2016年
2月号

2016年 2月16日 神戸空港開港10周年に未来の神戸を思い描く ①

カテゴリ:経済人

敬称略:順不同

神戸・伊丹・関空の3空港の一体運用を

バンドー化学株式会社
代表取締役社長 吉井 満隆

 このたび、神戸空港が開港10周年を迎えられるにあたり、心よりお祝い申しあげます。
 神戸空港は、開港から10年が経ち、神戸市民はもとより、近隣都市の方々にも広く利用されており、国際都市神戸の新たな玄関口として、すっかり定着してきたと思います。
 神戸空港が開港した2006年、当社は創業100周年を迎えました。その記念事業の1つとして、空港島に隣接するポートアイランド第2期に用地を取得し、翌年10月に現在の本社事業所を竣工し、地元神戸を本拠地としてグローバルな事業活動を展開してまいりました。
 現在、神戸を含む関西圏の経済は、首都圏に比べ、少し地盤沈下気味ですので、どのように立て直すのか、自治体と地元企業が一緒になって、考えなければなりません。関西には、観光をはじめ港や空港など、魅力的な経営資源が数多くございますので、神戸・伊丹・関空の3空港の一体運用をはじめ、保有する経営資源をどのように活用していくか、関西広域連合のような地域を広く面でとらえるような発想により、地域経済を活性化していくことが大変重要だと考えます。
 当社といたしましては、今年4月の創業110周年を機に、地元神戸の企業として、グローバルな事業活動をさらに推進することで、地域社会の発展に貢献してまいる所存です。

新たなエクスペリエンスに向けて

株式会社瀬戸本淳建築研究室
建築家 瀬戸本 淳

 開港10周年おめでとうございます。神戸空港の発展はみんなの夢です。近い将来、新しく収集された調査・研究データに基づいてマネージメントされ、運行回数が拡大し、24時間空港に近づき、国際線への道を歩んでいくことになると信じています。高度なコネクション技術によって、3空港の一体的な運用も可能になります。
 アクセスについては、ポートライナーの新神戸までの延伸化、高速化、神戸空港-関空の海底リニアモーターカー、湾岸線の延伸化、すぐに乗れるレンタカーシステム等々が現実化への道を歩むことで、きわめて乗り継ぎの利便性が高い空港になります。これまで我慢してきたことが打ち破られ、移動の新しい体験が待っています。
 定着した存在の私たちは、移動性によって活動範囲を広げ、いくつもの土地に所属するかのようになります。土地に根づくコミュニティ・社会のあり様は、より流動的なものに変化することでしょう。自由な遊牧民のような概念です。空港は、居場所が複数化していくシンボルとして、すべてがそろった住環境のような親しみのある姿に変化していくにちがいありません。神戸空港が、人々の生活や活動の愛着を生む場として活性化することにより、世界とつながる神戸の未来が豊かになることを大いに期待しています。

神戸空港を通して神戸の魅力を全国そして世界に

神戸華僑総会
会長 鮑 悦初

 神戸空港開港10周年誠におめでとうございます。
 1868年の神戸港開港を機に、我々神戸華僑は他の外国の人達と共に神戸に移り住み、世代を重ね本年149年目を迎えます。その間、時代の変化と共に、遠方への移動手段が船や機関車から飛行機や新幹線などへと進化し、神戸にも待望の「神戸空港」が出来ました。
 神戸には南京町、神戸華僑歴史博物館、関帝廟、孫文記念館、神戸中華同文学校はじめ、華僑ゆかりの地や華僑が関係する建物が多数あり、旧外国人居留地や北野を中心に今も多くの異人館が点在しています。そして今も多くの国々の外国人が神戸に居住し、神戸市中央区では外国籍居住者は1割に上ると統計されています。正に国際都市神戸の一面を表しているのではないでしょうか!?
 近年、中国からも多くの観光客が日本を訪れる時代となりました。神戸空港は関西国際空港からベイシャトルで約30分のアクセスで、北は北海道から南は沖縄、日本の他の都市にも繋がっています。多くの中国観光客の方々に神戸を訪れて頂き、我々華僑の神戸での日本の皆さんとの共生の様と「落地生根」の歴史を知って頂けることは大変嬉しいことであり、中国からの多くの観光客の皆さんが神戸に来てくれることを願っています。そして神戸空港の利用が広がれば神戸の更なる発展に繋がるのではないでしょうか。
 この魅力溢れる神戸空港を通して、神戸の魅力を全国の皆様、世界の方々に知っていただけることを祈念致しております。

神戸空港ラブコール

株式会社神戸クルーザー・コンチェルト
会長 南部 真知子

 飛行機が好きだ。離発着を見るのも好きだが、乗るのも心躍る。神戸と東京を往復することが多いので羽田便を頻繁に使う。時間と労力を効率的に使いたい私にとって、移動の拘束時間が短いだけではなく、空港までのアクセスがとても魅力だ。ネットで予約をするが、座席を指定する段になると迷いが生じる。右か左か。季節、時間帯、天気によって見たい景色が変わるのだ。
 額を窓にくっつけ、刻々変化する景色を飽かず眺める。晩秋、日没前のピンクのグラデーションに包まれた明石海峡大橋上空も圧巻だったが、帰神時、左翼側で覗き込んだ冠雪富士の威容は筆舌に尽くし難かった。機内販売のドリンクは、たいてい神戸ワイン。PRを込めて大声で注文する。上体をシートに沈め、ゆったりと神戸ワインを味わいながら機内誌に目を遣れば「船と空」の業務提携のイメージまでも浮かんでくる。
 さて、10年前、神戸空港開港の頃、八重山諸島の写真展があった。南国の魅力的な風景に心惹かれながら「そうだ、神戸空港から簡単に行けるんだ!」と思えたその瞬間の、遠距離感から解放されたウキウキ感が忘れられない。心の壁を神戸空港は取り除いてくれた。
 去年の小正月は、急に思い立ち朝一番の仙台便を利用。新幹線に乗り換えて、秋田県上桧内村の大紙風船打ち上げ行事へ。こんな慌ただしい行程を可能にしてくれたのも神戸空港だ。
 先日台湾に行ったが、東灘の我家から関空までが、飛行時間とほぼ同じだった。関空は遠い。強風のため鉄路の友人は橋の手前で立ち往生した。改めて痛切に思う。関空・伊丹の一体運営の後には、安全・至便な神戸空港も追って参画させ、国際空港としても機能させてほしい。より理想的な、関西の空の玄関口体制ができるはずだ。

Face to Face のコミュニケーションにも「空港」が、大いに役立つ

株式会社神戸ポートピアホテル
代表取締役社長 中内 仁

 2006年2月、神戸空港開港に胸を躍らせた。ポートピアホテル本館から南側を見渡すと神戸空港が一望できる。飛行機が離発着する様子は、優雅でロマンさえ感じる。
 アメリカに留学していた頃、小さな街にも空港があることを知った。広大な国を行き来する手段として、飛行機の存在が身近にあり、市民の生活の一部となっていた。
 神戸空港が市民の生活の質を高め、雇用や税収においてもプラスの効果をもたらすことは間違いない。また、ポートアイランドⅡ期に位置する医療産業都市の推進には欠かせないインフラのひとつである。
 2008年、ある医学会事務局が東京から神戸の医療産業都市に移転した。その頃の中心メンバーであった先生が、神戸空港があることを理由に移転の後押しをされたそうだ。また、スーパーコンピュータ「京」や、自動車販売メーカーの西日本研修センターなどが進出していることも、神戸空港が大きく貢献していることは言うまでもない。
 ホテル業界にとっても、もちろん神戸空港は追い風となっている。神戸市内ホテルの稼働率上昇はもちろん、ホテル建設ラッシュもあり、多くの恩恵を受けている。
 一方で、情報が瞬時に世界を巡り、地球の距離が縮まる中、Face to Faceのコミュニケーションにも「空港」が、大いに役立つことをあらためてお伝えしたい。飛び立つ飛行機の中で、会いに行く人を想い、将来の希望を描き、胸をふくらませる。飛行機は、人や物を運ぶだけでなく、その背景にあるドラマも届けているのだ。神戸空港のさらなる飛躍を期待せずにはいられない。

神戸の町の活性化のキーとなっていく

株式会社淡路屋
代表取締役社長 寺本 督

 10年前、神戸空港開港の日、お祝いセレモニーの中、ワクワクして日航の第一便に乗り込みました。機内は、空港誘致に力を尽くされた方々が多く乗っておられ、離陸する際は、拍手が起こりました。それまで関空の神戸沖建設を逃したこと、阪神・淡路大震災など苦難に満ちた誘致運動を振り返り、万感胸に迫る思いでした。羽田空港に到着したとき、井戸知事が到着便ボードを見られ「神戸という表示があるのは気持ちいいね。」と言われた一言が印象的で、まさに同感でした。思い返せば関西新空港の神戸沖誘致、その後の神戸空港の誘致などは我々神戸青年会議所の歴代先輩方が、逆境にあっても一貫して訴えてこられた運動で、長い間のメインテーマであったと言っても過言ではありません。
現在、全日空の朝晩の神戸/羽田便は、羽田からの数多くの早朝深夜の国際線にスムーズに接続でき、スルーチェックインも可能で、世界への玄関口になっています。世はIT全盛時代で世界中の端末からKOBEと打ち込むと、即座に神戸行きの航空便の検索・予約が出来ます。空港がないと、検索出来ず、行き方が分からないという事が往々にして起こります。それほど都市名を付けた空港があるということは大切で、インバウンド客の招致や国際都市間競争にも大きくプラスに働いています。
 現在、国内には空港の新設計画はもう無く、神戸空港は、正に滑り込みの建設であったと思います。最後の最後に神戸空港が建設できたという幸運を生かし、将来長きにわたり神戸の町の活性化のキーとなっていくことと思います。

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〈2016年2月号〉
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