2月号
harmony(はーもにぃ) Vol.24 しあわせ感が高まる 超高齢期
国内の90歳以上の高齢者は206
万人。100歳以上は約6万9千人余りにのぼります(一昨年8月の人口推計)。この数は年々増えていきそうです。
私の母が亡くなってこの2月で2年になります。97歳でした。東京オリンピックを見るのを楽しみにしていましたが、叶いませんでした。晩年は人生に達観したようなところがあり、死への不安も日頃の悩みも超越したような感がありました。
大阪大学の権藤恭之准教授たちが兵庫県と東京都の70、80、90歳の2200人ほどの調査をしたところ「老年的超越」という指標で示される幸せな感覚の度合いは高齢の人ほど高い傾向があったそうです。
老年的超越とは、高齢期に高まるとされる「物質主義的、合理的な世界観から宇宙的、超越的世界観への変化」のことで、スウェーデンの社会学者が唱えたそうです。自分が宇宙という大きな存在につながっていることを意識し、死の恐怖が薄らいだり、他者を重んじる気持ちが高まったりする状態とされます。超高齢の人は、一人でいてもさほど孤独を感じず、出来ることが減っても悔やまないようになり、周囲への感謝の気持ちが高まりやすいと言います。
なぜそうなるのかというと、加齢に伴って心身の能力が落ちていくことを否定的に受け止め過ぎないよう、心の状態が自然と変化していくのではないか、と推測されています。
北欧では、施設の介護スタッフに老年的超越について学んでもらい、入所者へのかかわり方を改善しようという取り組みが始まっています。こんな調査を見ると、老いることを心身の衰えから不幸と思いこんだり、経済的な不安などから悲観的な見方や考え方にのみとらわれがちですが、むしろ、90歳を超す超高齢になるのが楽しみ、という見方も生まれてきます。しかしそれは、そんなに長生きできれば、を前提とした話ですが。
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