2021年
12月号
12月号
神戸で始まって 神戸で終る ㉒
第6回展は「横尾探検隊LOST IN YOKOO JUNGLE」と題して、阪神・淡路大震災20年展(2014年4月12日~6月29日)が開催された。「探検」をキーワードに僕の幼少期の体験や中学時代の読書や映画体験が制作に与えた影響を、書籍やアーカイブ資料を交えて紹介する展覧会になった。
僕にとって探検というか、冒険は、幼少期に観たアメリカ映画「ターザン」が全てであった。その後、中学になって出会った南洋一郎の「新ターザン物語・バルーバの冒険」シリーズの本からの影響も非常に強く、特に画家に転向して以後の絵画のモチーフに度々、ターザンやバルーバが登場するようになった。
僕がターザン映画を初めて観たのは、まだ3〜4歳の頃だったと思う。記憶の中に「鉄腕ターザン」という題名が微かにあるが、まさか3〜4歳でこのような題名を記憶したわけではなく、後に印象づけられたものと思われる。かろうじて思い出すのは、密林の中を次から次へと綱渡りしていくターザンとチンパンジーの顔のクローズアップである。この映画を観た劇場は芝居も上演していたので、座席は升席になっていて花道があった。その花道に立って客席に向かって、僕は大きい声でターザンの雄叫びを真似した記憶がある。
美術家 横尾 忠則
1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。横尾忠則現代美術館にて「横尾忠則の恐怖の館」展を開催中。大分県立美術館にて「GENKYO横尾忠則」展を開催する。(12月4日〜2022年1月23日)
http://www.tadanoriyokoo.com