2017年
11月号

独特の世界観を持ち、聴く人を魅了する

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 文化人

神戸に拠点を置いてまだ1年余り。100回以上のライブで歌い、神戸、
そして兵庫県の人たちを魅了している小関ミオさん。この街のこと、歌のことなどお聞きした。

歌手 小関 ミオ さん
singer songwriter MIO KOSEKI

1本のメールから人とつながり、輪が広がり

―小関さんはずっと東京で活動されていたのですか。

作詞・作曲の仕事やCMソング歌唱、月1ペースでライブをしていました。昨年は特に音楽との生き方や表現について葛藤模索している時期でもありました。ところが昨年9月に突然、「あなたが歌うCMソングを聴きました。きっとあなたの声は神戸に似合うと思う。神戸に歌いに来てください」とメールを頂きました。

―そのメールの主が「IN the Mood」を主宰する波戸岡正章さんだったのですね。

はい。波戸岡さんが聞いてくださったのは「この歌のニュアンスを出せる人は他にはいない。この曲は絶対にENVIE(作家時のペンネーム)に歌って欲しい」とCM音楽プロデューサーさんから初めて言われて頂いた仕事でした。私の歌を聴いている人がいたんだとビックリしたし、とにかく嬉しかったし、でももしかしたら怪しい人かも知れないと思いました(笑)。

―でも神戸へやって来た?

HPを見てみたら、名だたるアーティストさんのイベントをプロデュースされていて、「ここに無名の私が加わる?
この人、何を考えているんだろう?」と。とにかく会って話してみたいと神戸にすぐ行きました。

―来てみたら?

忘れもしない昨年の9月27日、三宮駅に着くと波戸岡さんが自転車を2台用意して待っていました。資料やデモCDを詰め10キロはあるリュックを背負った私もいきなり自転車に乗って、神戸の街並みを見て回ったり、色んなメディアや音楽関係者の方に挨拶させて頂いたり、名店喫茶やバーなどを一日で沢山回りました。その時行った一つがクラブ月世界。「ぜひここで歌ってほしい」「いえ、私は裏方ですから…」と。

―それからたった1年で100回近くのライブを?

神戸の路地裏には素敵なバーや喫茶店があって、昔は音楽が溢れていた。そんなシチュエーションは今も整っている。投げ銭でもいいから路地裏から神戸でライブを始めてみようと、「ボンマリアージュ」からスタートしました。マスターに、「通りを歩く人の足を1秒でも止めてみろ。そうでなくては歌う意味はない」と言われたのですが、最初はお客さん1人、2人…気が付けば人だかりができていました。今では、厳しかったマスターもとても応援してくれています。

―神戸の街や人はどうですか。

他県から突然やってきた自分のことを両手を広げて迎えてくれて、一緒に街を盛り上げようと言ってくれて、皆さん優しい。ライブの会場もどんどん増え120回以上が決定して、実はファイナルの月世界も100回目ではなくなっているんです。神戸の街に育ててもらっています。

ジャンル分けはしない 自然体のままで歌う、私の歌

―フランスとのつながりは。

小学生の頃からクラシックバレエをやっていて、将来はバレリーナになってオペラ座があるフランスに住むと勝手に思い込み、フランス映画を観て、フランス音楽を聴いてフランス語の勉強をしていました。ダンスや音楽以外に好きなものがフランス語だったので、大学はフランス文学科を受験して、卒業後は音楽関係の会社に就職しましたが、友人に頼まれて作ったフランス語のデモをきっかけに音楽制作に目覚めて、その後はもう思い切って音楽の勉強をしようとパリへ行きました。

―小関さんにとってのフランスとは。

パリの街には芸術が溢れています。ピカソやダリなど外国からも芸術家たちが沢山移り住んで、生活を通して作品を生み出していました。彼らが住んでいたアパートは今も残っていて、そこに住んで芸術を生み出すアーティストたちがいる。お金が無くても不幸でも、セーヌ川の流れ、水面に写る街灯、空に飛び交う飛行機雲を見上げてごらんよ、美しいだろうって。そんな素直な音楽がいっぱいある街。こんな風に生きたら素敵だよって教えてくれる国です。

―ご自分の歌はどんな歌だと思っていますか。

饒舌な言葉で歌い上げるというよりは、拙い言葉でも人を癒すような歌が私は好きです。波乱万丈の人生を歩んだエディットピアフのようには歌えないし、「イエーイ!」って元気にも歌えないし、自然体のまま、今の自分の生き様が出る、生活するようなそんな歌でありたいと思っています。

―いわゆるシャンソンですか。

本来の意味でのシャンソン(仏語で歌の意)は、演歌でありフォークソングであり、歌そのもの。だからジャズ、シャンソンなどというジャンル分けすることなく、シチュエーションに合えば行き来してもいいし、進化していってもいい。それがまたスタンダードになったらいいなと思っています。

―街を盛り上げるために何か一緒にできたらいいですね。よろしくお願いします。

こちらこそ、ぜひよろしくお願いします。

ライブ情報は今後どんどん増えてまいります。ぜひ、公式ホームページでチェックを! 
http://www.envie-official.com/

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