8月号
連載 輝く女性 ⑥ 人と人のご縁をつなぐ、海の社交場にて
神戸をイキイキ輝かせるシナジー効果を
インタビュアー・伊藤 紀美子
第6回は、神戸港で観光船を運営する早駒運輸株式会社 神戸シーバスの渡邉美香さん。ブランディングプロデューサーとして、海を身近に感じて頂けるオリジナルグッズの開発や、神戸の様々な企業とコラボレーションしたイベントの企画など、みなとまち神戸の魅力を発信しておられます。
─本日はクルージングパーティ乗船前にくつろげるサロン「サロン・ド・エルミタージュ」に伺っています。神戸港には様々な観光船が就航していますが、神戸シーバスの「ファンタジー号」は女性クルーの方々が活躍していることで有名です。スタッフの皆さんの制服も素敵ですね。
平成10年に仕事に就いてすぐ、スタッフのモチベーションアップのため、セーラー服のリニューアルを手掛けました。元町のMANUAL LABOURさんにデザインして頂いたのですが、セーラー服って本当によく出来ているんです。カラーをたてれば声を聞きやすく、スカーフは止血、帽子のつばは雨よけ…、受け継がれてきた素晴らしい機能性に触れ、「故きを温め、新しきを知ること」の大切さを改めて認識しました。
─それが御社がスローガンとする「神戸ポート ルネッサンス」の始まりであると。
東洋の真珠と謳われ、セーラーマンで賑わっていた古き良き時代の「神戸港」の再生のために何をすべきか、何ができるか。そんなときにラジオ関西の桃田武司社長から「神戸経済の再生のためには神戸の文化を再発掘するべき。神戸港の歴史を繙き、灘五郷のお酒をはじめとする食と共に神戸の文化発信をしていく。文化が文明を作っていくのですよ」と伺い、感銘を受けたんです。クルージングで神戸の魅力ある資源の再発信をしていきたいと思いました。
─神戸の企業さんとコラボしたクルージングを次々と企画、どれも魅力たっぷり、大人気ですね。
有馬温泉の金泉を船へ運び、船上で足湯を愉しんでもらったり、神戸のベーカリーとコラボして開発した潜水艦ドッグをご提供したり。夏は「泡の会」、秋には「観月クルーズ」や「ボジョレークルーズ」など、多彩な企画を実施しています。
─しかし、船の上で実現するのは何かと大変そうです。
皆さまのパッションで実現しています。採算度外視で楽しみながらご協力いただいて。そういう意味では乗船されるお客様と、私ども、そして神戸の企業様とのご縁をつなぐ、海の社交場的な役割を果たせているのかなと思います。
─コラボ商品も評判ですね。「KOBE KO 銅鑼やき」、酒粕餡がとても美味しかったです。御社、福寿さん、凮月堂さん、神戸で創業100年を超える三社の良縁がうむ、まさに歴史香る風味ですね。
神戸開港150年記念酒、河川トンネル・湊川隧道で熟成させた『SAKE from KOBE-KO』の限定販売など、色々な企業様のご縁を頂いたコラボ商品も色々企画させていただいています。今後も海と山が織りなす1000万ドルの夜景、海から、船から仰ぐ神戸の山並み、日本一の酒どころと呼ばれる灘五郷のお酒、神戸の魅力や文化を発信し、人と人を繋ぐ港の発展のために前進していきたいと思います。
─山から眼下に見る神戸の夜景は全国的に有名ですが、海から眺める神戸の街や山並みもひけをとらないほど美しいもの。いつもと違う視点が楽しめるクルーズで、神戸の街の美しさをぜひ多くの人に味わってもらいたいですね。
渡邉 美香(わたなべ みか)
早駒運輸株式会社 神戸シーバス
新規プロジェクトチーム ブランディングプロデューサー
神戸在住。クルージング船〈神戸シーバス〉のブランディングプロデューサー。
『KOBE PORT RENAISSANCE』を掲げ、神戸の魅力を多くの方に伝えるために、在神企業とコラボレーションしながら、さまざまなクルージングイベントを企画・運営。HKMエンタープライズプロデューサーとして「スーパーストリングスコーベ」の活動支援およびプロデュース。
伊藤 紀美子(いとう きみこ)
田嶋株式会社 代表取締役社長
神戸生まれ。95年より同社社長に就任。02~06年神商議女性会会長、07年から国際ビジネス委員長。16年、女性初で神戸商工会議所の副会頭に就任。
田嶋株式会社/1899年、繊維を主体とした貿易商社としてスタート。会社創業110周年の2009年に美容&健康分野を新設。オリジナルブランドのスキンケア「PLUSUI(プラスイ)」を開発販売。同ブランドでナチュラルミネラルウオーターも販売