8月号
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.6
文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍している元プロ野球選手が経営する、阪神間の店舗・施設等をご紹介します。
Vol.6 「勇者に立ち向かった野武士 栗橋茂さん」
阪急・近鉄・南海…関西に私鉄3球団があった頃。豪快なスイングで目の覚めるようなホームランを放ちパ・リーガーを熱狂させた選手がいる。和製ヘラクレスこと栗橋茂さんは、東京都板橋区の出身。帝京商工高校~駒澤大学を経て1973年ドラフト1位で近鉄バファローズに入団。当時は、阪急ブレーブス黄金期。そんな中、野武士と呼ばれた猛牛軍団の主砲として勇者に立ち向かった。「あの時の阪急は、本当に強かった。5点リードしていてもひっくり返されそうで恐かった。チーム自体は、地味だったけどね(笑)」西宮球場で印象深かったエピソードについてお聞きすると「阪急という球団は、とにかくファンとの交流やサービスを大切にしていた。試合前だというのに福本豊さん、バンプ、そして競走馬がグランドでレースを始めた事があった。あれは、ベンチで見ていて鬼気迫るものがあったね」。
1979年のリーグ優勝を機に政権は、近鉄へと移行していく。自身も1977年以降は、10年間に渡り二桁本塁打を記録し球史に刻む。晩年には、阪神タイガースとのトレード話も浮上した。しかし「生涯、近鉄」を貫き通し1989年現役生活にピリオドを打つ。「あの時、阪神に行っておけば…ほんと後悔だよ」と冗談交じりに当時を振り返る栗橋さん。
現在は、藤井寺球場があった場所からほど近い場所でスナック「しゃむすん」を経営している。店内には、現役時代に使用していた備品や球場の装飾品を展示。まさに近鉄バファローズ博物館である。お手製のアテとお酒で乾杯。パ・リーグ談義に花を咲かせる至福のひと時。神戸からのビジターも大歓迎である。
しゃむすん
大阪府藤井寺市
藤井寺1丁目2-6
【営】20:00~翌1:00
日・祝休み