2020年
2月号
名車が集うジーライオンミュージアム/大阪市港区海岸通 2-6-39(大阪・赤レンガ倉庫内)

かつてのスーパーカーブームのように、 またブームが来るかもしれない!

カテゴリ:神戸,

クルマ好き、ドライブ好きが集まってよもやま座談会を開催。
やっぱり昔のクルマは良い!?いやいや、最近もまた、おもしろくなってきたようです。

外国車への憧れ

―皆さんはそれぞれ、最初はどんな車に乗られていたんです?

権藤 ぼくは輸入車が好きで、就職するなら車関係がいいなと、中でもメルセデスが良かったのでヤナセに入ったのですが、自分で最初に乗ったのはキャデラックSTS(?)です。昔のキャデラックは味がありましたね。
服部 ハンドル切っても曲がらないとか(笑)。
権藤 そう(笑)、直進での安定性は優れているんですけどね、さすがアメリカ車です。でもあれが一番良かったんですよ。考え方が違いますよね、アメリカ大陸を横断するようなつくりですから、ハンドルを機敏に切ってとかそういう考えでは造られていません。
服部 バイクなども一緒でしたよね、ハーレーはそういう長距離をまっすぐ走るためのバイクですから。
 私も85年のキャデラック・セビルに乗ってましたよ。あの当時のアメ車は本当にかっこよかった。運転席から遠くの方、ボンネットの先端にオーナメントがあるわけですよ。動く応接室、乗り心地は船、燃費は気にしてはいけない?渋滞の交差点を走ったときに、紳士的な運転でも周りの車がモーゼの海割りみたいにサーッと避けていきましてね(笑)、これはフルサイズのキャデラックの威力ですね。
服部 いかつかったからね(笑)。ぼくの最初は国産ですけど、トヨタの2000GTコロナでした。自分でいじってサーキットを走ったりしていましたが、おもしろかったですね。
 結局、70年~80年代の車っていうのは、メーカーのコンセプトやアイデンティティがとがって出ていて、ああこれはベンツ、これはアルファロメオ、とかって乗ったらすぐにわかるんですよ、さすがだなって笑顔になる。メーカーのカラーがよく出ていましたから。
服部 個性がありましたよね。
 壊れるとか走行性能がどうこういうより、座ったときから匂いが違うっていうか。
服部 ドア閉めたときとかね。ドイツ車はいい音するんですよねえ。イタリア車は雨漏りしそうな音がするんだけど。
 で、実際雨漏りするんですね、高級セダンでも(笑)。アルファロメオのスパイダーでも雨漏りして、足を置くフロアのところに水がたまったりした。で、お客さんから「これ金魚飼えそうなんやけど」って電話がきて、「金魚ですか、それはヤバいですね、湿るぐらいならかまわないんですが」とかって(笑)、それで持って帰ってきて調整するけど完全に直すのは無理。イタリアにもクレーム出すんですけど、返ってきた返事が「雨の日には乗るな」ですから(笑)、さすがイタリア。
服部 湊さんはイタ車好きですからね。ぼくは漫画の『サーキットの狼』で車を覚えたので、ポルシェに憧れて、初めて東名でポルシェターボ見たときは感動しましたよ。ポルシェなんて世間にまだ走っていなかった頃でしたから。

壊れるのが可愛いイタ車?

―今後、こんな車に乗りたいっていう夢は?
権藤 新しい車っていうより、レストアしたW124など、昔のモデルのメルセデスの出物があったら乗りたいですね。まだ電子制御が入っていない時代のものや、足周りをポルシェとタイアップしたものなどもあるのですが、20~30年前のモデルは市場に出るとやはり人気です。
服部 ベンツらしいベンツでしたね。
権藤 車はお金をかければかけるほど良いものができるのだ、というコンセプトで作られていた時代です。好きで乗られている方は多いですよ。乗った時のフィーリングがとても良いんです。
服部 上質でね。ザ・ベンツといった感じでした。
権藤 「最後のメルセデス」といわれているぐらいですから、人気がありますし、やはり良い車です。
 ぼくは、やはりフェラーリです。ディーノとか、308、328、スモールフェラーリと呼ばれるV8モデル。仕事柄いろいろ乗りましたけど、五感で声を聴き操る感覚、そしてコントロール性の高さですね。
服部 湊さんはご自分でメンテナンスできるからイタ車がいいのでは?
 それもあります。ほとんどのパーツに関しては自分でやりますよ。イタ車に乗るには、どこがどうなって、どう直したらいいかをわかっていないとね。ぼく自身がめちゃくちゃ几帳面だから、あのゆるい加減の車が良いのかもしれませんけど(笑)。当時の車はよく壊れましてねえ、でもその壊れるのがまた可愛いんですよ。そろそろこっちが来るかな、と思った来るという…。
服部 ちょっとクラスの違うマニアですね(笑)。
 フェラーリやアルファロメオはギアの入れ方にもセオリーがあって、上手くシフトするの為には慣れを要します。イグニッションをオン、燃料ポンプの音がしてきたらちょっとアクセルをあおって、とかいう一連の動きが、そのときの寒さによっても変わるみたいな、そういう難しさがあったから、フェラーリ乗り(フェラリスタ)、アルファ乗り(アルフィスタ)は機嫌よくドライブさせる技術を持っているという優越感があったわけなんです。エアコン効かなくても、クラッチ重たくても、クールに乗らなければならない…(笑)
そんな楽しい時代のクルマ達が「ジーライオンミュージアム」にはありますので、是非、お越しください。
服部 なるほど。
 でもそういう難しさも90年代以降にはなくなっていって、どの車もみんな80点、優等生で、どれに乗っても一緒になってきました。ベンツに乗ってもBMWに乗っても同じ。世界基準が高水準になり各メーカーも水準に達した車作りがスタンダードとなった時期です。この時期があったからこそ今日の技術革新につながっていくんですね。
服部 ドライビング感覚を大切にしてくれるメーカーは、運転していると楽しいですよね。ベンツは、高速道路をまっすぐに走るとその良さがとてもよくわかる、というのもあるし。
 ランボルギーニ・カウンタックはイタリアのデザイナー(マルチェロ・ガンディーニ)がデザインした車なんですけど、そのデザインの斬新さに加えて、シャシ、エンジン、足周りは自社で開発して、フェラーリに負けないぞ!って妥協せずに作ったらこんなに高価な車になってしまいました、でも売ります、っていう時代でしたから。今も魅力は色褪せない名車ですね。昨今は市場調査から綿密に計算されて、このモデルは600万ぐらいで販売しましょうと。プロダクトマーケティングが進化したのですね。
権藤 今は、どの層の方にも、どのセグメントの方にも買えるような配慮の車づくりをしていますからね。

最近またメーカーの魅力が車にあふれ始めた

―自動運転などが出てきて、ドライビングテクニックもあまり必要なくなる時代は、おもしろくないですか?
 車がより安全になるのは重要ですけどね。安全で、しかも誰もがエンジンをかけられて…、このクラッチは女の子は無理だろう、という車もなくなりましたからね(笑)。
服部 ありましたね、重いクラッチ(笑)。湊さんは古い車に乗るからいいでしょう。
 反面、捨てたものじゃないなと思うのは、昨今では各メーカーが“らしさ”を表現した車を市場に出し始めているんです。各ブランドのカラーが出てきたっていうのかな。それも昔でいう、壊れてもいいとかサビてもいいとかそういうのではなく、ある一定の基準で、衝突安全性から自動運転まで、いろいろな技術をみんな詰め込んで、これがベースになった上で、ベンツ、BMW、アルファロメオ、またはGMとか、そういうメーカーのコンセプトをしっかり出してきています。だから乗り比べると、そういう違いがよくわかりますよ。BMWの傘下となったMINIだって、ハンドリングや内装の可愛らしさなどのミニの魅力を大切に残しています。そこが輸入車のおもしろさでもある。
これから楽しい時代の再来ですよ。
服部 今、ひとつのブランドだけで車種がすごくたくさんありますね。
権藤 ベンツだけで現在、26車種あります。幅広く、いろいろな車種をそろえたいということで。
 メーカーは、多種多様なニーズに合わせて作っているんですよね。でもそんな乗りやすい状況になっているんですが、今の若い人は車にあまり興味がないとか。
権藤 ぼくらの世代は、大学に出て一番にほしいのは車でしたが、今は10位以内にも入らないみたいですね。
服部 カーシェアとかですからね。
 今の車は、どなたでも乗れて、どなたでも走れて、安全で、そしてブランドのカラーも徐々に出てきた、おもしろい時代に入ったと思うんですよ。
権藤 かつてのスーパーカーブームのように、またブームが来るかもしれませんよ。車がなくなることは、ないと思いますから。

名車が集うジーライオンミュージアム/大阪市港区海岸通 2-6-39(大阪・赤レンガ倉庫内)

アルファロメオ(アルフェッタ2.0GTV 1981年式)

湊さんの愛車だったキャデラック(1985年セビル)

株式会社ヤナセ神戸支店 販売一課
MB国際認定セールス 係長
権藤 圭介 さん

株式会社マースト 代表取締役社長
ジーライオングループ輸入車ディーラー事業部
経営企画室 室長
湊 善行 さん

服部プロセス株式会社 
専務取締役
服部 敬二

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