2017年
8月号
8月号
KOBEの本棚|政略結婚 高殿円
政略結婚 高殿円
お家に尽くせ。かつて女たちに課せられた「結婚」。
江戸・明治大正・昭和という3つの時代を生きる女性の結婚観と3人の主人公達がどのような人生を歩んでいくのか。そして120年間で結婚観はどのように変わったのか。
「結婚観」をテーマに歴史を振り返る、女性への応援譚ともいえる大河ロマンをご紹介します!
「第一章 てんさいの君」では、実在の人物、加賀藩主前田斉広の三女・勇姫が主人公。加賀大聖寺藩主前田利之の次男・利極と結婚します。二人の仲は良かったものの、子に恵まれず、夫は早逝。人生を静かに受け入れ、家の存続のために尽力する勇姫の姿が描かれます。
「第二章 プリンセス・クタニ」の主人公・万里子は、カナダからの帰国子女。加賀藩の分家小松藩の子孫でありながら、日本で初めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオン・ガールとして文明開化後を生き抜きます。
「第三章 華族女優」では、芸術一家の伯爵令嬢で、豪奢壮麗な洋館に生まれ育った花音子を描きます。幼い頃に、昭和恐慌で家が破産。学習院に通いながら、新宿のレビュー劇場の舞台に立ち、スターダムにのし上がりますが|。
不思議な縁でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らの姿に感動、共感の声が多数寄せられているそう。
兵庫県神戸市で生まれ、現在も兵庫県在住の高殿さん。もろくも強い女性たちのモデルは、神戸の女性たちかもしれません。
著者:高殿 円(たかどの まどか)
2000年「マグダミリア 三つの星」で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級」シリーズ、「カーリー」シリーズ、「剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎」「主君 井伊の赤鬼・直政伝」など多数