2011年
12月号
12月号
ひょうご・こうべ 歴史絵巻ー須磨・平安貴族の月見の名所に 月見の「傘亭」が復元
神戸市立須磨離宮公園
江戸時代の名所図絵に、「行平月見の松」として記載されているように、須磨・月見山は平安時代に在原行平がしばしば月見を楽しんだことから「月見山」と名づけられ、古くから月見の名所として親しまれてきた。
大正3年に造営された皇室の別荘・武庫離宮には、月見を楽しむための六角形屋根のあずまや「傘亭」が築造された。青銅製の一本柱、「竹穂」で葺いた屋根など、全国でも珍しいあずまやだったが、神戸空襲で屋根部分が焼失したといわれ、柱だけが残っていた。その青銅製の柱は、鋳金界の巨匠・岡嵜雪聲が、天然の木を模して鋳造したもの。
近年「傘亭復元実行委員会」など多くの人々のがこの傘亭を復元しようと活動を始め、寄付などを集めて今年10月に復元が完成した。宮内庁に所蔵される武庫離宮の工事録に基づき、「竹穂」で葺いた屋根や、北山杉の丸太、サワラを編み込んだ「網代天井」など忠実に復元された屋根内部の職人技もぜひご覧いただきたい、上品な数寄屋造りとなっている。
■神戸市立須磨離宮公園
神戸市須磨区東須磨1-1
TEL・078-732-6688
開園 9:00~17:00
入園料 一般 400円
小中学生 200円