2014年
5月号
お刺身用の鯛を焼き上げる

神戸のカクシボタン 第五回

カテゴリ:グルメ

写真/文 岡 力

「明石のおめで鯛はなし」

「ピンポーン」と自宅のインターホンが鳴る・・・次の瞬間「来た!!」と小さな歓声が部屋の方々から沸き起こる。お正月や誕生日など家族で迎えるおめでたい食卓には、お取り寄せした大きな焼鯛が並ぶ。今は亡き神戸の祖父母より代々受け継がれている食文化である。
普段、何気に食しているがどんな場所で如何にして調理されているのかいっぺん見てみたい。そんな衝動にかられ向かった先は、「明石魚の棚」。港町の活気溢れる商店街に今年で創業70年あまりの「宝来(ほうらい)焼魚店」がある。もともと仕出し屋としてスタートし40年前より現在の看板商品である「焼鯛」を専門に販売している。早朝、お刺身用の鯛に金串を打ち店奥にて独自の製法で焼き上げていく。ギュと引き締まったボディ、腹身には絶妙の加減で脂がのっている。ヒレ全般に塩を施しピンと立たせ躍動感を出していく。縁起物ゆえ見た目の工夫も成されている。程よく焦げ目の着いた桜色の胴体を箸でつつくとほぐれる白身。私のオススメは、生姜醤油だが好みの柑橘類や薬味で食べると一層美味しくなる。肩帯部分にある形が鯛に似た骨「鯛の鯛」は、慎重にとり除き毎回記念品として保管している。豪快に食べたら骨周りの細かな身を白飯と和え、残ったアラは吸い物のダシに使用する。子供の頃、鯛を介して始末の心を学んだ。喜びと共にかみしめる瀬戸内のごちそう。この感動を絶やすことなく後世へと伝えていきたい。

お刺身用の鯛を焼き上げる

■明石魚の棚 宝来焼魚店

TEL.078-912-6917
※地方発送は、1週間前に事前予約が必要です
兵庫県明石市本町1-2-10
【営】9:00~17:30
【休】火曜

■岡力(おか りき)コラムニスト

ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「大阪ロマン紀行」(大阪日日新聞)「ハコの十八番」(Whole Earth Magazine Fm Cocolo)
出演「おちゃのこSaiSai」(J:COMチャンネル)

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