3月号
ぐるっと淡路島散歩
木村 幸一
Kimura Koichi
淡路島観光協会副会長
淡路島の映画製作のため、淡路島の歴史や産業の調査を行ってきた木村さんは、淡路島全域に関する造詣が深い。くにうみ神話の舞台、食の宝庫、リゾート地、さまざまな顔を持つ淡路島をめぐり、紀淡海峡の守りの城「洲本城」跡、古い町並み歩きなど歴史的な一面と、とっておきのグルメをご紹介いただいた。
“道の駅”でご当地グルメをいただきます!
淡路島に数ヶ所ある「道の駅」には人気の淡路島バーガーや魚介類、地元野菜など新鮮な特産品が並ぶ。まず訪れた「道の駅東浦ターミナルパーク」では話題の「たこの姿焼き」を注文。淡路でとれたマダコを丸ごと焼いたご当地グルメで、「瀬戸内のタコはエビやカニを食べるので美味しい!」と木村さん。その場で熱々を食べるのが最高だが、地方発送も可。こちらでは新鮮野菜や週末には金時芋の「つぼ焼きいも」も出店。
「道の駅あわじ」では木村さんが考案したメニュー「淡路たまらん焼き」(250円)が登場。淡路の地タマゴに淡路の玉ねぎ、キャベツ、キヌヒカリの米粉を混ぜて焼いたもので、地タマゴと野菜の素材の旨さ、ソースのからみがたまらん~! 「淡路の食材を使った、安くて美味いもんを作りたかった」というのが木村さんの願いもかなって、発売4年で2万枚を突破!
道の駅東浦ターミナルパーク
淡路市浦648
TEL.0799-75-2119
無休 9:00~17:00(土日祝~18:00)
道の駅 あわじ
淡路市岩屋1873-1
TEL.0799-72-0001
無休(レストランは木曜休)
9:00~18:00
静寂の中でそばの味にむかう
棚田、畑など農村風景をめぐる道をゆき、小さな看板を頼りに進んでいくと、モダンなそば店「淡路翁(〜おきな)」が現れた。店内の窓からは、段々畑の向こうに海が見える。
店主の三木大さんは、日本を代表するそば打ち名人・高橋邦弘氏のもとで修行。師匠の紹介で淡路島に来て、約4年かけて今の場所を見つけたのだという。「海が見える場所でそばを打ちたい」という三木さんの強い思いを受けて、木村さんも土地さがしを手伝った。辺鄙な場所だが、そばの美味さが口コミで広まり他府県から訪れるお客様も。
粉を作り、朝からそば打ち。「そばを打つ喜び、食べる喜び、出会う喜び。3つの“喜”で三木(三喜)」との木村さんの言葉が店内にかけられている。
手打そば 淡路 翁
淡路市小田1157
TEL.0799-70-4201
月曜定休(祝日は営業)11:00~19:00
※15:00以降はそばがなくなり次第終了
木村さん一押し!これがおふくろの味の淡路牛丼
淡路島全域の飲食店が参加し、淡路牛と玉ねぎを使ってオリジナリティあふれる牛丼を作り出す「淡路島牛丼プロジェクト」。すっかり淡路グルメとして定着した淡路島牛丼は、木村さんも大好きで方々を食べ歩いたが、いちばんのお好みは富島にある「あわ路飯店 真心(マミー)」の「島っ子丼」(950円)、「玉ねぎの旨さをいちばんよく引き出している」とのこと。ご主人・倉本肇さんが大きな中華なべで厚切りの玉ねぎを炒めた後、淡路牛(A4ランク)とともに、割烹料理店から譲り受けたというだしで煮込む。玉ねぎの甘さととろけるような牛肉、ネギ、新鮮なタマゴ、コシヒカリとすべて淡路の農家から仕入れた食材がぜいたくにひとつの丼に。「真心」では、玉ねぎの入った「島ギョウザ」はじめ中華メニューが多数。女子高生しか注文できないまりも定食(600円)なんていうメニューもあり、家庭的なお店だ。31号線(淡路島サンセットライン)沿いに看板が立つ。
あわ路飯店 真心(マミー)
淡路市富島1660
TEL.0799-82-0219
水曜定休
11:30~14:30 / 17:00~21:30
石垣が美しい洲本城
城下町・洲本には、町家や商家など昔ながらのまちなみが残る一帯がある。最近では、町家を再生したレストランや雑貨店、地元食材の直売店などが集まる「洲本レトロこみち」が誕生。若い人たちが企画してイベントなどが行われ、多くの人が町歩きを楽しんでいる。
さて洲本城址にのぼってみよう。市内を見渡す三熊山に建てられた洲本城は、室町時代末期、熊野水軍の安宅一族が由良(洲本)に築城した島内の城のひとつとされる。廃城となった後は、石垣だけが残されたが、1928年(昭和3年)に昭和天皇御大典記念として鉄筋コンクリート製の模擬天守が建造されている。模擬天守としては国内最古のもの。
木村さんは城址の美しい石垣を絶賛する。石垣に囲まれた坂道をのぼると、木々からは光がこぼれおち、ふと歴史を感じさせる。とちゅう、「馬屋郭(うまやくわ)」といわれる開けた一角がある。由良の地、そして友が島など紀淡海峡をのぞむ。「昔は、ここから紀淡海峡を見張っていたのでしょう。海峡をわたって大阪城に攻め入る船がればすぐに備えられるように。山城がここに建てられた理由がよくわかる、良い眺めです」と木村さん。頂上の天守からは、大浜海岸と洲本市内を一望する、洲本八景のひとつ。
ボリューム満点のうどん 家族で大満足
続いて津名へ。静御膳のお墓があり、一億円の金塊で有名な「静の里公園」川隣のうどん店「ぜん丸」に。北海道の地粉をとりよせ国産小麦粉100%の手打ちうどんはモチモチの食感。利尻昆布と4種類の削りぶしを使ったこだわりのだし汁のうどんは430円~、揚げたて天ぷらの天ざるうどんなど、揚げたて、ゆでたての創作うどんや、淡路島とり天、野菜天などトッピングも迷ってしまうほど豊富なメニューで、どれもボリュームたっぷり。おすすめは淡路牛と玉ねぎの「淡路牛カレーのおうどん」、梅ご飯にぎっしり大きな具材を昆布で巻いた「元気巻き」。
代表の取田和起さんは木村さんの娘さんの同級生。店内が広くお座敷席もあるので、お孫さんなど家族みんなで訪れることが多いという。
創作うどん家 ぜん丸
淡路市志筑1170-1(静の里公園川隣)
TEL.0799-62-4834
月・水・木 11:00〜15:00/17:00〜21:00
火・金 11:00〜15:00(夜お休み)
土・日・祝 11:00〜21:00
※ラストオーダーは閉店30分前 無休
ゆっくりほっこり淡路島一周
「千年一酒造」の酒蔵通りなどおもむきある仮屋(かりや)のまち。漁港に近い漁師町だ。最近ではこの一帯で『酒蔵のある街あるき』マップが作成され、街歩きのイベントなども開催されている。
百田尚樹さんの小説『海賊と呼ばれた男』に登場する資産家・日田重太郎ゆかりの場所がこの仮屋にある。また、人形浄瑠璃の創始者で、淡路出身の植村文楽軒(正井与兵衛)の供養塔が建つ勝福寺があるのも仮屋。そんな歴史を感じながら、潮風に吹かれ、路地裏の街歩きを楽しむことができる。
淡路島一周150㎞をサイクリングで楽しむイベント「淡路島ロングライド」など、気候も道も良くサイクリング愛好家にも注目されている淡路島。淡路島一周は「アワイチ」と言われ、大小さまざまなイベントも開催されているのだとか。
木村幸一さん(きむら こういち)
写真家。写真館「淡路シネフォト」代表。CM制作やメディア関係に関わった後、淡路島の記録映画を撮影していた父の後を継いで淡路島へ。人材育成を目的にした「淡路ふるさと塾」塾頭。「日本吹き戻し保存協会」設立。淡路島観光協会副会長として、淡路島の魅力を島外に伝える活動も多い。東北地方太平洋沖地震・復興支援ネットワーク淡路島世話人代表。