1月号
ぶらり私のKOBE散歩 Vol.14
えべっさんのお膝元・兵庫を歩く
井上 優
Inoue Yu
柳原蛭子神社宮司
人情味あふれる住みやすいまち…住む人がみな口をそろえて言う「兵庫」。1月9~11日は十日えびすで賑わう柳原蛭子神社の宮司・井上優さんに、周辺を散歩していただきました。ご近所のお店や、地元で活躍する滝川中・高の同級生を訪ねたり、なんだかほっとする新年のお散歩です。
創業90年・オリジナル焙煎のエキストラ珈琲株式会社
柳原蛭子(えびす)神社のすぐ南にあるエキストラ珈琲株式会社。1923年、コーヒーの将来性を感じた初代が創業。主に喫茶店やレストランなどにおいしいコーヒー豆を卸してきた。
神戸で初めてコーヒー豆の焙煎を手がけたのが、エキストラ珈琲。「コーヒー豆は産地によって味わいがちがい、それぞれの味の良さを引き出す独自の焙煎技術でローストしています」と、会長・濱田勝也さん(二代目)。「先代から引き継いだ、他にはない直火式の焙煎技術です」と、現社長・小室こゆみさんは話す。エキストラのコーヒーのおいしさを知っている人に小売りをすすめられ、オリジナル商品「珈琲開化」が神戸空港やひょうごふるさと館(そごう神戸店)などで取り扱われているほか、兵庫の本社でも販売。
毎朝、本社奥の工場で焙煎されるので、新鮮なコーヒーが楽しめると、地元をはじめ遠方から買いに来るお客さんも。唯一手がけられている紅茶銘柄はハイグロウン(セイロン)ティー。井上宮司はじめ紅茶ファンも多いという。
■エキストラコーヒー(エキストラショップ)
TEL.078-671-0135
神戸市兵庫区西柳原町2-1
10:00~17:00 土・日曜、祝日休
柳原蛭子神社と西国街道
井上さんが宮司として奉仕する柳原蛭子神社。柳原は兵庫の西の端、かつて兵庫は平清盛が人工の港「大輪田泊」修造に着手したことから、神戸の中心地として栄えた。
神社の北側には、江戸時代には西国街道から兵庫津への西の口となる「惣門」があったといわれ、番所が置かれていたという。京都と九州を結び、重要な幹線道路であった「西国街道」。この地は人の往来が多く、海陸の交通の要衝であったことがうかがえる。十日えびすの1月9日には、地元有志による淡路人形浄瑠璃「戎舞」が奉納されるなど、歴史文化を受け継ぐ、地元の神社として崇敬を集めている。
■蛭子神社
TEL.078-651-0183
神戸市兵庫区西柳原町5-20
柳原のえべっさん門前で80年 和食れすとらん「ちから」
戦前には、柳原蛭子神社の門前には活気あふれる「柳原商店街」が続いていたが、神戸大空襲でこのあたりは一面の焼け野原に。そんな商店街のなごりを残す唯一のお店「ちから」は、名物の「赤飯定食」をはじめうどん、そばとおなじみの定食メニューで、地元の皆さんやえべっさんへの参拝客におなじみの和食店。昭和9年の創業時は餅屋さんだったことから、今でも杵つきの自家製餅や、おはぎ、ぜんざいなどの甘味も人気。うどん、そばは、昆布だしに、かつお・さば・いわし・うるめの節とともに作る、代々受け継がれているおだしが自慢。
井上さんはもちろん子どもの頃からたびたび訪れており、好物はカレーそば。お赤飯とうどんのだしがよく合う赤飯定食(800円)、寿司にうどんかそばがついた穴子定食(810円)など定食メニューが多数。寒い冬にはなべやきうどん(800円)や、神戸名物の和牛すじぼっかけうどん(750円)もおすすめ。
■ちから
TEL.078-671-7296
神戸市兵庫区西柳原町6-8
11:00~20:00 月曜休
英会話の得意・不得意を解決 「パトス外語学院」
滝川中学・高校を卒業した井上さんの同級生が、神社近くで英会話学校を開いている。「パトス外語学院」の学長・福岡隆男さんが英会話の教師を目指し始めたのは、大学生時代。1980年代、アメリカを中心にジャパン・バッシングの嵐が吹き荒れていたが、その中で何も言えない日本人に歯がゆさを覚えていたのだという。「英語でディベートできる日本人を作りたい!」と発起し、大学では法学部英語コースを専攻、卒業後に海外へ留学、帰国後に現在の場所で学院を開いた。
授業は120分制で、外国人の先生の授業が1時間、日本人の先生(福岡さん)の授業が1時間で、先生が交代するのが特長。外国人先生との会話レッスンにプラスし、日本人先生が細かく指導をする、双方の先生の特長を生かしたプログラムだ。
生徒さんはOL、ビジネスマン、主婦など。初級入門から中級までの英会話を学ぶことができる。「英会話には得意・不得意がある。でも才能のない人にも才能を作ってあげられるように」と、福岡さんはさまざまな学習プログラムを研究している。
■パトス外語学院
TEL.078-671-8514
神戸市兵庫区小河通5-2-8 赤浦合名ビル201
教室10:00~21:00
月謝8,500円~10,000円(月約8時間授業)
手打ち生パスタが人気のレストラン「プルミエ」
長くホテルレストランにつとめた玉置貞敏さんが、「地元の人がファミリーで使っていただける、カジュアルで家庭的なお店を作りたい」と、15年前にはじめたレストラン「プルミエ」。ランチタイムにはママ友さんや会社員が集い、ディナータイムには家族や友人が集う、地元に愛されるお店。
名物は自家製生パスタ。毎朝厨房で作り上げられる、平たい手打ちの生パスタのもちもちした触感は、他ではあまり見られない。フレンチとイタリアンの良いところを料理に活かしたかったという玉置さんが手がけるソースは、トマトをはじめ旬の野菜をたっぷり使い、味わいがやさしいのが特長。家族でよく利用する井上さんは、メインはもちろんオードブルがお好み。その場で切っていただけるハモン・セラーノ(生ハム)や、その日の店内看板で前菜やメインを選ぶことができる。コース料理は3500円~、ランチは1000円~、季節のピッツァも人気。
■Premier(プルミエ)
TEL.078-579-1011
神戸市兵庫区大開通8-1-23
ランチ 11:30~14:45(L.O.14:00)
ディナー 17:30~22:00(L.O.21:00)
水曜日休
井上 優(いのうえ ゆう)
昭和42年兵庫区に生まれる。滝川中学、高校に6年間通い、大学は神職の資格を取得するために伊勢の皇學館大學へ進む。卒業後は石川県の白山比咩神社に奉職する。平成3年先代である父の後を継いで、柳原・蛭子神社の宮司を拝命し、現在に至る。