2月号
草葉達也の神戸物語
ゲスト:堀 郁子さん(シャンソン歌手)
ジャズは神戸が日本での発祥地と言われていますが、シャンソンが日本一似合う街ではないかと常々思っています。北野町のバーあたりからふとシャンソンが流れてくると、神戸っていいなぁなんて再認識してしまいます。今回お話させていただいた堀郁子さんは、神戸在住のシャンソン歌手です。
「ご無沙汰しています」「いゃ~何からしゃべろう(笑)」「私は堀先生と出会った時の思い出があるんですよ」「なになに」「どこかのパーティーで堀先生に呼び止められて『あなた写真で見るよりハンサムね』って、おっしゃってくれたんですよ」「そうそう覚えてる。神戸にこんなハンサムいるんやって思ったよ」「ありがとうございます(笑)」「本当よ」「そんなことがあったので、一度お会いしてゆっくりお話が聞けたらと思っていました」「そう実現して嬉しいわ」
「堀先生は神戸生まれで」「そう神戸生まれ神戸育ち。あなたは?」「私も神戸生まれ神戸育ちです。どんなところからシャンソンを」「母がねピアノをやっていたの。まだ日本に数台しかないピアノが家にあって、姉もピアニストでした」「じゃ、子供の頃から音楽があったわけですね」「そうね。祖母もお琴やってたし、音楽は周りにたくさんありましたよ。それでね、叔父ちゃんが外国まわりの船の船長していたから、子供の頃からシャンソン聴いていたのよ~」「へぇ~ そこがシャンソンとの出会いですね」「たくさん人が集まる家でしたから、小さいときからわけのわからないまま歌ってました」
「私は親和女子なんですけど、祖母も親和で親和三代で・・」「それも凄い」「その学生時代に、みんなの前で歌ったり宝塚歌劇の男役の真似して歌ったりしていて大人気だったの。本当はずっと華道をやっていたから、そちらの道へという感じでしたけど、朝日放送の本当に最初の頃に入って、テストパターンを何度もやらされたわね」「朝日放送で」「そう、外国から大物歌手が来た時はバックコーラスから、着物を着て花束を渡す役もしたわね」「その頃シャンソンは?」「六年ぐらいやって、また華道にということになりかけたけど、二十七歳の時にあるシャンソンの先生に出会って弟子入りしました。今年で五十周年」「そうですか~ 今年はいろいろと計画されて?」「大きなホールを借りてやりますよ。私は『神戸の街にシャンソンが流れる』というのがテーマ」「一緒です。私も神戸はシャンソンが似合う街だとずっと思っていました」「そうでしょ!『パリに恋して、神戸の街にシャンソンが流れる』が、私のテーマですよ。似合うでしょ神戸とシャンソン」「似合いますね」「どんな歌が好き?」「私は、パリの空の下とか、ラヴィアンローズとかが好きですね」「そう」「はい、家でもよく聞いてますよ」「いや、私のも聞いて」「ぜひ聞かせていただきます。今年の五十周年のイベントも楽しみにしています」「ありがとう~」
震災までは、有名なシャンソン歌手の方やファンが集まる店をされていて、飲んで歌ってという楽しい思い出がいっぱいだったとか。対談後も、シャンソンの話で盛り上がりなかなか席を立てませんでした。私も本当にシャンソンが好きなので、神戸とシャンソンという堀郁子先生のテーマに協力していきたいなぁと思います。なかなか言われたことがないので、ハンサムと言っていただいて嬉しかった~(笑)
くさば たつや
神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員、大阪大学文学部研究科