12月号
ひとに学び ひとに生かす|神戸親和女子大学創立50周年
「社会で自立して活躍する女性の育成」という創立以来の理念を受け継ぎ、2016年に創立50周年を迎えた、神戸親和女子大学。これからの50年に向けた動きは、すでに始まっている。
去る10月8日、神戸ポートピアホールで、神戸親和女子大学創立50周年の記念式典が行われた。
神戸市室内合奏団と本学創立50周年記念合唱団による「ハレルヤ・コーラス」に続く式典では、学校法人親和学園・山根耕平理事長が式辞を述べた。山本裕之学長によるビジョン宣言では、今後、神戸親和女子大学が力を入れていくべき3つの柱(教育ビジョン、研究ビジョン、社会貢献ビジョン)についての説明が。そして、式典後の記念講演では、ノーベル賞受賞者で京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が「iPS細胞がひらく新しい医学〜協働するチカラ、未来を創るチカラ」という演題で講演を行った。
多くの来賓の臨席のもと、学園の生徒・学生・教職員、保護者、卒業生・旧教職員らが50周年の慶びを分かち合った。同時にこの祝典は、神戸親和女子大学の新たな歴史の始まりとなる。関係者一堂、これからも一層の女性教育の充実に努めることを誓う機会となった。
親和の未来を切り拓くために
本学は創立50周年を迎えましたが、母体である親和学園は創立129年を迎えました。校祖・友國晴子先生の教育者としてのミッションは、一人ひとりの生徒・学生と誠実に向かい合い共に学び、共に成長するという「同心同行」の教育にありました。この建学の理念のもと、学園は今日まで長い歴史を刻んで参りました。
とはいえ、大学をめぐる環境はますます厳しさを増しており、これからの50年は、はるかに困難に満ちたものになるものと強く認識しています。しかし、こういう時代だからこそ、基本理念を明確にし、高い目標を掲げ、不断の改善を積み重ねる、その過程を大切にすることが大切だと思っています。日々、学生と誠実に向かい合い、その成長のために努力し続けるという、「終わりのない教育の過程」こそが、結果として親和の未来を切り拓き、「個性輝く、夢のある飛躍する大学」への最善の道であると確信しています。
山根 耕平 (やまね こうへい)
学校法人親和学園 理事長
次の10年に向けた3つの柱
本学は、親和学園の建学の理念と精神に基づき、社会に貢献する優秀な人材を輩出してまいりました。この50年の間に、男女の役割も徐々に変化しつつあります。それも卒業生の皆様をはじめ、多くの女性の地道な努力があってこそだと思います。
今、改めて理想の女性像を考えれば、世界を視野に、自らの人生を切り拓くことのできる人ではないでしょうか。社会で自立して活躍する女性の育成のために、神戸親和女子大学は、次の10年に向けての構想、「ビジョン60」の中で、3つの柱を立てました。世界を視野に学ぶ教育カリキュラムを充実させ、学生に様々な挑戦の機会を用意する「教育ビジョン」、本学の国際教育研究センターを拠点に、世界を視野に研究・交流を推進し、幼児教育をさらに充実させる「研究ビジョン」、大学としてボランティア活動に力を注いだ実績をもとに、地域との一層の連携を図り、子育て支援を多面的に展開していく「社会貢献ビジョン」の3つです。この3つのビジョンの実現にむけて、全学的な大学改革を推進してまいります。
創立50周年を迎え、新たな半世紀へと一歩踏み出すことを皆様にお誓い申し上げます。
山本 裕之 (やまもと ひろゆき)
神戸親和女子大学 学長
ラーニングコモンズ「TOMO」&カフェ
学生一人ひとりのニーズに合わせて自由に利用できる、新しい学習環境施設として2016年4月に開設。愛称は、学生と教職員から公募された「TOMO」。
スクリーンとプロジェクターを備えたグループ学習コーナーや、人数や目的に合わせて自在にレイアウトできるテーブルスペースで、グループ学習やディスカッション、プレゼンテーションなど、さまざまな形の勉強に取り組むことができる。窓を大きくとった開放的な空間で、1階にはシアトルズベストコーヒーが入り、学生たちの憩いの場となっている。
神戸親和女子大学附属親和幼稚園
神戸親和女子大学創立50周年の記念すべき2016年4月に、附属親和幼稚園として開園した。「世界基準の幼児教育」を実践して地域に貢献するとともに、学生にとっても密度の濃い実習教育が受けられるようになると期待が集まっている。親和中学校・親和女子高等学校・神戸親和女子大学に脈々と継承されてきた「誠実・堅忍不抜(けんにんふばつ)・忠恕温和(ちゅうじょおんわ)」という校祖の教えに基づき、「自分の意思で主体的に生きる力」を育てる教育を目ざしていく。