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映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』
女性初のエベレスト登頂から50周年
阪本順治監督と吉永小百合が13年ぶりのタッグでおくる冒険譚
“女性だけで海外遠征を”を合言葉に女子登攀クラブを設立し、日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として、世界最高峰エベレストの女性世界初登頂に成功した田部井淳子。その後も飽くなき挑戦は続き、生涯で76ヵ国の最高峰・最高地点の登頂を成功。その勇壮な生涯を壮大なスケールで描く映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』が、その偉業から50周年となる2025年10月31日に公開された。
主人公・多部純子を演じるのは今作で映画出演124本目となり、日本映画界を牽引する俳優吉永小百合。純子を支える夫・正明を演じるのは数々の映画賞を受賞し、圧倒的な存在感を誇る名優佐藤浩市。純子の盟友であり、エベレスト登頂の相棒でもある北山悦子役には、映画『最高の人生の見つけ方』以来6年ぶりに吉永とタッグを組む天海祐希。青年期の純子役は、俳優としての活動を軸に多方面で才能を発揮するのん。また、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずきと険しい高峰へ向けて実力派の俳優たちが揃った“パーティー”となった。
主演・吉永小百合、天海祐希、阪本順治監督が合同記者会見に登壇。本作にかける思いを語った。
Q.この作品が完成した現在のお気持ちを聞かせてください。
吉永 私は20代の頃、ちょっとした山ガールで山に登ることが大好きだったのですが、そのうちに登ることが辛くなり、スキーに転向しました。今はほとんど登っていませんでしたが、2012年に田部井淳子さんにお会いしてすっかり魅了されました。今回このような形で田部井さんをモデルにした作品に出演できるということで、嬉しく思いました。
天海 今回は小百合さんの盟友という役を仰せつかりました。「小百合さんとまたご一緒させていただけるなら」と思って飛び込み、阪本監督を先頭にたくさんの方々の熱意がこもった映画に仕上がりました。
阪本 私の監督作品の主演級がほとんど男衆なので、女優さん二人と会見に臨むのは初めてかなと思っています。本当にお二人には可愛がっていただきました。
Q.撮影中の印象的なエピソードを教えてください。
阪本 富士山での撮影は天候に左右され、何度もトライできる場所ではありませんでした。そして「これは4日目の奇跡を狙うしかないね」と朝4時出発くらいに山へ登り始め、そこで(多部純子・正明の)夫婦の素晴らしい場面が撮れたことが印象に残っています。「これで映画が上手くいく」という安堵感を得られました。
天海 吉永さんと一緒に山を登ったシーンがありますが、そのときに歩いた丘が『吉永の丘』と、小百合さんにちなんで名付けられたようなんです。そこに小百合さんと一緒にいられることがとても奇跡のようで嬉しくて。「なんて素敵なことなんだ」と一歩一歩、踏みしめて歩きました。
吉永 あの丘の景色のすばらしさと空気のおいしさ、そして天海さんと一緒にテントに入って歌を歌ったり、本当に友だちという感じで演じられたりしたのは、ずっとずっと思い出に残ると思います。それと私が歌を歌うシーンでは、天海さんは先に撮影を終えられたのですが、ずっとステージのわきで私が歌っているところを見守ってくださったんです。感謝、感謝です。
Q.吉永さんは田部井さんにお会いしたことはありますか?
吉永 2012年、私がやっておりますラジオ番組にご出演いただきました。そのときは東北の高校生たちを富士山に連れていくためのプロジェクトに対する想いをアピールされました。とにかく明るくて、なんでも話してくださって、お耳にはピアスをつけていらっしゃって。私が『登山家』と言ったら、田部井さんは「愛好者です」とおっしゃったんです。そういうところがとても謙虚で、「こういう方がエベレストに登ったんだな」という思いがいたしました。私より3センチくらい背が低くていらして、そういう方が大変な苦労をなさりながらも世界中の山を踏破しているということで、大ファンになりました。
Q.田部井さんをモデルにした純子を演じる上で心掛けたことは?
吉永 田部井さんの「一歩一歩、前へ」という心と、大変なご病気になっても「病人にはならない」と前へ進んでいらっしゃるところをしっかり出したいと思いました。
Q.純子を青年期から支えた悦子について、どのような思いで演じましたか。
天海 悦子さんは、純子さんのことが大好きだったんだと思います。悦子さんの夢を実現しているというか、人として、女性としてのバイタリティ、生き方、純粋な想いなど、悦子さんからするとキラキラしたものを、ひけらかすわけでもなく自分の中に秘めて毎日を大切に生きている純子さんがとても魅力的だったのではないでしょうか。すごく憧れていた人なんじゃないかなと私は受け止めていて、それは私自身の小百合さんに対する想いとリンクしていたんです。悦子さんが、純子さんを見つめる視線などは、私が見つめる先にいつも小百合さんがいらっしゃったときの気持ちと重なります。
Q.純子の青年期をのんさんが、現代期を吉永さんが演じていますが、2人についてどう感じていたか。
阪本 のんさんと吉永さんには、田部井さんの書物の中から印象的だった言葉などを箇条書きしてお渡ししていました。そして、そこから外れないようにやってもらいました。のんさんに対しては自在に生きているという印象があり、田部井さんとの近さを感じていました。
それと、吉永さんのデビュー当時の写真集を見てみたら、のんさんと目元がそっくりだったので、キャスティングをしました。(撮影は)吉永さんの場面からクランクインしたのですが、のんさんは、吉永さんの演じる様子を見学し、(演技の)リズムをつかもうとしていらっしゃいました。
Q.純子と正明(佐藤浩市)。夫婦の関係性はどうでしたか。
吉永 浩市さんは高所恐怖症だと仰っていて、私は「富士山はどうだろう」と心配していたのですが、七合目くらいではものすごく力強く私を引き上げてくださいました。だから高所恐怖症というのは“三味線”だったのではないかと私は思っています。それから、純子が、手が痺れて料理ができなくなるシーンでは、浩市さんが夫役として料理を作ってくださいました。すごく上手で、大根の面取りなども普段からやっていらっしゃるのか、奥様から教わっていらっしゃるのか謎なのですが、安心して夫婦の関係をお互いに演じられました。
天海 佐藤さんは、ご自分が出演していない現場での吉永さんのことも気にかけていらっしゃいました。役柄だけでない、佐藤さんの優しさが夫婦のシーンに滲み出ていたのではないでしょうか。
Q.吉永さんと天海さん。本当に親友になったら?
天海 小百合さんと親友だなんて、百万年早いのですが…。旅行がしたいです。これが実現するならカメラに付いて来ていただいて。私が全部企画して、小百合さんを(旅に)お連れします。
吉永 そうですね。私はいつも天海さんから500文字くらいメールが届くのですが、それで励まされることがとても多かったです。
Q.最後にひと言お願いします。
吉永 田部井さんは、「人生、八合目からがおもしろい」とおっしゃっていました。ちょうど私もその辺に差し掛かっています。これからも一歩ずつ、田部井淳子さんのように歩いていきたいと思います。
天海 自分が信じた道を一生懸命、一歩一歩、歩いていくということをこの映画を見て実感していただけたら。見ていただいた方の心に、田部井さんの想いや、スタッフ、キャストのみなさんの想いが届くように祈っています。
阪本 劇中には高校生たちがたくさん出ています。思春期の子どもたちにもたくさん見ていただきたいです。昨今、道標になるような大人を見かけなくなりました。ですから高校生のみなさんに「あなたたちの映画でもあります」と思っています。

【作品情報】
『てっぺんの向こうにあなたがいる』
出演:吉永小百合
のん
木村文乃 若葉竜也
工藤阿須加/茅島みずき 円井わん 安藤輪子 中井千聖 和田光沙
天海祐希/佐藤浩市
監督:阪本順治
脚本:坂口理子
原案:田部井淳子「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)
製作総指揮:木下直哉
製作:「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会 木下グループ 朝日新聞社 読売新聞社 報知新聞社
制作プロダクション:キノフィルムズ/ドラゴンフライ
配給:キノフィルムズ
協力:一般社団法人 田部井淳子基金
©2025「てっぺんの向こうにあなたがいる」製作委員会
オフィシャルサイト https://www.teppen-movie.jp/
2025年10月31日(金)より、OSシネマズミント神戸ほか全国公開中!













