2011年
12月号

[海船港(ウミ フネ ミナト)] ライン河クルーズ③ コルマールからストラスブールまで

カテゴリ:観光

文・写真 上川庄二郎
【コルマールからリックビールまで】
ブライザッハからバスで40分ほど、国境を越えてフランスのコルマールに入る。ライン河のこの辺り一帯は、アルザス地方に属する名だたるワイン産地であり、独仏の国境を接するこの地方はワイン街道と呼ばれている。一方、この地方は国境を挟んで紛争が絶えず、17世紀にはフランス領であったが、普仏戦争でドイツ領となり、第一次大戦でフランス領に戻り、第二次大戦では、ナチスドイツに占領されたが、戦後再びフランスにというように、ドイツ、フランスの間で幾度も揺れ動いた地域であることも忘れてはならない。したがって、町並みもドイツ文化を色濃く残していて、日本でいえばさしずめ小京都といったところ。
コルマールからさらに30分ほどワイン街道を走ると、人口千人ほどの小さな村・リックビールに着く。わずか数百mの中心街一本のこんな小さな村に、どうしてこんなに多くの観光客が訪れるの? といいたいぐらいの人で溢れ返っている。一歩外れると、そこには広大なぶどう畑が拡がる。リバー・クルーズのいいところは、このように通常の陸上からの旅行では訪ねることのないようなところにゆくことができることといえよう。

【EUの中心都市・ストラスブール】
次は、ストラスブール。ここも独仏間で国境が入れ替わったまちである。したがって、ここもドイツ文化の影響が色濃く残っていて17世紀のアルザス地方特有の木組みの家々が立ち並び、これらが世界遺産に登録されている優れた文化遺産のまちである。イル川沿いのプチット・フランス地区がその代表例となっている。
名物料理・シュークルート(茹でたキャベツ料理)に見るように、ドイツの食文化の雰囲気を色濃く残すまちでもある。
そのストラスブールに、新しい顔が加わった。1994年にEUの欧州会議が置かれたのをはじめ、欧州人権司法委員会なども設置され、今では欧州の中心的な地位を占める主要都市なのである。
加えて、もう一つの顔は、1960年に一度は廃止した路面電車を、1991年にいち早く復活して、公共交通優先のまちづくりに取り組んだことである。今では、LRT(ライトレール・トランジット)という名の世界最先端の公共交通がまちを闊歩している。世界の国々からもひっきりなしに見学者が訪れるまちとしても売れっ子である。私も、神戸のまちにこんな交通機関ができればとの思いから2004年に現地を訪ねたものである。今回は図らずも二度目の訪問ということになったが、LRTを中心に町がさらに整備され、EUの顔としての貫禄十分である。
公共交通政策の遅れている日本にとっては、まさに〝他山の石〟としての存在。視察に訪れる外国人の中でも日本人、特に地方議員が断然多く訪れるということである。ストラスブールの人たちは、「これだけ見に来るのだから、日本でもLRTがどこかで走るようになったの?」と皮肉っぽく語る。
何時の日に、日本は、神戸は自動車優先のまちから、公共交通優先のまちに変身するのだろう。地球温暖化の進む中、また、さびれゆく中心市街地再生の切り札としてLRTが大手を振って闊歩できるようなまちぢくりに早く手を打ってほしいものである。

コルマールのプチ・ベニス

バーゼルからストラスブールまでのライン河俯瞰地図

リックビールの僅か数百mの中心街

イル川沿いのプチット・フランス地区

まち中を我が物顔にスイスイと走るLRT

■かみかわ しょうじろう

1935年生まれ。
神戸大学卒。神戸市に入り、消防局長を最後に定年退職。その後、関西学院大学、大阪産業大学非常勤講師を経て、現在、フリーライター。

未来への視点 有馬温泉ゆけむり大学へ行こう
連載第三回 神戸発ときめきクルーズ
桂 吉弥の今も青春 【其の二十】
発信!デザイン都市  ひょうご・こうべ 歴史絵巻|扉
ひょうご・こうべ 歴史絵巻ー時代の節目に必ず登場 歴史の舞台になった神戸
平清盛が夢見た和田京と懐中仏を奉納し頼りにした「宝満寺」
ひょうご・こうべ 歴史絵巻ー須磨・平安貴族の月見の名所に 月見の「傘亭」が復元
ひょうご・こうべ 歴史絵巻ー「福原の殿舎において髑髏の妖怪が襲う」歌川広重画
扉— あおによし 奈良へぶらりと初詣 〜神戸発!阪神なんば線経由・近鉄で行く〜
東大寺ミュー ジアムから発信
〜神戸発!阪神なんば線経由・近鉄で行く〜あおによし 奈良へぶらりと 初詣
神戸の初詣
神戸 旧居留地ものがたり Vol.4
神戸 旧居留地ものがたり
日本の文化「お葬式」を守り、 継承していくために
兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第十二回
神戸市医師会公開講座 くらしと健康 53
福祉のまちを目指して シリーズ The welfare city “KOBE”
神戸鉄人伝(こうべくろがねびとでん)芸術家男星編 第24回
KOBEアスリートドリーム! 子どもたちの未来へのメッセージ24
連載 浮世絵ミステリー・パロディ ㊱ 吾輩ハ写楽デアル
[海船港(ウミ フネ ミナト)] ライン河クルーズ③ コルマールからストラスブー…
触媒のうた 10
耳よりKOBE
耳よりKOBE ヘルシーな蒸し料理のお店「蒸亭 MUSHITEI」
有馬歳時記 フランスのエリート校「エセック経済商科大学院大学」の学生が有馬を訪問…