10月号
音楽のあるまち♬12 毎年10月の二日間、北野坂がジャズストリートに
ジャズライブ&レストラン ソネ 代表取締役社長
曽根 辰夫 さん
10月6日、7日「第37回 神戸ジャズストリート」が開催されます。第1回目からミュージシャンとして参加し、37年間携わってこられた曽根辰夫さんにお話を伺いました。
―神戸ジャズストリートは、いつ、どんなふうに始まったのですか。
北野坂に沿って「ソネ」をはじめ何軒かのジャズ演奏をする店があった当時のこと。この通りを「ジャズストリートにしよう!」と1981年の秋、ラジオ放送界のレジェンド末廣光夫さんが始められたのが「神戸ジャズストリート」です。私も第1回目からベーシストとして参加していましたが、当初は伴奏者をそろえた店をソロ歌手やサックス、トランペットなどのプレイヤーが回って演奏し、お客さんはワッペンを付けてお目当てのミュージシャンを追っかけて店を回るというスタイルでした。
―演奏するのはどういうジャンルのジャズですか。
少し古いスタイルのトラディショナルジャズを演奏するイベントとして始まりました。プレイヤー自身が陶酔するような難しいジャズではなく、聴く人を楽しませるジャズです。アメリカ南部のニューオリンズで生まれた、いわゆるスウィングジャズですが、今のアメリカではモダンジャズへとシフトしていき、演奏されることが少なくなりました。ところがヨーロッパでは、伝統的なスタイルを守っていこうとしています。ですから、神戸ジャズストリートの海外からの参加ミュージシャンもほとんどヨーロッパからです。1996年からは、オランダのブレダジャズフェスティバルで神戸アワードを選び、毎年神戸ジャズストリートに招待しています。その後、毎年参加しているミュージシャンも何人かいます。
―37年続いているというのは、すごいことですね。
だんだん実績を積み、全国的な知名度も高くなると、神戸市もジャズのまちのイベントとして積極的に応援をしてくれるようになりました。ご存知ですか?北野坂の歩道には「KOBE JAZZ STREET」のロゴ入りプレートが数カ所埋め込まれています。神戸市の許可が下りたのですから、実績が認められた証拠でしょうね。ぜひ一度、下を向いて北野坂を歩いてみてください。
―37年を経て、変わってきたこともあるのですか。
当初は店での演奏が主体でしたが、今では「ソネ」と「DAY by DAY」の2軒だけ。インドクラブや神戸倶楽部、北野工房のまちなど、1カ所にたくさんのお客さんが集まれる大きめの会場のほうが多くなっています。お客さんが会場を回るというスタイルは変わっていませんが、スケジュールがきちんと決まっていますから、昔のようにミュージシャンの気まぐれで、どこかのお店にひょっこり現れて演奏するなどという楽しいハプニングはなくなりました。
―これから変えていこうということは?
「いつまでも古臭いことをやっている」と言われてしまっては集客できないというのも事実ですから、若いミュージシャンの参加も歓迎し新しい風を入れようとしています。ただし、お客さんを楽しませるジャズの演奏に限るという当初の趣旨は貫いていますし、これからも変わることはなく続けていくでしょうね。
―曽根さんお勧めの楽しみ方は?
神戸ジャズストリートの醍醐味のひとつが、11時から始まるパレードです。兵庫県警音楽隊と神戸市消防音楽隊を先頭にプレイヤーたちが思い思いに演奏しながら北野坂を北上する賑やかなパフォーマンスイベントです。お客さんも演奏を聴きながら一緒に楽しみ、12時からの各会場での演奏スタートに向けて盛り上がります。会場での演奏を存分に楽しむためのコツは、時間に余裕を持つこと。1カ所で終わってすぐ次の会場へ急いでも、着いた時には満席で入れなくて残念ということもあります。お目当ての演奏を中心に移動時間も考えて予定を立てたり、ひとつの会場で腰を据えてじっくり聴いたり、両日券を利用したり、工夫してみてください。
―今年も6日、7日は北野坂がジャズストリートになるのですね。楽しみです!