9月号
徒然なるままに Vol.8
内密出産とは
東京の賛育会病院は昨年3月から関東地区で初めて「ベビーバスケット」(赤ちゃんポスト)という、孤立した妊婦の出産を支援する事業を始めており、この1年で20人の赤ちゃんの預け入れがあり、そのうち7人が内密出産をしましたが、うち2人は出産後、育てることを決めたことを報告しました。
内密出産というのは、出産した病院の一部の関係者以外には身元を明かさずに出産することで、熊本の慈恵病院では2021年以来69人がすでに内密出産をしています。予期しない妊娠で孤立して苦しんでいる妊婦にとっては出産したことを誰にも知られたくない事情があり、産むか中絶するかの葛藤から、やむを得ず中絶に至ったり、医療機関にかからず、密かに自分1人で出産して子どもの遺棄にいたったりすることもあり、母子ともに危険な状態になることもあります。そこで母子ともに安全な環境で出産し、子どもの命を救う方法として考えられているのが内密出産なのです。
しかし日本では内密出産は認められておらず、厚生労働省と法務省は4年前にガイドラインを作成していますが、これでは安心して出産できないので国は法制化を検討しているところです。
内密出産について「無責任な性行為を助長する」など、批判の声もあるようですが、身元を明かさないでの出産以外に方法がなければ、中絶や母子が共に危険な状態の出産に追い込まれるという懸念があり、まずは何よりも子どもの命を救うことが最優先されるという考えから、法律より先行して熊本の慈恵病院と東京の賛育会病院が内密出産に取り組んだのです。大阪府の泉佐野市も来年秋ごろを目標に行政機関としては初めて内密出産も含めた妊産婦の支援を始める予定です。
法制化するにはいろんな課題があります。たとえば、子どもの出自に関する情報の管理と、子どもが将来、自分の出自に関して開示を求めた場合の手続きや、生みの親が開示を拒んだ場合はどうするのか、父親の責任のあり方はどう考えるのか、などなど。
次回に海外の事情を紹介します。

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