11月号
芦屋のお客様とともに歩んだ70年「株式会社 竹園」
「芦屋で商売に成功すれば全国どこでも通用する」とまでいわれる地で愛され続ける「竹園」。「お客様の厳しい目で育てていただきました」と話す福本社長に、70年の歴史やこだわり、今後についてお聞きした。
70年前、精肉店として創業
三田出身の創業者は、幼い頃から丁稚奉公に出て働き、肉や料理のことを学びました。さらに、戦地でも食糧係を務め、肉や料理を見る目を磨きあげてきました。戦後は三田から山ひとつ越えた高級住宅地・芦屋で事業を興すことを決め、精肉店を始めたと聞いています。元々は福本商店として営業していましたが、創業者が戦地で素晴らしい竹園の風景を見て日本へ思いを馳せたという経緯から、「竹園」の名前の由来となりました。
最初の10年は大変だったようです。芦屋で創業したものの、なかなかお客さんがつかず、出身地の三田から注文があれば自転車で山越えして配達をしたという話もありました。次第に「お肉が美味しい」という評判が口コミで広がり、少しずつ地元のお客さんに買いに来ていただくようになりました。
芦屋で磨き上げられて
芦屋で商売に成功すれば、東京でも全国どこでも通用するといわれています。それほど芦屋のお客様の目は厳しく、私どももその厳しい目で鍛えていただいています。そのお陰で、仕事への取り組み、料理へのこだわり、コアであるお肉へのこだわりが磨き上げられ、70年という伝統と歴史を築くことができたと思っています。
例えば、4年前のレストランリニューアルもお客様のひと声「時代遅れのホテルの食堂みたいやな」がきっかけでした。30年前には流行の最先端をいっていたパステルカラーの店内が時代の流れに取り残されて、そんなイメージで捉えられていたんですね。そこで、木や石など温かみのある自然素材を使った落ち着いた雰囲気でリニューアルし、竹園一番の売りである但馬牛を使ったお肉料理を中心とした「レストランあしや竹園」にしようと決定しました。
譲れない誇りと自信が「竹園のお肉」を生む
竹園で提供するお肉は、ブランド名を限定せずに「竹園特選」としています。私どもが提供したいと考えているのは、但馬牛でも神戸ビーフでもなく、「竹園のお肉」です。決してブランド名を冠にして一方的に与えられたお肉を提供しているわけではありません。美味しいお肉に至るまでのプロセスも全て含めて提供しています。例えば、一頭の但馬牛を竹園と他の精肉店で分けたとします。職人の技と熟成で仕上りが全く違ったお肉になります。これが「竹園のお肉」です。この部分には決して譲れない誇りと自信があります。
さらなるオンリーワンを目指して
海外より取材に来られた方から「お肉屋さんが発祥でレストラン、ホテルまでやっておられるのは恐らく世界でも竹園が唯一だろう」と言っていただきました。70年やってきたことは間違いではなかったと確信しました。さらに超一流、オンリーワンを目指して磨きあげていくことが、私たちの今後も目指していくべきところだと思っています。
福本 吉宗 さん
株式会社 竹園
代表取締役社長