が楽しみ、神戸港が活気づき、賑わいが戻ってくる。そんな元気な神戸市、そして兵庫県に向けて若いメンバーたちが大きな力になってくれると信じています。

「スーパーストリングスコーベ」のみなさん。神戸開港150年カウントダウンクルーズファンタジー号にて

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