9月号
アフターマッチファンクションは〝神戸の食〟でおもてなし
(一財)神戸観光局の「来神者おもてなし事業」にエントリーした「神戸の食の未来を考える会」。ラグビーワールドカップ2019の神戸での試合日程に合わせて「ヨルバル」開催が決定したものの、まだまだ「楽しみ半分、不安半分」の8月初旬、実行委員会メンバー3人にお集まりいただきました。
「ヨルバル」開催。
場所は三宮センター街
―「神戸の食の未来を考える会」についてご紹介ください。
安福 持続可能な社会の実現に向けて、神戸で長い歴史を持つ企業が今後も成長発展していこうと集まり、昨年6月、2年間限定で発足しました。地産地消の推進、フードロスの削減、エネルギー問題などいくつかのテーマがあり、学びながら未来への道を模索しています。神戸は六甲山を挟んで北側に生産地、南側に消費地が近いロケーションにあるにもかかわらず、地域経済循環がうまく機能していないように感じます。JA兵庫六甲さんをはじめ生産地の皆さん、食品加工をする企業や飲食店の皆さんが参加し、この二つのエリアをもっと近づけることで地産地消を推進し、ひいては神戸の食の価値を高めることができるのではないかと取り組んでいます。
壷井 神戸商工会議所に事務局を置き、今までの経験を生かしたアドバイスをいただきながら、私たちは疲弊することなく存分に議論や取り組みを進めることができています。
―そこで、ラグビーワールドカップを盛り上げようとヨルバル開催という元気のいい企画を打ち出したのですね。アフターマッチファンクションの一環ということですが?
壷井 試合が終わったら敵も味方も称賛し合うというラグビー文化の一つです。当初はメリケンパークで開催されるファンゾーンに出すことも考えましたがハードルが高く、アフターマッチファンクションに移行し、観戦後のお客さんがまとまって入れる場所はないかと模索しました。いろいろネガティブなことばかり考えてしまって…まず「雨が降ったらどうしよう?」。屋根がある場所しかないという結論の下、いくつか候補が挙がり、その中で三宮センター街が一番いいと決定しました。
植村 夜から深夜にかけてですから、三宮センター街に夜の街の活性化の象徴的な場になるように思います。
壷井 それは気づかなかった。以前、バルに参加したとき「いいなあ」と思ったので…結果的に植村さんを巻き込むことになり、すみません(笑)。
植村 私自身もワールドカップ開催時には何かできることはないかな?三宮センター街が持っているコンテンツで何がハマるだろう?などと考えていたところに声をかけていただきましたので、その場で快諾しました。神戸そのもののイメージづくりをお手伝いできるのですから面白いという思いがあります。
神戸の街全体のイメージづくりにつなげよう
―準備はどの程度まで進んでいるのですか。
植村 ヨルバル開催はもう10回以上経験し、ある程度フォーマットはできています。今回は海外からも来街される可能性が高く、そうした方々への情報発信やフォローなども重要だと考えています。またこうしたイベントを告知するには単にチラシやWEBサイトを用意するだけでは全く不十分だと思っており、SNS、海外向けサイトなどの活用など、様々な方法を検討しています。当日は英語のできるスタッフも会場に常駐する予定にしており、様々な要望にお応えできればと思っています。ありがたいことに英語圏の国の試合が多いのでサポートはしやすいかなと思っています。
安福 伝え方はとても大切ですね。日本酒の輸出で海外に行く機会が多いのですが、日本でのラグビーワールドカップ開催の話題がよく出ます。神戸での認識とはちょっとギャップがあるように思います。今までは伝統国で開催されていましたが、今回はアジア圏では初の開催です。食の発展を考える上でも、今回のイベントでは日本と神戸の食を世界に発信するいいチャンスだと思っています。
壷井 日本酒のように、すでに日本文化の一つとして世界中に知られている物を更に発信して行く事も重要ですが、その一方、まだ日本の文化として認識されていない神戸の企業さんが扱う食を、日本にしかないディープな文化として紹介するチャンスだともいえます。ワールドカップ開催がなければ、世界の人たちがこんなに面白いものがあることを決して知ることがないもの、日頃一生懸命作っているものを全力で売り出していけたらいいなと思っています。
―具体的な計画は?
植村 マックス12から13ブース、企業さんが個々にブースを出すのかコラボするのかなど、用意しているフォーマットの中でどう表現するかは出店者にお任せします。神戸で試合が行われる9月26日、30日、10月3日、8日の4日間、午後8時から午後12時まで。あちこちから要望があり、想定より日程、時間とも長くなっているのが現段階では幾分不安ですが(笑)。
安福 初めての経験で誰も何も分からず、試合が終わってからのホスピタリティーをどうするかというところから始まりました。どれだけの人がどう動くのかが分からないというのが正直なところですが、遠路はるばる神戸に来られる外国人の方々に食を通して神戸の街全体のいいイメージにつながるようなヨルバルにしたいですね。
植村 旅先で美味しいものを食べたらその街のことは決して忘れませんからね。ラグビーのノーサイドの観客の動き、これはすごく興味深い。対戦相手と肩を組んで飲んだりするのかなあ…とにかくビールの消費量がすごいらしいから足りなくなったら困るなあ…。
―まだまだ不安材料はあるようですが、市民も一緒に盛り上がれたらいいですね。楽しみです!
安福 武之助 さん
株式会社 神戸酒心館
代表取締役社長
植村 一仁 さん
マック株式会社
代表取締役社長
壷井 豪 さん
株式会社 ケルン
代表取締役