12月号
神戸のカクシボタン 第二十四回
写真/文 岡 力
「後世に伝えたい料理」
1964年創業、ニューミュンヘン神戸大使館は、全430席を誇る老舗のビアレストランである。ビアホール王国における神戸の大使館になって欲しいという創業者の想いが店名に由来している。名物メニューと言えばジューシーで弾力性のある「唐揚げ」。言わずと知れたビールの相棒である。同店では、厳選された丹波の地鶏を仕入れている。こだわりの製法でヘルシーに仕上がるため、客が追加注文する光景をよく目にする。開業以来、三ノ宮のランドマークとして神戸っ子に愛されてきたが平成7年1月阪神淡路大震災でお店が全壊。長らくの休業を余儀なくされた。
リニューアルオープンに向け始動した際、レストランと並行して醸造所の建設が計画される。復興への思いを込めて誕生した「大使館ビール」。ラベルをよく見るとイラストの時計は、震災のあった5時46分を指している。現在、「港神戸ヴァイツェン」と共に関西一円の系列店にも出荷している。
店長の長田 政吾さんにお話しを伺った。「昨年、50周年を記念して震災前に親しまれた『マトンステーキの銀串焼』『国内産 牛ロースの剣串焼』を復活させました。大変好評でしたのでブランドメニューとして現在も提供しております」。後世に伝えたい料理をいただきながら一年を振り返る。今年も本連載に携わることができ感謝。いよいよ忘年会シーズンが到来する。みなさま酔い・・・お年をお迎えください。
ニューミュンヘン神戸大使館
神戸市中央区三宮町2-5-18
11時30分~22時30分
※ランチタイム 11時30分~14時 年中無休
岡力(おか りき)コラムニスト
ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「大阪ロマン紀行」(大阪日日新聞)出演「おちゃのこSaiSai」(J:COMチャンネル)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)