2月号
~茨城、陶芸女子旅リポート~
観る&買う&創る、を一度に楽しむ
陶芸の里・笠間の素敵すぎる陶器
神戸空港からスカイマークで1時間ちょっと。意外と近い茨城県ながら、「茨城県と言えば?」「………、水戸納豆?」という具合に、その魅力を知らない人が少なくない。納豆だけではない(!)茨城の魅力の中から、今回は“笠間焼※という陶芸”にフォーカスし、関東一の歴史を誇る焼きものの産地、茨城県・笠間の魅力をたっぷりと紹介。陶芸好き女子ならずとも、わざわざ訪れたいショップやグルメが満載だったりするのだ。
※笠間焼は、江戸時代の安永年間に箱田村の久野半右衛門が信楽の陶工、長右衛門の指導で焼き物を始めたのがきっかけと言われる。現在、300人に近い作家が全国から笠間に移り住み、自由に陶芸作品を生み出している。食器からオブジェまで、作者の個性が多様に表現されている笠間焼は、ツアーガイドさんいわく「シュッとしていて釉薬の装飾も多彩」だとか。さてさて、どんな素敵な陶芸作品と出会えることやら…。
神戸空港からスカイマークに
乗り1時間少しで茨城へ到着!
昨年10月に実施された「陶芸女子とめぐる笠間浪漫・アートギャラリーモニターツアー」に、神戸の人気女子ブロガーと共に参加。1日2便(2/26以降は3便)の運航があるスカイマーク航空を利用すると、神戸空港から茨城空港へは1時間少しで到着する。陶芸の里として人気の笠間を中心に、1日目は【笠間浪漫】という陶器市、2日目は【陶芸女子】の案内による美術館やギャラリー巡り、さらには参加者自ら陶芸体験できるという、陶芸三昧、盛り沢山の内容の旅だ。
サラサラなのにトロトロ
旨&美容に◎な3年グルメ
まずは笠間稲荷神社の近くにある『むぎとろ量深(りょうしん)』で、名物の「麦とろ御膳」をいただく。じっくり3年かけて育てた山芋をふんわりとすりおろしたトロロ。ズルッとすすれば、まずその甘さに感動する。春植えて、秋掘り返し、翌春に畑を変えて植え替えという作業を3年繰り返して作られる山芋は畑3つ分の栄養分で美容効果も抜群。女子に大人気とか!
陶芸のお祭り、『笠間浪漫』
納豆鉢(!?)に地元美味も勢揃い
昼食後、日本三大稲荷として1350年余りもの歴史を誇る『笠間稲荷神社』に参拝。ご祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。地元からは「お稲荷さん」として親しまれ、お膝もとの笠間稲荷門前通りの店では、ご当地グルメのいなり寿司が販売される。「笠間いなり寿司」は、寿司飯の代わりにそばを使ったり、クルミや舞茸をトッピングしたり、多彩な素材を使った変わり種スタイルが特徴だ。
その後、「笠間芸術の森公園」で開催される、陶器市【笠間浪漫】へ。「懐かしくて、新しい。手仕事の魅力再発見!!」をテーマに、毎年10月中旬に4日開催され、延べ12万人以上が訪れる。笠間焼や稲田みかげ石などのクラフト、地元の農産物や田舎料理など全150ブースの半分以上が陶器のブース。皿や鉢、置物など、多彩に揃う笠間焼の注目は生産量日本一という茨城県の納豆をよりおいしく、より手間なく食べるための納豆専用の「納豆鉢」。茨城の茨城による茨城のための納豆鉢はブロガーも次々購入する人気商品だ。ほかにも茨城が誇る、世界的に有名な「常陸野ネスト」の生ビールを飲めるブースや笠間市内の四酒蔵の地酒の飲み比べブースなど、呑んべえさんご満悦な店も!
笠間の地酒を笠間焼で乾杯!
地元・茨城の方と交流会
夜は、笠間の地元の方と『グランパとグランマのお店』にて交流会。ここはシニア中心のNPOグランドワーク笠間が営むカフェで、地産地消をコンセプトに、シニア世代のスタッフさんの畑でとれた野菜を多用した手作り料理を楽しめる。県内初で制定された「笠間市地酒を笠間焼で乾杯する条例」に則り、まずは乾杯!笠間特産マロンポークのメンチカツや栗ご飯に栗焼酎をいただいて皆、ご機嫌だ♪
女子目線で陶芸を発信する
【陶芸女子】に御対面!
翌日は笠間芸術の森公園の『笠間工芸の丘』でロクロを使った陶芸体験。気をぬくとグニャ〜、難しくも楽しい作業にブロガー一同、夢中に。成型した器は、海鼠(なまこ)や珈琲など、ユニークな名前がついた釉薬の中から好きな色を選び、焼いた完成品を後日、自宅に郵送してもらえる。
その後、陶芸女子の皆さんと合流。「陶芸女子」とは、やきもの好きの一般人から陶芸家、ギャラリーなど、陶芸を愛好する女性の会で、2012年に茨城で結成、今では全国に200人のメンバーを数える。イベント開催、フリーペーパーやWEBで情報配信し、陶芸=年配の渋い趣味というイメージをくつがえし、誰もが気軽に陶芸の魅力を体験できる仕組み作りを行っている。
彼女達の案内で、『茨城県陶芸美術館』と、笠間芸術の森公園に沿って約2㎞続く『ギャラリーロード』へ。『茨城県陶芸美術館』は、東日本で初の陶芸を専門に扱う美術館。笠間焼の歴史と変遷を紹介した展示室ほか、茨城県出身で近代陶芸の祖ともいわれる板谷波山や、異なる色の粘土を練り合わせ、その伸び縮みで模様をあらわす「練上手(ねりあげで)」技法で知られる松井康成など、国内の著名作家の作品がずらりと並ぶ。「板谷波山は完璧主義者で、意に沿わない出来上がりの作品は即、たたき割ったそうです!」という、陶芸の歴史にも精通する陶芸女子の解説に耳を傾けながら、装飾性豊かな作品を見学。
地元作家たちが軒を連ねる
笠間焼のメッカでやきもの散歩
カフェ『ドロップ・イン』で茨城県産ローズポークのハンバーグや栗プリンのランチ後、『ギャラリーロード』巡りへ。笠間焼を中心に全国の個性的な作品を揃えるセレクトショップ『スペースNICO』、中庭をぐるりと囲むように自然光を活かして作品を展示する『回廊ギャラリー門』、交流会にオーナーが参加されていた“料理をひきたて、花に寄りそう”をテーマにした『ギャラリー舞台』、若手作家の作品を中心にキュートな動物の陶器が豊富に揃う『きらら館』など、個性的なショップ25軒が点在するやきもの通り。『きらら館』には併設してベーカリーもあり、焼きたてのパンやパティシエが作る日本一美味しいソフトクリームも楽しめる。
『回廊ギャラリー門』で個展を開いていた陶芸家の近藤文さんにお話を伺った。「一人旅をしたアジアでモノ作りの素晴らしさに目覚め、陶芸家を目指しました。横浜から益子に移り住んで修業し、笠間市に築窯。伝統にこだわらない自由闊達な笠間の気風の中、大好きな飴色の釉薬にこだわって作っています。全国から若い陶芸家たちが集い、感性を磨く笠間は刺激にあふれ、作家にも、陶芸好きな人にも、魅力的な町だと思います」。
最後は茨城空港近くの『空のえき そ・ら・ら』でお土産を購入。栗や干し芋など地元の新鮮野菜の直売所や農家レストラン、搾りたての生乳を使ったヨーグルトの生産工程を見学できる施設もある。
楽しかったモニターツアーは、これにて終了。陶芸の里・笠間にしかないメイド・イン・カサマを体験して、味わって、買物して、大充実の1泊2日。陶芸はもちろん、食べ物も人も空気も魅力がいっぱいの茨城、わざわざ訪れたい茨城へは空路がオススメだ。