8月号
harmony(はーもにぃ) Vol.6 doing と being
辞書を引くと「doing」は「何かの行動を起こすこと」、「being」は「何もせずに、ただその状態にあること」とあります。私たちの今日の社会は、何かをすること、行動することに価値が置かれ、何もしないことや何もできないことには価値がないような考え方があるように感じます。さらに言えば何らかの生産活動をして収入を得たり、自立した生活をしたり、社会に貢献したりしていると考えられる人は「役に立つ人」で価値があり、何もせず、あるいは何もできないで消費するだけ、と思われる人は「無為徒食」とみなされがちです。しかし、何もしないしあわせ、ただじっと存在するだけで価値があり、深い意味を持っていることを私はいろんな機会に教えられてきました。たとえば重いハンディキャップを持っていたり、病気でほとんどの時間、誰かが傍らにいないと生命を維持することが出来ない人の場合など、他人の目には「あんな状態で生きていて何の意味があるのだろう」と映ったりすることがあります。しかし、家族や介護者はその人がそんな状態でそこに存在することそのものに深い意味を感じていることがあります。ただ生きている、目の前に存在していることに喜びや心の張り合いや感謝の念すらいだいているのです。そんな姿を見ると、何もできなくて、ただ存在しているだけで人は喜びや希望や勇気や励ましを他者に与えることが出来ることを教えられます。子どものころから多忙な暮らしに慣れきってしまっている私たちは何かしていないと落ち着かなく、「何かすることこそ生きがい」というような精神構造になってしまっているのかもしれません。何もしなくても生きがいは感じられますし、心が満たされることはあります。
「well-being」という言葉は福祉の世界でよく使われていますが、この意味は「幸福な状態」「人生や生活に満足している状態」と説明されています。 「幸福」や「満足」は多分に人の心のありよう、考え方、気持ちの持ち方によるところが大きいように思われますので、どんな状態であることが幸福と感じ、心が満たされていると感じるかは千差万別でしょう。doingだけでなく、beingであることの意味や価値の視点が高齢社会では必要になってくることでしょう。
公益社団法人 家庭養護促進協会
事務局長
橋本 明
愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、
里親・養親を求める運動です。
募金箱の設置にご協力いただける方は
協会にご連絡ください。
公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所
神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2F
TEL.078-341-5046 http://ainote.main.jp/wp/
E-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jp
募金箱サイズ:9.7cm(縦)×12cm(横)×18.2cm(高さ)