7月号
女子ラグビークラブチーム「神戸ファストジャイロ」
神戸には、今後の飛躍が期待される女子ラグビークラブチームがある。「神戸ファストジャイロ」である。15人制女子日本代表候補も所属し今年、日本ラグビーフットボール協会主催の人材発掘プロジェクトに3名が選出され、兵庫県体育協会から強化指定チームの認定を受けるなど話題が続いている。兵庫県、地元に愛される「産学民」連携の女子ラグビークラブチームである。
6月のシーズンスタートを前に、「神の手」と呼ばれる名トレーナー・佐藤義人さんを専属トレーナーに迎えてチームを強化する。佐藤さんは、2015年ラグビーW杯日本代表スタッフ。選手から「神の手(ゴッドハンド)」と呼ばれ、日本の歴史的3勝と、唯一離脱者ゼロという記録を裏から支えたトレーナーの1人。練習初日に、佐藤さんに手ごたえをうかがった。
名トレーナー佐藤義人さんを 専属トレーナーに迎えチームを強化
―初めてトレーニングを指導されていかがでしたか。
今回は、技術的なスキルとはまた別の、ラグビーを行うための「身体」をどう使うかというスキルについて指導しました。これは彼女たちに限らず、トップリーグの選手でもできていないことが多く、それによって伸び悩んでいる選手が多数います。特に女子ラグビーはケガが多いので、そういったところを含めて一番の基礎になるようなところ、身体の仕組みであるとか、こうすればこういう動きがスムーズにできるといった話をしました。女子はケガが多いというのは、どうしても筋力的なところでトレーニングが足りていない、ということからです。女子のトレーニングというと、どうしても男子と同じ内容のトレーニングをするスタイルになってしまうのですが、それだと本当に強くはなれない。やはり女子は女子の身体の特徴があるので、男子と同じようにすれば良いというわけではないんです。女子の場合は、少ない力でどれだけ大きな力を生むか、というところが非常にキーになってきますから。
―6月からシーズンがスタートします。
選手たちは一生懸命取り組んでいますし、ラグビーが好きだという熱が伝わってきますし、意欲高くがんばってくれるのではないかと期待しています。あとはそれが、徐々に形になって、結果につながり出せば、もっとモチベーションも上がりトレーニングに対する意識も変わってくるでしょう。最初の、今のこの「変えよう」というタイミングが一番苦しくて、大変なんですけれども、そういうときこそチームみんなで話し合うこと、気づいていないことをみんなで指摘し合うことが大切です。チームの中の何人かだけが言い合って、取り組んでいるとなると孤独ですが、チーム全体でさまざまなことを指摘し合って話し合っていこうというのはポジティブなことです。チームであるという意識を持つことは、非常に重要です。
―女子ラグビーの普及への期待も高まりますね。
女子ラグビーはやはりまだ、関東や愛知県に強い選手が集まっているという傾向があります。僕も関西に住んでいるので、関西からも強いチームが出てほしいですし、またそれが良いチームになれば、女子ラグビーを始める選手ももっと増えていくのではないかと期待しています。神戸には男子チームだと神戸製鋼という名門がありますが、神戸ファストジャイロもそれに負けないぐらいのチームになってほしいですね。
「太陽生命WOMEN‘S SEVENS」
コアチームへの昇格をめざして!
私はチームの中でも年齢が上なので、できるだけ長くラグビーができるように、少しでもケガをしてしまうとタイムロスが響いてしまうので、ケガをしない身体づくりをまず学びたいと思っていました。佐藤トレーナーの指導を受けて、身体の使い方ひとつでこんなに違うものかと驚きました。本当の「身体の使い方」というところを教えていただきました。足の向きを少し変えるだけでこんなにも動きやすくなるのかなど、すぐに実践できるわかりやすいご指導をいただいて、勉強になりました。あとは基礎の練習の積み重ねが重要であるということを学びました。
神戸ファストジャイロは、みんなでアドバイスをし合えるような和気あいあいとした雰囲気の中で練習しています。タックルなどが入ってくるとむきになったりしますが…。6月にはシーズンがスタートしますが、昨年は目指していた試合がコロナで中止になってしまって悔しい思いをしました。今シーズンはその思いをぶつけ、「Regional Women’s Sevens 2021」の関西大会で好成績をおさめ、最終的に強豪12チームが日本一をかけて争うコアチームに入れるようみんなでがんばりたいと思います。
地元に根ざし、地域に愛されるチームをめざして
神戸ファストジャイロは、2011年に流通科学大学女子ラグビーサークルとして活動をスタートしました。その後、他大学の選手や社会人を受け入れる兵庫県のクラブチームとなり、早駒運輸株式会社が支援してチームを組織化しました。現在、一般社団法人神戸ファストジャイロ賛助会員に20社を超える企業が入会していただき、ますます、地元である兵庫、神戸の皆様に愛されるチームを目指しています。昨年は、社会で活躍する女性の育成と地域活性化を目的として神戸親和女子大学と連携協定を結びました。毎年開催される国民体育大会の七人制ラグビーには、神戸ファストジャイロの選手が兵庫県代表選手として多数選出されていることなどから、スポーツの振興と競技力の向上を目指す兵庫県体育協会より、今年6月に「強化指定チーム」の認定を受けました。今回の認定により、より一層の地域貢献への責任を全うできるよう、チームでもしっかりとした心構えを持ちたいと思います。
また、今年、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会主催の発掘プロジェクトに3名の選手が選出されました。これは、2025年・2029年のラグビーワールドカップを見すえて、世界に通用する人材を発掘し、育成していくためのプロジェクトです。未来を担う選手たちとともに、今後も、地域貢献・産官学・社会活動などを通して、地域に愛されるチームを目指していきたいと思います。