2016年
11月号

Power of music(音楽の力) 第11回

カテゴリ:, 文化・芸術・音楽

音楽の第一印象
『タイトルを文学のように』

上松 明代

 第一印象はとても大切だ。「人は見た目が9割」「人の印象は3秒で決まる」という著書も出版されている。音楽の第一印象とは、ズバリ曲名。特に歌詞のないインストルメント曲にとっては死活問題だ!(大袈裟か⁉)
 クラシック音楽は「絶対音楽」と「標題音楽」に二分類される。まず「標題音楽」とは、文学や絵画等の音楽以外の観念と結びつき、情景やイメージ、気分などを描写した器楽曲のこと。スメタナの『モルダウ』やムソルグスキーの『展覧会の絵』など。これと対立するのが「絶対音楽」。物語やイメージを表現する音楽ではなく、音楽そのものを表現した音楽のことを指す。例えば、交響曲第*番や、ピアノソナタ作品*番、など。
 世の中には珍妙なタイトルの曲が存在する。それはクラシック音楽の偉人の作品でも然り。このことで一番に思い浮かぶのが、奇才なフランスの作曲家、エリック・サティ。『犬のためのぶよぶよした前奏曲』『官僚的なソナチネ』『家具の音楽』他、曲名を見ただけでは頭を抱えてしまいそうな、奇抜でキャッチーなタイトルだ。他にも紹介しよう。リヒャルト・シュトラウス『泡立ちクリーム』(ウィーンの洋菓子店「デメル」のケーキから閃いたらしい)、ベートーベン『失われた小銭への怒り』、ヨハン・シュトラウス『証券取引所』。聴くと分かるが、どれもイメージが踊り、想像を彷彿させる。
 標題音楽の場合、唯一、言語表現が可能なのはタイトル(曲名)だ。文学と言っても過言ではない。曲の第一印象はここで決まる。音楽とはタイトルで、より鮮やかに、時に消沈する。
 「神戸」をテーマにした曲を書いたらどんなタイトルが出来るだろう。『港が見える街灯の下で』『異人館幻想曲』『べっぴんさんセレナーデ』。神戸はネタが豊富だ〜。
 私も曲を書くときタイトルが文学的になるよう思考する。例えば『マロニエの罠』ってどんな罠?(答えはYouTubeにて)

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上松明代(フルート奏者・作曲家)

武蔵野音楽大学卒業。在学中にハンガリーの「音楽」と「民族」に魅了され、卒業後ハンガリー国立リスト音楽院へ留学。31歳で知的好奇心から兵庫教育大学大学院で作曲を学ぶ。演奏活動と同時にバイタリティー溢れる作曲活動も展開中。六甲在住。You Tubeにてオリジナル曲公開中。
オフィシャルサイト http://akiyouematsu.com

〈2016年11月号〉
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