2019年
12月号
12月号
あしや芸術祭 2019 コシノヒロコ展 芦屋神社
世界で大きな注目を集める具体美術協会。1954年に芦屋で結成され、前衛画家・吉原治良の「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」という考えのもと、数々の現代アートを世に送り出した。白髪一雄、元永定正、嶋本昭三らメンバーは、その言葉通り独創性にとんだ作品を生み出し、昨今、その評価はますます高まるばかりである。
そんな偉大な先人たちの精神を受け継ぎ、芦屋のアートを発信する「あしや芸術祭」が、10月20日~11月10日まで開催された。10月26日には芦屋神社で「コシノヒロコ展」が開催。六曲一双の屏風に、墨一色で大樹を描いたダイナミックな作品など27点が公開された。墨の濃淡だけで多彩な色を表現しており、見れば見るほど、どこか芦屋の山々の自然を見ているような不思議な感覚にとらわれる。「自然とかかわるために自然豊かな芦屋に自宅を作りました。人間が潜在的にもっている美しい心を育むことで、作品づくりに生かされます。暮らしの中からアートは生まれます。芦屋は保守的ですが、具体が生まれたように、若い人たちのアイディアを受け入れ、彼らが活動しやすい街にならなければ」とコシノさん。芦屋が秘める可能性について語った。