12月号
草葉達也の神戸物語
ゲスト: 前澤 弘明さん
(ミュージシャン)
楽器を一切使わないプロアカペラのグループとして、日本の草分け的存在の【チキンガーリックステーキ】。バリトン担当の前澤弘明さんは神戸在住で、前職は高校教師という変わり種。お話しを聞いてきました。
草葉 前澤さんは神戸のどちらの出身ですか?
前澤 私はその昔、兵庫区だった北区の鈴蘭台です。
草葉 昔は有馬まで兵庫区でしたよねー。そうですか、私も北区育ちですよ。鈴蘭台もいましたし大池で育ちました。
前澤 じゃ同じような環境ですね。
草葉 周りが自然で北区はいいですよねー。どんなお子さんでしたか?
前澤 それこそ夏はカブト虫やサワガニを採りに行ったり、六甲山へ紫水晶を採りにいったりしましたねー。
草葉 全く一緒です(笑)
前澤 自然が遊び場でしたね。
草葉 結構食べ物もありましたよね?
前澤 ありましたねー、アケビとか野苺とかグミとか。
草葉 よその家の柿とかね(笑)
前澤 そうそう(笑) ようするに、お金の全くいらない遊びができましたよね。
草葉 そういう時代でした。私は街中でも育っているので、いかに水が飲める場所があるか、どうやれば自動販売機のコーラを二本抜くことができるかとかね(笑)
前澤 そうそう、こうやってひっぱるやつねー(笑)
草葉 私は荒田小学校や湊川多聞小学校も行っていましたが…。
前澤 私の奥さんは荒田小学校ですよ。
草葉 えっ! おいくつですか?
前澤 僕と一緒なので、草葉さんと同級生ですよ。
草葉 へー、じゃ落語家の桂あやめも同級生です。
前澤 そうなの?
草葉 そうですよ。奥様によろしくお伝えください(笑)
前澤 いやー世界は狭いですね(笑)
草葉 そんな前澤さんが音楽に出会ったのは?
前澤 イルカさんなんですよ。後にも先にも女性のパネルを家に飾ったのはイルカさんだけです。女性というより、アーティストという憧れだったのでしょうね。伊勢正三さんの歌で売れた方ですが、私はイルカさん自身の楽曲が好きでしたね。ファンクラブもずっと入っていて、初めてコンサート行ったのも四十歳越えてからです。
草葉 じゃお会いしていないのですか?
前澤 直接は。
草葉 へぇー、でも絶対会えますよ!
前澤 それを楽しみにしています(笑)
草葉 高校の先生をされていたそうですが、なかなか辞めてミュージシャンになるなんて勇気いることですよね?
前澤 高校がコーラス部で、そこでハモるということにはまって、成人してから高校の先輩からアカペラグループに誘われて、それがめちゃくちゃ楽しくて、自主制作のアルバム作ったり、ライブやったりファンもたくさん増えました。もともとは音楽をやりたかったのですがプロになるほどでもないと諦めたという経緯があったのに、教師として生徒に「諦めるな」と言い続けているうちに、その言葉が自分にどんどん返って来て、本当に今の自分でいいのかと思うようになった時に震災がありました。やはりそこがきっかけですね。
コンサートにはたくさんの教え子が駆けつけてくれると笑顔で話す前澤さん。ますます活躍されるようお祈りいたします!
まえさわ・こうめい
1963年 神戸生まれ
アカペラグループ、1990年に神戸で結成したChicken Garlic Steak (チキンガーリックステーキ)のバリトンを担当
くさば たつや
神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員、大阪大学文学部研究科
阪南大学国際コミュニケーション学部非常勤講師
ひょうご老舗会実行委員長