1月号
神戸西地域の中核病院として充実
一般財団法人 神戸市地域医療振興財団
西神戸医療センター
院 長 深谷 隆さん
地域に密着した医療を提供する西神戸医療センターは今年、20周年を迎える。変化する社会や地域の状況に対応し、子どもから高齢者まで皆が元気に暮らせる未来のために新たな取り組みをはじめている。
地域のための医療を提供
―基本理念、基本方針を新たにしたということですが。
深谷 当院がなぜ存在するかという基本的な考え方は変わっていませんが、基本理念を分かりやすく簡潔に「神戸西地域に根づいた安心・安全な医療を目指す」と表しました。理念に基づいた7つの基本方針は大きく3つに分かれます。4項目は病院の役割、2項目は患者さんに対する私たちの姿勢を表し、最後の1項目は職員向けに「誇れる病院にしよう」というアピールです。どれも大切なことですから、職員たちはみんな、その精神を理解してくれていると思っています。
―神戸西地域というのは。
深谷 当院の患者さんの約8割を占める西区、垂水区、須磨区という神戸の西3区を神戸西地域と呼んでいます。地域医療課が中心になって、主にこの地域の医療機関や介護施設などと連携しながら診療を行っています。
―神戸市関連病院との連携は。
深谷 神戸市関連病院には5病院が属しています。機能面でそれぞれに特色があり、役割分担をして相互に連携しています。当院は神戸西地域を主に担当しています。また、神戸市全域の結核患者さんの入院治療をお引き受けしています。西市民病院とは患者さんが主に来られる地域が異なります。中央市民病院や先端医療センターには当院では対応できない患者さんの検査や治療をお願いしています。病気の急性期を過ぎてリハビリテーションが必要になった患者さんは神戸リハビリテーション病院にもお願いしています。診療以外にも、医師や看護師をはじめとする職員の交流を行っています。また、さまざまな情報交換の場を設けて市民の健康を守るという市関連病院の使命を果たすことができるよう努力しています。
―新しく、がん総合診療部も立ち上げましたね。
深谷 がん総合診療部は、当院が兵庫県指定がん診療拠点病院になったことから、今後はがん診療に特に力を入れるために立ち上げました。がん診療に必要なチームを医師・看護師などの多職種の医療スタッフで構成し、チーム医療を行います。がん診療に関連する専門的資格を持っている職員も多く、力を合わせてがん診療を進めようと意欲にあふれているところです。―設備面での新しい取り組みは。
深谷 手術室の利用率が100%を超え、当院の大事な役割の一つである救急医療に支障を来たすことも生じるようになりました。そこで、手術室を6室から8室に増室するため、昨年5月、工事に着工しました。本年8月、当院開院20周年に間に合うように稼働を開始したいと思っています。
子どもは皆、元気に育ち高齢者はこの街で幸せに暮らす
―小児救急の受け入れも充実していますね。
深谷 神戸市の小児救急体制は、基本的にはまずHAT神戸の神戸こども初期急病センターや西区にある小児科休日急病診療所で受診いただくことになっています。また当院でも、地域に根づいた医療を目指すという意味で週5日、17時から24時まで救急外来に小児科を開設しています。また、救急を行う小児科医の減少で神戸市の2次救急小児科輪番体制の維持が難しくなっています。これは神戸市全体の小児救急体制に支障をきたす大きな問題です。神戸市からの依頼もあり、当院でも一昨年7月から2次救急輪番に参加しています。
―若い世代も増えてきている地域ですから、心強いですね。
深谷 少子化が進む中、子どもたちが健康に育って欲しいと願っています。そのために私たち小児科医が担う役割は大きなものです。そして次の世代がたくさん生まれ育つことが日本の未来にとって非常に大切です。幸い、当院では産科の医師が充実していますので毎年、900から950人の赤ちゃんが誕生しています。周産期医療や新生児医療も充実させて、元気な赤ちゃんを安心して生んでいただきたいと皆で頑張っています。
―深谷先生は何故、小児科医を志されたのですか。
深谷 未来のある子どもたちを対象とする小児の医療には、子どもたちの笑顔という大きなご褒美があることが小児医療を目指した理由です。また当院の元院長、馬場國藏先生も、心臓病の子どもさんの診療を専門にされていました。私が医師になったころは、循環器ではエコー検査やカテーテルでの検査・治療が始まり、手術等の治療法の進歩もあって子どもの心臓病の医療が大きく進歩し始めた時期でした。その時期に馬場先生と出会い、医療の内容はもちろんですが、先生のお人柄にも魅力を感じて私も小児科医を志すことになりました。
―シニア世代も増えています。こちらも大切ですね。
深谷 もちろんです。今後ますます高齢化が進む社会で、医療と介護は非常に大きな問題です。高齢の方にはできるだけ住んでいる街をベースにして介護やかかりつけ医による医療を受け、必要に応じて当院のような急性期病院を利用していただくという地域包括ケアシステムを国が計画しています。この基本的な方向性に沿って、神戸市など行政とも連携して高齢の方の医療を進めていきたいと思っています。
―最後に、節目の年を迎えて今後の抱負をお聞かせ下さい。
深谷 地域に密着した医療と高度な医療の提供という西神戸医療センターの立ち位置をしっかりと把握し、新たなステップへと進んでいきます。
深谷 隆(ふかや たかし)
西神戸医療センター 院長
1973年京都大学医学部卒業。1976年神戸市立中央市民病院入職。1987年小児科医長。2000年に西神戸医療センター小児科参事に就任。副院長、院長代行を経て2013年に院長に就任。地域医療・救急医療の更なる充実や、職員にとって働きやすい職場づくりを目指す。
気持ちが通じ合ったときの嬉しさ ぜひ感じて欲しい!
―看護職の能力アップのための1~5のステップアップシステムを取り入れてますね。
井上 当院独自の教育システムです。新人教育としてステップ1から始めます。一人の新人と先輩看護師がペアを組んで一緒に学習するシステムを取り入れ、目標に沿った様々な研修も組み合わせています。ステップ2を経て、2年目から3年目でステップ3をめざして進み、概ね基礎教育が終了します。3年を過ぎると自分で興味のもてる分野に応じた専門研修や、院内教育委員会が担当する倫理研修や看護研究研修などを交え、ステップ4、5へと進みます。
―特徴的なことは。
井上 当院の新人ウェルカム研修は看護職だけでなく他の職種の職員も一緒に始めます。色々な職種が専門性を発揮しながら、みんなで患者さんの治療に取り組むというチーム医療の考え方を、しっかりと身に付けてもらおうと考えています。
―看護師不足は深刻ですね。
井上 2025年には全国で看護師が50万人不足すると言われています。当院も来年20周年を迎え、さらに発展しようとしていますのでまだまだ看護師が必要です。一緒に働いてくれる人を待っています。
―就職を希望する人の見学会、インターンシップとは。
井上 学生さんや既卒者を対象に土曜日や夏休みの平日に院内を見学していただき、インターンシップでは看護師に一日付いて歩き、現場の雰囲気を味わっていただいています。
―看護師のやりがいとは。
井上 看護のやりがいに対する大事な部分は、「気持ち」の問題ですから形には現れにくいものです。患者さんを始め、他のスタッフたちと気持ちが通じ合ったときの「やった!」という思いをぜひ、感じて欲しいと思っています。
井上敏子(いのうえ としこ)
西神戸医療センター看護部長
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西神戸医療センター 事務局総務課
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