2018年
8月号
ダルマ「招き猫」(瀬戸窯)

世界の民芸猫ざんまい 第三回

カテゴリ:絵画

「我輩は 黒猫 である」 招き猫異聞

中右 瑛

 今から150年昔、ころは幕末、江戸浅草今戸(焼)で誕生した「招き猫」。招く姿の意味は?と問われることが多いので、吾輩がお話し申そう。「招き猫」は手で人を招くというが、手招きにあらず。猫族には手がない。前足を高く上げて人を手招いているのである。この場合、あえて足を手と申しておこう。
 右手を大きく上げれば「お金」。左手は「客」を呼ぶとして、商売人に愛され、店頭に飾られた。
 幕末の今戸焼ブームは暫くして終わったが、明治期の初め、瀬戸窯(磁器・瀬戸市)で始まった。ずんぐりむっくり頭でっかちの四頭身スタイル。戦時中や戦後は貯金奨励のため「招き猫」をナント!貯金箱に変身され、製造されたのが常滑窯(陶器・常滑市)である。貯金箱は大当たり、大量に流布した。この方はナント!三頭身スタイル。貯金箱兼用になっているため頭でっかちの肥満体。後頭部にお金を入れるための穴が仕掛けられている。瀬戸窯、常滑窯の他に、豪華で緻密な九谷窯もある。
 「招き猫」の色もまちまちで、白は「福」、赤は「病除け」、吾輩のような黒猫は「魔除け」「厄除け」として重宝されたのである。技術の開発進歩で黄金、黄、緑、青など極彩色になった。
 最近は、さまざまな姿をした変わり「招き猫」が登場した。吉祥を呼ぶ福助に擬した「招き猫」、子供たちに福をプレゼントするサンタクロース、必勝祈願のだるまさん、などの新種が出回り、表情豊かな新種「招き猫」は可愛らしく笑顔を振りまいている。
 慣用句や諺ではメンツを失った吾輩猫族だが、福を呼ぶ「招き猫」の人気で少しはメンツが立った。毎年、瀬戸市では「招き猫まつり」が大々的に開催されている。

福助姿の「招き猫」(九谷窯)

巨大「招き猫」(高さ73㎝ 瀬戸窯)

サンタクロース「招き猫」(常滑窯)

ダルマ「招き猫」(瀬戸窯)

色とりどりの招き猫(常滑窯)

きめ込み「招き猫」

藤デザインの「招き猫」

■中右瑛(なかう・えい)

抽象画家。浮世絵・夢二エッセイスト。1934年生まれ、神戸市在住。行動美術展において奨励賞、新人賞、会友賞、行動美術賞受賞。浮世絵内山賞、半どん現代美術賞、兵庫県文化賞、神戸市文化賞、地域文化功労者文部科学大臣表彰など受賞。現在、行動美術協会会員、国際浮世絵学会常任理事。著書多数。

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