～TOOTH TOOTHが発信する「ハレの日常」～飲食店が人を集め、街を創りだす。

2021年
12月号

～TOOTH TOOTHが発信する「ハレの日常」～飲食店が人を集め、街を創りだす。

株式会社ポトマック　代表取締役社長　金指光司

神戸新港突堤西地区に誕生した『神戸ポートミュージアム』には劇場型アクアリウム「átoa」やブライダルデスク「VOYAGE KOBE」と共に、TOOTH TOOTHのフードホール「TOOTH TOOTH MART FOOD HALL&NIGHT FES（トゥーストゥースマートフードホール＆ナイトフェス）」がお目見え。街中からちょっと外れたロケーションへわざわざ行きたくなる、その魅力や役割について、（株）ポトマックの金指光司さんに伺った。

ポトマックがやらないで
誰がやるねん

…TOOTH TOOTHがセレクトした9つのショップが集結する神戸最大級のフードホール。まずは誕生の経緯から教えてください。

4年前、『神戸ポートミュージアム』の1階に設ける飲食フロアをプロデュースしてほしいという依頼を受けました。グランフロント大阪の「ウメキタフロア」などでコンセプト企画やテナントリーシングを手掛けていましたし、ましてや地元のお仕事ですから快諾しました。ところが神戸の色々な飲食業の方にお声がけしても全て断られてしまうんです。プロジェクトの進行途中で新型コロナウイルス感染症の流行が始まったこと、そして立地の悪さが主な理由でした。このエリアは港のツンドラ地帯（笑）、人の集まらない冷え切った場所というイメージがありましたからね。再開発プロジェクトのなかでフェリシモさんやジーライオンさんの本社が移転されてきたことは、神戸のワークパワーとしては非常に大きな期待が持てます。ただ人を集客していく商業エリアとしては、三宮から徒歩20分の立地に皆さんが二の足を踏まれるのも当然です。最終的には「ポトマックがやらないで誰がやるねん」と自らで運営することを決意しました。そうしてTOOTH TOOTHのショップをマーケットのように楽しめるフードホールを企画。“ハレの日常”をテーマに、生活をちょっと豊かに、楽しく、幸せになるような場を完成させました。

安心＆感動の仕掛けで
夜の経済効果も推進

…ホール中心部のバーは、天井が劇場型アクアリウム「átoa（アトア）」の巨大水槽と繋がっていて、魚たちを眺めながら食事を楽しむことができる驚きの設計です。

夜は光のゆらぎが強調されてデートにもおすすめですよ。昼は劇場型アクアリウムに来られるお客様の需要があると確信をもっていたのですが、ネックとなっていたのが夜です。どうすればナイトタイムエコノミーを推進できるか。神戸には小バコのいい店がたくさんあるものの、大バコ店は少ない。そこで思い出したのが世界の飲食店を視察して面白いと感じていたフードホールです。雑誌『タイムアウト』が展開するフードホールをはじめ、マドリッドのサンミゲル市場や台湾の夜市など。夜に安心して飲み食いができて、大勢のお客さんと楽しさを共有でき、高揚感もあるナイトスポットを、ホームグラウンドである神戸にも創りたい。僕は居酒屋的なワイガヤ文化も好きですが、お洒落な神戸の街のイメージを担保していくためにも、大人が昼も夜も“ハレの日常”を楽しめる、小綺麗な（笑）フードホールを作ろうと思いました。

食材、手作り、文化で
神戸のランドマークに

…神戸牛や神戸文化の洋食・スイーツ、神戸のクラフトビールや灘の日本酒など、神戸色を存分に感じられるショップ構成です。

神戸の美味が一堂に会する神戸のランドマークになればと思い、地元食材は積極的に採り入れました。生産者を応援・紹介することで、県外から来てくださった方が神戸を知るフックとなります。神戸を代表するブリュワリー『六甲ビール』さんのオリジナルクラフトビールやクラフトチーズ工房で作る自家製チーズなど、店舗で手作りする出来立てやライブ感にこだわっています。フレンチBBQ＆肉専門店では目の前でグリルする洒落たBBQスタイルで神戸牛を提供。神戸ビーフ指定牧場「神戸うすなが牧場」さんと長年にわたり信頼関係を構築してきたことで、お安く提供できるのも自慢です。

…立派なステージもありますね。

神戸はジャズ発祥の地ということもあり、音楽文化も外せません。神戸のバーの店主に選んでもらった音楽を数珠つなぎでご紹介していく企画もあります。若い頃、かっこええなぁと通っていた『ギルビー』や『コウベハイボール』など、昔ながらのバーがなくなってしまったこともあり、当時を知る僕達世代が、若い世代の人達と交流する場をつくり、継承しながら次のシーンをつくっていきたいとの想いがあります。音楽はもちろん、畜産農家さんや酒造メーカーさんなど、神戸の若い世代には熱い志をもった人が多いですからね。その一方で高齢化が進み、事業を継承できないと悩んでおられる方もいる。だから老若男女、皆で神戸を愛して繋がっていくことが大事です。当社は今年で創業35周年を迎えるのですが、今まで育てていただいた神戸に恩返しできるよう、人から人へ、地域や世代を超えて、繋いでいく架け橋となれるよう頑張りたい。僕達のブランドがハブとなり、皆と一緒にプラットフォーム機能の役割を担っていければいいなと思います。

飲食とは、街づくり
湾岸から活性化を！

…ここを一つの接点とし、そこから多様な動線が生まれ、皆が共に活性化していくという考えですね。

例えば、ニューヨーク・ブルックリンに人気レストラン「マーロウ＆サンズ」がある事で、たくさんの人が訪れて、街のカルチャーが生まれ活性化されていきました。いい飲食店があると、そこに街ができる。人の活気や癒やしとなり、希望になります。飲食にはそんな力があります。コロナ禍を体験し、飲食店は人に寄り添う大きな役割を担っているのだと再認識すると同時に、自分達の社会的な使命について改めて考えるきっかけになりました。水族館やフェリシモさんのチョコレートミュージアムなどとともに、湾岸から神戸が繁栄していく、お手伝いができれば嬉しいです。ここからさらに色々な新しいことが始まっていくでしょうし、僕達も飲食からライフスタイルへ、多くの人の共感を得られる本質を追求した神戸ブランドとしてさらに成長していきたいと思います。