2016年
10月号
兵庫県下の交通事故防止のための活動を行う

“事故のない明るい兵庫はあなたから” 〜安全で快適な交通社会「兵庫」の実現を目指して〜

カテゴリ:行政関係

一般財団法人 兵庫県交通安全協会 会長 
兵庫トヨタ自動車株式会社 取締役相談役
瀧川 博司

一般財団法人 兵庫県交通安全協会 専務理事
大畑 登志夫

兵庫県民の安全と快適な交通社会を実現するために、一般財団法人兵庫県交通安全協会では様々な活動を行っています。では、どのような活動を行っているのでしょうか。

兵庫県交通安全協会は昭和5年の設立とお伺いいたしました。

 昭和5年の設立時は、現在とは名前は同じですが、業務内容は大きく異なり、会長には県知事が就任し、道路における安全地帯の設置や交通巡査の増員等、県下の交通行政を担う役割として設立されました。
 その後、昭和16年には、自動車台数の増加や陸上交通の発展に伴い、トラック、バス、タクシー等の自動車関係団体を主体とする交通安全協会に改編されました。
 昭和23年には警察制度の改革と同時に解散となりましたが、同年、全国交通安全運動が展開されたことを機に、県下の各交通運輸諸団体の間で県下一体となった交通安全協会設立の機運が高まり、昭和23年12月25日に現在の前身である兵庫県交通安全協会が誕生いたしました。
 この協会の目的は、民間団体として県下の交通実態の改善を図り、交通の円滑と安全を促進することにありました。その後、県下の警察署単位に交通安全協会が設立され、県協会と連携して交通安全活動を推進することになったのです。
 交通安全協会は社会の交通情勢を反映して、その目的を交通事故防止活動と交通安全教育に主眼を置き、昭和43年には社団法人として、平成2年には財団法人の変遷を経て、平成24年4月から一般財団法人として現在に至っています。
 現在の交通安全協会は、兵庫県下の交通事故防止のための各種交通安全活動と安全教育活動を推進する一方、兵庫県等から各種運転免許業務を受託して運営しております。

昭和44年には、兵庫県内の交通事故による死者数が700人を超えました。平成27年には171人まで減少しました。
             
 昭和44年当時は、自動車の増加、免許人口の増大さらには交通環境の未整備などが要因となって、まさしく「交通戦争」と言われた時代でありました。その後、道路交通法の改正や安全性を追求した自動車の生産、さらには救急医療体制の発展などの要因に加えて、安全意識の高揚によって交通死者数の増減を繰り返しながらも、現在では4分の1にまで減少いたしました。
 私たちの団体は、民間の団体ですので兵庫県や兵庫県警察のご指導を頂きながら常に「我々で出来ることは何か。」を考え、県下の地域交通安全協会と連携して草の根的な活動を展開して、交通事故防止活動を推進しております。
 具体的には、幼児から高齢者の方々に至る広い年齢層に対して、学校、自治会、老人クラブ等で行う交通安全教室や自転車教室、四季折々に展開される交通安全運動、各種交通事故防止を主眼としたイベントやキャンペーンを開催して交通安全意識の醸成に努めています。

現在の死亡者の半数以上が高齢者と伺いました。

 現状では、交通事故死者数の約半数を高齢者(65歳以上)の方々が占めています。若い時に比べ、自動車運転中や自転車乗車中、さらには歩行中の瞬時の反応は徐々に低下していきます。私たちは、各種会合やイベントに積極的に参加して交通事故に遭わないためのマナーや行動について具体的に指導させていただいております。
 また、警察と連携した形で「ホッとあんしん訪問」と名付けて、高齢者宅を訪問して身近な交通関連の話題や反射材の着装等、事故に遭わないための工夫をお話して交通事故の防止を図っています。

飲酒運転の撲滅も大きな課題です。

 普段は「飲酒運転は絶対にしない」と言っていても、少しの気の緩みから飲酒運転を行い、悲惨な事故を招いています。飲酒運転に対しては、道路交通法において厳罰規定を設け撲滅対策を推進しています。
 当協会では数年前から「ハンドルキーパー運動」を展開しています。これは、仲間同士で飲酒する場合、あらかじめ飲酒しない人物を決めておき、この人物が責任を持って車両を運転し、仲間を送り届ける運動であります。これは、県下の飲食店等のご理解ご協力を得て飲酒運転の撲滅に役立てるよう頑張っているところです。

自転車安全利用ではどのような取組みをされていますか。

 兵庫県では、平成27年4月1日に「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定しました。制定の背景は、自転車事故が10年前に比較し1.9倍の約2,100件に増加していること、自転車が加害者となる死亡事故により、9,520万円の損害賠償事例があったこと、自転車が危険な乗り物であるにもかかわらず自転車関連保険の加入率が約24%と低いことなどであります。
 この条例の最大の特徴は、全国で初めて「自転車保険の加入義務化」が規定されたことであります。罰則はありませんが、自転車事故を起こした場合、加害者の高額な賠償額の負担をはじめ、被害者の救済を図るための規定でもあります。
 兵庫県交通安全協会では、兵庫県の提唱する自転車の安全利用に賛同して兵庫県交通安全協会自転車会員制度を設立して自転車安全利用の促進を図るとともに、自転車会員専用の「ひょうごのけんみん自転車保険制度」を開発し、運用しているところです。
 最近の兵庫県の保険加入調査結果によれば、60%の方々が自転車保険に加入していることが判明し、保険加入の機運が高まっております。
  
交通安全社会「兵庫」の実現のためには、一人でも多くの人々、企業・団体の協力が必要ですね。

 私たちは民間の交通安全推進団体であり、行動の主体はボランティアの皆さんであります。そこで私たちは、イベントやキャンペーンを交通関係団体の皆さんと積極的に協力して開催し、地道ではありますが、これらの交通安全行事を通じて命の尊さを訴えているところです。また、イベントやキャンペーンでは、参加された県民の皆様の心に残る内容に配意し、交通安全協会の存在意義を認知していただけるように日夜頑張っています。

婦人部連絡協議会が大きな貢献をされていると伺いました。

 県下には53の地域交通安全協会があります。これらの各協会に婦人部があり、それぞれの地域では、「うさちゃんクラブ」などを結成して幼児向けに交通安全教室を開催したり、老人施設等を訪問して交通安全指導を行う一方、地域交通安全協会が実施するイベントやキャンペーン活動の中心となって活動していただいております。
 また、県単位で交通安全活動を推進するために、県交通安全協会に婦人部協議会を設置しています。協議会では、「交通安全は家庭から」をモットーに家庭における子育てを通じた交通安全教育の推進や委託事業でありますシートベルト・チャイルドシート着用調査など県下の統一的な活動をしていただいております。

今後の目標についてお聞かせください。

 交通戦争と言われた時代から、現在では交通事故死者数が4分の1になったことによって、「交通事故の発生は鎮静化した。」と捉えられる方もいらっしゃいますが、県下では今なお年間200人前後の尊い命がある日突然に失われているほか、年間約3万5,200人もの方が負傷されている現実を鑑みますと、交通安全活動は社会的にも重要な分野であることに全く変わりはありません。
 私たち一人ひとりが「一件でも悲惨な交通事故を無くそう。少しでも交通安全を願う輪を拡げていこう。」という行動を毎日のそれぞれの生活の中で実行し、交通事故のない安全で快適な交通安全社会「兵庫」の実現を目指し、より一層の努力を続けていく決意をしております。

左から瀧川博司会長と大畑登志夫専務理事

左から瀧川博司会長と大畑登志夫専務理事


(一財)兵庫県交通安全協会キャラクター

(一財)兵庫県交通安全協会キャラクター


兵庫県下の交通事故防止のための活動を行う

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三世代交通安全教室

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ホッとあんしん訪問

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小学生に対する自転車安全教室

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幼児に対する交通安全教室

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