2月号
日本・スイス国交樹立150周年 世界最高峰の “絵画” と “時計” が神戸で出会う
2014年は、日本・スイス国交樹立150周年の記念すべき1年でした。2月にはブルカルテール大統領が訪日され、6月には皇太子殿下が「日本・スイス国交樹立150周年」日本側名誉総裁としてスイスを公式に御訪問されました。
スイスには多くの国際機関の本部が置かれ、常に世界経済の中核を担います。IMFによりますと、2013年の国民一人当たりのGDPは世界でもトップクラスの水準であり、世界で最も国際競争力の高い国のひとつとして知られています。そんなスイスを代表する産業のひとつが、高級時計に代表される精密機械工業です。
スイスと時計のかかわりは古く、16世紀に宗教改革が起きフランスから多くのユグノー(カルヴァン派の新教徒)がジュネーブに逃れました。 ユグノーの多くは絹織物、染色技術、印刷術、時計製造技術に長けており、 またジュネーブでは優れた宝飾技術が発展していたため、 双方の技術が結びつくことによりスイスの時計産業が大きく成長する礎となります。当時のスイスは冬になると深い雪に閉ざされてしまい、山間部の産業は農業と牧畜を中心としているため、冬の間は内職などの副業で生計を立てていました。そのような時代背景から生まれたのが時計作りです。自宅の屋根裏部屋(キャビネ)で時計を製作するため、時計職人の事をキャビノチェとよぶようになります。ジュネーブからはじまった時計製造はやがてスイス各地に広がっていくのです。ヴァシュロン コンスタンタン、ロレックス、ブライトリング、ジャガー・ルクルトなどはその代表格と言えるでしょう。
2014年は、高級時計業界でも周年記念を迎えたメーカーも多い一年でもありました。世界三大高級時計メーカーのひとつに数えられ、世界中の高級時計愛好家を魅了してやまないパテック フィリップ も175周年を迎えました。
1844年、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックはパリでジャン-アドリアン・フィリップに出逢います。パリで行われていた博覧会にフィリップは自身の発明した革命的な機構を出品していたのです。直ちに2人は意気投合し、1845年、ジャン-アドリアン・フィリップは「パテック社」の共同経営者になります。「世界最高の時計をつくる」という社是の下に1851年には、社名を「パテック フィリップ」と改めます。アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとジャン-アドリアン・フィリップの出会いが、世界の時計製作を大きく進歩させ、歴史にその名を残すこととなったのです。
私どもカミネも、昨年はトアロード本店を13年ぶりにリニューアルいたしました。おかげ様で、来年に110周年を迎えます。多方面から高い評価を頂戴しました2階のパテック フィリップ専用フロアは、最新コンセプトを取り入れた空間で、人気定番モデルからスペシャルタイムピースまで、魅力的なラインナップをお楽しみいただいております。
現在、150周年を記念してスイスの文化を幅広く紹介する特別イベントが各地で開催されています。日本ともゆかりの深いバルテュスの大回顧展、スイス・ローザンヌに生まれパリで活躍したヴァロットン展、スイスの巨匠ホドラーの回顧展などが続きます。そして、神戸でも神戸市立博物館では、スイスを代表する美術館で世界的な名画がそろう「チューリヒ美術館展」が5月10日まで開始されています。10万点以上ものコレクションの中から厳選した、モネ、セザンヌ、ピカソなどの名作は初来日となります。
私どもカミネ5店舗は旧居留地店を含め、「チューリヒ美術館展」が開催されます神戸市立博物館とは徒歩圏内にございます。日本・スイス国交樹立150周年を契機に、チューリヒ美術館の珠玉のコレクションとスイスが誇る高級時計ブランドの数々をお楽しみいただく1日をゆっくり過ごされてはいかがでしょうか。