1月号
神戸のカクシボタン 第一回
写真/文 岡 力
「王子公園駅前でナマズ料理!」
私の独断で選りすぐりの「神戸情報」を紹介するこのコーナー。記念すべき第一回目は、前々から噂で聞いていた絶品グルメを求め一路、王子公園駅前へ。「創作小屋 いなかもん」は、今年で20周年を迎える老舗居酒屋である。
同店の看板メニューは、ナマズ料理。岡山県鏡野町のきれいな環境で養殖されたものを生きたまま仕入れている。まずは、厨房の生簀で黒く光る主にご挨拶。警戒心が強くデリケートな性格の為、一匹ずつ隔離されている。
まな板に乗せた途端、想定外の大暴れ…「すんまへん、すんまへん」と小声で謝り、早々に調理をお願いする。しばらくするとテーブルに「南蛮漬け」「うす造り」「にぎり」と次々に料理が運び込まれる。見た目は、鯛そのもの。早速、食べてみる…「なんじゃこりゃ!!」フグとカレイを合わせた味と形容されるだけあって驚きの美味さである。店主の國枝昭夫さんにお話を伺った。「知人に勧められ4年前からナマズ料理をお出ししています。味は淡白で、モチッ、コリッと海の魚にはない二つの食感が楽しめます。蒸し物、あんかけ、天ぷらと様々な料理に適した逸材です」。これまでナマズがこんなに美味しいとは知らなかった。目からウロコが落ちるとは、まさにこの事である。
最後に暖簾を見ながら國枝さんの出身地をお聞きした。「両親が共に神戸出身で生まれも育ちも御影です。田舎がないので憧れもあり名付けました」。素朴で温かみのある店内、食べた人間にしかわからない感動がそこにある。
■創作小屋 いなかもん
TEL.078-882-9279
神戸市灘区水道筋6-8
【営】5:00〜0:00
【休】水曜
■岡力(おか りき)コラムニスト
ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「大阪ロマン紀行」(大阪日日新聞)「ハコの十八番」(Whole Earth Magazine Fm Cocolo)
出演「おちゃのこSaiSai」(J:COMチャンネル)