2013年
3月号

神戸発 こども服で躍進

カテゴリ:子供服, 神戸

株式会社F・O・インターナショナル
代表取締役社長 小野行由さん

1998年6月、福崎(F)さんと小野(O)さん、2人が神戸に本社を置き立ち上げたF・O・インターナショナル。今や、ベビー・子供服業界で日本屈指のメーカーに成長した。現在、国内に207店舗を置き、10ブランドを展開。2008年にはアメリカでも販売事業を立ち上げ、更に経済成長著しい東南アジアへの進出も視野に入れグローバル企業へと成長を続けている。

49歳、行き場がない…
代表取締役社長の小野行由さんは、ここに至るには「挫折」が大きな糧になったと話す。
「私は20年にわたり、子供服メーカーで営業・販売一筋に歩んでいました。1994年に外資系メーカーに転職したところが、翌年には震災。その上、外資系メーカーの大量生産・大量販売という狙いが日本のマーケットとは合わず、5年後には撤退。私も退職を余儀なくされました。バブル崩壊後、大手銀行や証券会社が倒産するような厳しい時代です。49歳の私は行き場がなくなってしまいました」

〝無駄メシ〟ではなかった5年間
しかしこの5年間が、大きな勘違いに気づかせてくれたという。「子供服のことは何でも分かっていると自負していたのですが、それは販売に限ってのことで、企画や生産のことは全然分かっていなかったんです」。行き場がないなら自分たちで何とかしないと仕方がないと、僅かな元手と苦節5年間で培った「モノを見る目とマーケットを見る目」をもっての起業だった。子供服業界一筋だった2人にとっては、それ以外の業界は考えられなかったという。
「さて、何から始めたらいいのか?と目を付けたのが子供の肌着でした。その類の肌着は小売店さんにもたくさんありましたが、柄が古臭くて、おもしろくない。そこで私たちは、新しい柄やトレンドを取り入れ、ウエストゴムはカッコよく、パッケージは可愛く等々、差別化を図りました。とにかく資金は限られていますから、苦労はありましたがね…」。結果、3枚1000円の肌着はヒット商品になり、次の段階へと進むことになる。
「5年間は無駄メシ食ったわけではなかったと思いましたね(笑)。マーケットではどんなものが売れるのかということが見えてきました。そういう意味ではおもしろかったですよ」

安くて、お母さんの価値観を満足させる商品
その後一つずつ積み重ね、順調に成長を続けてきた。現在はアメリカンカジュアルの「BREEZE」、フェミニンな女の子向けの「après les cours」、卸販売事業の「WHAT’S WHAT」を3本柱に10ブランドのベビー・子供服、小物、雑貨を展開している。創業当時からのコンセプトは〝お母さんが自分の財布の中から買える商品プライス〟と〝お母さんに満足してもらえる商品〟。
「百貨店で売っている商品はいいけれど高い。量販店で売っている商品では満足できない。そこで2つをミックスして、お母さんに気に入ってもらえる商品を安く提供するというのが基本的な考え方です」

生産・品質管理・物流機能は中国に
2008年7月、中国に上海愛奮貿易有限公司を設立。生産・品質管理・物流機能を集中させ世界販売網の拠点として、日本国内の企画・生産部門と連携した生産体制と厳しい基準に基づいた検査体制を取っている。中国とアメリカには販売会社も置くが、百貨店中心に展開する中国では、これからはファミリーをターゲットにしたショッピングモールでの販売プロジェクトをスタートさせる。
中国では様々な問題が起きているが、「今まで積み上げてきたものがありますから、高い技術と品質が保証されています。人件費も上がりつつありますが、日本に比べればまだまだ安いですね。とはいえ、リスク分散の必要はあります。手始めに、タイに生産拠点を置き、今後はベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、バングラディシュ方面での生産工場の開拓を模索中です」。

時代を見据え、常にフロンティア精神とチャレンジ精神を!
フロンティア精神とチャレンジ精神をモットーにするF・O・インターナショナル。今後については、「レディース、メンズを展開するSPAアパレルも〝ファミリー〟という切り口で、子供服にも参入してきています。ベビー・子供服業界というのではなく、アパレル業界での厳しい戦いになると思っています。それを勝ち抜かなければ、生き残れない時代です。そのためにできることは何かと言えば、絶えずマーケットを見ながら、自分を変えながら成長していくことです」と話す。デザイン、商品構成などを常に見直し進化させている。また、海外での販売方法も進化させ、中国をはじめ、アメリカでもショッピングモールでの展開を今年の5月から予定している。
「雑貨についても服飾系に限らず、もっと幅を広げていきたいという希望を持っています。新しい切り口で商品を投入し、新しいお客さまを開拓していきたいと考えています」
今に甘んじることなく、時代を見据えたF・O・インターナショナルの挑戦はまだまだ続く。

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unny Landscapeは太陽をイメージした鮮やかな色使いが特徴のブランドです。普段着から少し特別なお出かけ着まで幅広いデザインのラインナップをお届けします。
※男女ともに80センチ~140センチ展開

色鮮やかな柄がオシャレな子供用肌着

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アメリカンカジュアルがテーマの「BREEZE」

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フェミニンな女の子向けの「après les cours」

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神戸デリバリーセンター

神戸デリバリーセンター


楽しい工夫がいっぱいの可愛い店内

楽しい工夫がいっぱいの可愛い店内


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神戸市中央区三宮町
2丁目4-1
電話078-325-5439
http://www.fo-kids.jp/
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小野行由(おの ゆきよし)

1948年神戸市生まれ。1972年関西学院大学法律学部法律学科卒業、子供服メーカー入社。1994年子供服メーカー退社。外資系メーカー入社、企画・販売統括部長。1998年外資系メーカー退社。同年、有限会社エフ・オー・インターナショナル設立。2003年株式会社F・O・インターナショナルに組織変更、現在に至る。

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