11月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|木材編|Vol.5 伐採
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
伐採
引き続き林業の仕事について、平尾工務店が構造材に使用している紀州材を例にご紹介します。
樹齢60年~70年を迎えると、いよいよ伐採時期になります。チェーンソーで木の根元を切り倒しますが、まずは倒す方向に∠型の切り込み、受け口を設け、その反対側の切り込み、追い口に楔を打ち込んでいくと、木は自らの重みで、受け口の方向へ倒れ込んでいきます。
紀州の山林は急斜面が多く、大型の機械の導入が難しいため、搬出には集材架線方式がよく採用されます。空中にワイヤーロープを張って架線を設置し、山上で伐採された原木は吊され、この架線を伝って麓へと送られます。原木は20~25mもあるので、この作業風景は壮観です。
麓には林道端に集積場、山元土場を設置し、原木をここに運んで造材作業をおこないます。プロセッサーなどの林業機械を用いて、枝葉を払いながら根元の曲がっている部分や腐っている部分などを除去。さらに、林業上の基準に従って適当な長さに切り揃えていきます。
造材作業を終えた木は貯木場へ送り、ここで節や樹齢、アテ材(樹心が一方に偏って成長した偏心材)をチェック。各種用途に選別・仕分けした上で、製材工場へと搬入します。
ちなみに、平尾工務店が構造材としてよく用いている4寸角柱材を製造する場合、原木時の口径が16~20cmの部分を使用しますが、長さ3mの材だと1本の立木からわずか1~2本しか取れません。それ以外の太い部分は梁材、細い部分は補助的な部材に活用されます。
自然素材リノベーション │ 神戸ギャラリー
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