2019年
1月号
1月号
神戸のカクシボタン 第六十一回 あれこれ鉄板で踊る隠れた名物 お好み焼 ひかり
写真/文 岡 力
JR神戸駅から徒歩10分、小腹を空かして向かった先は趣がある稲荷市場。その一角に財界の大物や球界のレジェンドも足繁く通う「お好み焼 ひかり」がある。
創業昭和20年、店内では園部周子さん&曽我部さと子さん親子、そして従業員歴40年の徳山かずゑさんが調理の対応に追われている。ここの名物は、お好み焼を海苔で3回巻いた「元祖のり巻き焼」。近隣で三世代に渡り愛されるソウルフードである。これまで多くの媒体でも紹介。最近では、週末になると観光客が訪れる。
カウンターに腰を掛けると注文ドラフト会議を開始。テッパンメニュー「のり巻き焼」を注文しつつ隠れた人気メニューを相談。すると「ちゃんぽんそばどうですか?」と提案を受け反射的に「それをください!」とお願いした。鉄板の上でタコ、イカ、豚がジュンジュンと音を立てる。続いて大きな貝柱と牡蠣がでんと置かれる。その後、シャキシャキのもやし、麺、キャベツが足されドロソースを手際よく絡めていく。最後にネギをふんだんに散らして完成。
二品を前に「少し多いかも」と呟きながら手を合わせる。
10分後…あまりの美味しさに無言で完食。取材中につきビールは遠慮したが「必ずここへ帰って来る」とカウンターに再訪を誓う。
■岡力(おか りき)コラムニスト・放送作家
ふるさとが神戸市垂水区。関西の大衆文化をテーマとした執筆・テレビ、ラジオ番組を企画。連載・レギュラー「のぞき見雑記帳」(大阪日日新聞)「大人の社会見学」(大阪スポーツ)「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)