10月号
コンサルティング・サービスならおまかせ
株式会社 フラッグインマネジメント
代表
康乗 克之さん
―神戸と横浜に拠点を置いているそうですが、今は横浜が中心だとか…、何故でしょうか。
康乗 今、横浜は元気です。開港150周年イベントやエイペック開催など、積極的に仕掛けていっています。残念なことに、神戸はちょっと元気がない。私も神戸の人間ですから、マーケットを広げたいとは思っているのですが、当社のメリットをどう分かってもらうかを正直、今は模索中です。
―コンサルティング業務とは?
康乗 一番相談が多いのは危機管理です。今話題になっているBCP、つまり災害が発生した時に企業の業務をどう継続させるかについてです。一般企業から行政機関まで幅広い需要があります。
―具体的にはどのようなサービスですか。
康乗 事業継続計画作成のお手伝いをし、更にシミュレーションして運用していきます。災害発生時に人、物、情報、資源などをいかにして確保するか、例えば24時間以内に復旧させて継続させるというような計画です。製造業、特に自動車メーカーの協力企業、また行政機関からの要請が多いですね。サプライチェーンをいかに健全に保つかは、災害時の社会的意義があります。
―フラッグインマネジメントならではの特徴は?
康乗 丸投げされた依頼を丸受けするのではなく、企業と一緒に作っていくというところです。役割分担をし、順調に進まない時にはカウンセリングで役割を変えるなど全体の進捗管理を行います。ですから、依頼企業の元にノウハウが残り、またコスト軽減にもつながります。
―災害医療にも興味を持たれていますね。
康乗 神戸の出身ですし、父親が医者だということもあると思います。始まりは、たまたま災害医療に関しての組織を作る手伝いをして欲しいと依頼があったこと。気がつけば、自分が中心になっていました。東日本大震災では提携している行政からの要請を受け、6月末までに陸前高田を始め、仙台若林、気仙沼などに約20の医療チームの派遣と、その医療活動のサポーティングを行い、私も何度か出向きました。
今回の震災は、阪神・淡路大震災時とは少し様子が違ったようです。救急医療というよりは、心のケアと透析患者の搬送、避難所での救護体制の支援が主な活動でした。6月末には完全に撤収しました。この経験で危機管理に関して非常に多くのことを学ばせていただきました。今後に役立てていきたいと思っています。
―ところで、康乗さんはラガーマンだそうですね。
康乗 ある国際試合で、JAPANはボロ負けだったのですが、当時の早稲田大学OBの石塚武生さん(故人)の、諦めない凄いプレーを見てビビビビっと魂を奪われ、「このスポーツをやろう!」と決めました。慶應大学に入ってからクラブチームで始めました。私が所属したチームは自由な雰囲気で監督を置かず、学生が運営など全てを行い、それをOBが見守り、指導するというものでした。
―慶應で学ばれたことは大きかったのでしょうね。
康乗 私の人生のコアの部分のほとんどと言ってもいいでしょうね。ラグビー用語でもある「One For All All For One」。まさに今年、東北へ行き体験したことです。
―「神戸慶応倶楽部」には塾員が集まるのですか。
康乗 私も神戸へ帰って来たらちょこちょこ寄りますし、例会をここで開くこともあります。皆が集う場所です。私の知る限りでは、皆で会費を出し合って維持する倶楽部ハウスを持つ三田会は他にはないでしょうね。
―さて、フラッグインマネジメントの今後は?
康乗 コンサルティング業界にとって非常に厳しい時代です。どこの企業でも、自社がどれだけ儲かるかを優先しています。これからはコンサルだけではなく、企業の立ち上げや事業の企画そのものを手がけるなど、アイデアを出して世の中の仕組み自体を作っていくことを事業の主体にできるような方向に進みたいと考えています。
―是非、神戸でもよろしくお願いいたします。
康乗 克之(やすのり かつゆき)
株式会社 フラッグインマネジメント 代表
1958年4月生まれ、神戸市出身、1983年慶應義塾大学商学部卒業。公認会計士試験合格後、国際会計事務所KPMGで監査やコンサルティングに従事し。2006年に㈱フラッグインマネジメントを設立し代表に就任。日本災害支援機構・副理事長、神奈川県ラグビー協会・理事等、幅広く活動中。趣味はラグビー。