2月号
“おいしさ”で 地元に貢献したい/キリンビール対談
株式会社 老祥記
代表取締役 曹 英生さん
キリンマーケティング株式会社 神戸支社
支社長 尾﨑 秀雄さん
神戸支店主任 穂積 瑛章さん
南京町が盛り上がる1週間・南京町春節祭の季節がやってきた。神戸の元気に一役買う、南京町商店街振興組合理事長を務める老祥記・曹さんと、「地元を元気に!」という同じ思いを持つ、キリンビールマーケティングの尾﨑さん、穂積さんにお話しいただいた。
世界一の龍舞を披露
―春節祭、今年の目玉は。
曹 25回目を迎える記念の年に皆さんに素晴らしいものを見ていただきたいと、シンガポールのジャランベサールコミュニティクラブから、2009年の世界大会の龍舞部門で金賞を取った龍舞メンバーに来ていただきます。2月10日から15日まで一日3回公演。20代の若手中心で、踊り手だけでも20名がやって来ます。技の精度が高く、キレの良い舞を私たちも楽しみにしています。同じく出演してくれる、神戸市立兵庫商業高等学校龍獅團も10年来、ジャランベサールの先生から指導を受けているそうです。くしくも同校も25周年、ジャランベサールも25周年。そこで、25に因み、9日の前夜祭では南京町広場で獅子舞を25頭出して披露します。
―中国史人游行はどんなイベントですか。
曹 10日のオープニングで、歴史上の武将や皇帝、楊貴妃などに扮して元町商店街や三宮センター街を練り歩きます。途中で一緒に写真を撮っていただけるスポットを設けています。南京町広場には、西遊記の孫悟空や猪八戒など人気者と一緒にお手持ちのカメラで写真撮影もできるコーナーも設けています。
―春節祭だけのお料理や商品もありますか。また、老祥記では?
曹 南京町にある31店舗が、南京町春節祭の期間限定のコース料理、もしくは福袋をご用意させていただいています。今年は2013年に因んで全て2013円です。老祥記には「豚饅」しかありませんから普段と同じ商品を一生懸命売ろうと思っています。しかし、老祥記前はとても混雑し事故などあったら大変ですから、期間中の土日祝日4日間は、向かいの姉妹店のみの営業です。
―春節祭へのキリンビールの取り組みは?
穂積 毎年、春節祭に参加してイベントを盛り上げるお手伝いをしています。獅子舞、龍舞をはじめとした催し、様々な“食”を通じて、ご来場のお客様の笑顔で溢れていたのが印象的でした。春節祭を応援することで南京町の活性化や発展に貢献したいと考えています。
曹 キリンビールさんの社会貢献という企業姿勢の表れですね。お手伝いいただきとても助かっています。
豚饅で東北被災地を支援
―11月11日のぶたまんサミットも昨年で2回目を迎えました。
曹 初回は四興樓、三宮一貫楼、老祥記の3店舗の参加でしたが、昨年は10店舗に増えました。中でも、神戸の二大北京料理店、第一樓さんと神仙閣さんのオリジナル豚饅セットの実現は画期的なことだったと思います。被災地の仙台より、津波で工場、店舗を失った中華料理店にも来ていただきました。
―今年も東北の被災地を訪ねられたのですか。
曹 昨年の1月17日の名取市に続き、今年も四興樓、三宮一貫楼、老祥記、3店舗の豚饅3千個を持って気仙沼市を訪ねました。明るく、温かい雰囲気で、喜んでいただけて良かったという思いとともに、人間の強さにとても感動しました。
―支援は継続する予定ですか。
曹 もちろん続けていこうと思っていますが、一方的な支援ではなく、これからはお互いにビジネスにつながるシステムを作っていかなくてはならないと思っています。今回も、昨年再開した気仙沼のフカヒレ工場を見学しました。南京町の料理と気仙沼のフカヒレのコラボで何か生み出せないかと考えています。
地元のビールで兵庫を元気に!
―キリンビールも地域の活性化に力を入れておられますね。
尾﨑 キリンは、兵庫県に工場を持つビールメーカーです。〝地元ビールメーカー〟として、兵庫県の産品を生かした活性化のお手伝いと、地産地消推進に貢献したいと思っています。
―既に何か始めていますか。
尾﨑 兵庫県、JA兵庫六甲と協力して「兵庫県産ご当地カクテル」審査会をスタートしました。1月の第一弾は「二郎いちご」、今後は第二弾「トマト」、第三弾「小松菜」と5月まで続く予定です。
―ほかにも地元活性化のために取り組んでおられることは。
尾﨑 兵庫県認証食品を広めるために、スーパーなどの量販店と組んで、認証食品とキリンビールを一緒に販売するキャンペーンを予定しています。神戸牛、播州の百日鶏、淡路島の淡路鶏、太子町の筍、伊丹市のオランダトマト等々…、兵庫県は広いですから色々な食品がありますよ。ところが県民にはあまり知られていないんですね。魚なら、日本海の赤カレイ。地元ではよく食べられている魚の一つで、安くて美味しいのに、流通が整備されていないので出回っていません。そこで、流通を整備して量販店に赤カレイの干物とキリンビールを置いていただこうと計画しています。
―南京町とのコラボの予定は。
穂積 以前から南京町のおいしい料理と、弊社のビールとを組み合わせたオリジナルポスターを各店舗様で掲出していただいています。今回も春節祭オリジナルのポスターを作製し、南京町にお越しのお客様においしい料理とキリンビールを味わっていただきたいと思っております。これまでも曹社長と様々な連携を探ってきました。今後も春節祭や豚饅サミットなどで連携を深めていきたいと思います。キリンビールの商品で、世界初のアルコール度数0.00%のビールテイスト飲料「キリンフリー」、グループ会社のキリンビバレッジの商品で、史上初の特保のコーラ「キリンメッツコーラ」などは、近年の飲料分野で新市場を開拓してきました。これらは南京町の″食″ともマッチする特色のある商品です。これらのアルコール以外の商品も使いながら南京町とコラボしていきたいです。
商品は違っても、思いは同じ
―ビールの売り上げが年々下降気味なのが気になりますが、キリンビールとしてはどんな対策を取っていますか。
尾﨑 お客様に新しい飲み方を提案しています。昨年大好評いただいた一番搾りのフローズンに加え、一番搾りツートン〈生〉、ホットビール等々。好みが多様化している時代ですから、ビールにこだわらず、例えばノンアルコールの商品やアルコール度数の低いチューハイなど、選択枝を広げていくことが必要です。キリンフリーは、この春リニューアル、さらにおいしくなります。乞うご期待!
―中華料理と言えば紹興酒ですね。
曹 中華料理の油を分解してくれますし、身体に優しく、悪酔いしない。冬は人肌に温めて…、南京町春節祭で紹興酒を飲みながら獅子舞など見ると、いい気持ちですよ。
―さて、老祥記の今後ですが、他所へ出店などの予定は。
曹 スポットでの出店はあるでしょうが、あくまでも南京町で98年間、受け継ぎ守ってきた味を移動させるだけです。震災後、豚饅作りを再開した時、2、3日は、発酵が弱くなりました。豚まんの皮に含まれる酵母は生き物ですから、「仕事せんでもええんか」とサボり癖がついたのかも知れません(笑)。現在はとっても活発に働いてもらっています。
―ビールはどうなのでしょか。
尾﨑 キリンは、どこで作っても同じ品質のビールを目指しています。食べ物と飲み物の違いこそあれ、お客様においしいものを届けたい、そして、地元に貢献したいという思いは同じです。ぜひ協力させていただきたいと思っています。