2019年
1月号
「ファッションはトータルなもの」と藤井さん。「高価なものでなくとも、色・柄の合うものを選び、付属品にも配慮することです」

神戸鉄人伝 第109回 ファッションデザイナー 藤井 美智子 (ふじい みちこ)さん

カテゴリ:絵画

剪画・文
とみさわかよの

粋な柄、渋い配色の洋服。その布地の正体は、何と着物!「着物とニット地を組み合わせたり、パールを刺繍したりすると思わぬ相乗効果で面白いものができます」とファッションデザイナーの藤井美智子さん。著書『タンスの中のルネッサンス』で着物の大胆な再生を提唱なさった藤井さんに、お話をうかがいました。

―服飾の世界に入られたのは何故ですか。
母は和裁が得意で、私も子どもの頃からものを作るのが好きでした。高校時代は進学するつもりで勉強していたのですが、伊東衣服研究所を見学に行って、すっかり虜になってしまいました。そこで指導されていたのは、ダーツで平面な生地を体に添わせるのではなく、コンパスを使って立体的に製図するという方法でした。「この技術を学びたい、私にはこれしかない!」と決意し、進学しないで研究所に行くことにしたのです。

―それからずっと服飾関係のお仕事を?
研究所に4年通った後に、「服飾工房クロ」というお店にデザイナーとして3年勤めました。でも結婚を機に仕事を辞め、子育てとPTAに専念していました。ところが45歳の時に夫が亡くなり、また働くことに。再び「私にはこれしかない!」と、自宅でオーダーメイドのアトリエと教室を兼ねた「モード メイト ミチコ」を始めたのです。

―自ら洋服を仕立てておられたのでしょうか?
注文を受けると、私はパターン(型紙)を作り、色・柄合わせと裁断をして、縫うことは専門の方にお願いしていました。一流の方が縫った服を見てきたので、自分で縫うよりプロに任せる方が良いものに仕上がると知っていましたから。

―着物と洋服を融合させたドレスは、どのようにして生まれたのでしょう。
きっかけは母の着物を違う形で再び着たいと思ったことでした。反物はそれだけでも美しいものですが、これを舶来の洋服地と組み合わせてはどうか。既に仕立ててある着物は丈や幅が限られていますが、これを逆手にとってデザインしてみたのです。この試みから、立体的に製図するという私の技術を最大限に活かすことができる、新しい道が開けました。

―単なるリフォームでなく再生、再興だから「ルネッサンス」なのですね。
ちょうど日本中のお宅のタンスに着物が眠っている時期でしたから、メディアにも取り上げられ、本は人気が出てショーや講師の依頼も来ました。でも私は根っからの技術者で商売下手。注文が増えても手を抜かないし、ショーを開けば持ち出しばかりで赤字。そんな時、『月刊神戸っ子』の編集長だった小泉美喜子さんがファッション・パーティーを提案してくれました。

―どんなパーティーだったのですか?
神戸の素敵な場所でおいしいお食事を楽しみながら、お客様に私の作った服を着て披露していただくという趣向のパーティーで、35年間続きました。毎回シャンソン歌手や室内楽団、ジャグラーなどをお呼びし、皆様に喜んでいただきました。神戸のパーティー文化が一番華やかだった頃ですね。都心にアトリエを持たない私にとって、発表・宣伝の場でもありました。

―昨年アトリエの看板を下ろされたとか。
ずっとお願いしてきた縫製事務所や洗い張り屋さんが閉店したり、こだわりのボタン屋さんや小間物屋さんも廃業したりして、これまでのやり方では続けられなくなりました。服地メーカーも昔のように裏地を生産していませんし、ちょうど時代の節目なのでしょう。要望があればこれからもパターンは教えますよ。立体的で素敵な服を作りたい気持ちに変わりはありませんから。(2018年11月27日取材)

第一線から退いたとおっしゃりながら、まだまだもの作り精神が衰えたとは見えない藤井さんでした。

「ファッションはトータルなもの」と藤井さん。「高価なものでなくとも、色・柄の合うものを選び、付属品にも配慮することです」

とみさわ かよの

神戸のまちとそこに生きる人々を剪画(切り絵)で描き続けている。平成25年度神戸市文化奨励賞、平成25年度半どんの会及川記念芸術文化奨励賞受賞。神戸市出身・在住。日本剪画協会会員・認定講師、神戸芸術文化会議会員、神戸新聞文化センター講師。

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