11月号
~知る、楽しむ、オリーブで神戸を盛り上げる~9月29日(日)湊川神社で「神戸オリーブまつり」開催
日本で最も古いと言われるオリーブの木のある湊川神社で、オリーブのイベント「神戸オリーブまつり」が開催された。明治に生まれた“神戸の宝”を今につなぎ、豊かな未来を切り拓いていきたい…、熱き想いが伝わる素晴らしいひと時でした。
「阿利襪」って何と読む?
日本のオリーブの産地といえば、香川県の小豆島を思い浮かべるかもしれないが、実は日本初のオリーブ園が作られたのは神戸。明治12年、今の神戸北野ホテルがある地域に「神戸阿利襪園」が開設され、小豆島にオリーブが植えられたのはその30年も後という。「神戸阿利襪園」はやがて閉園するが、湊川神社には当時外国から取り寄せられたと推定される国内最古のオリーブ樹が現存する。
オリーブまつりは、そんな神戸のオリーブの歴史を今に繋ぎ、オリーブに関心を持つ市民と農業者が協働して、オリーブ産地を復活させる活動の一環として実施。今年は100名の定員に対して190名近く応募があり、急遽参加者数を増やすほど人気の高いイベントだ。
当日は現在、西区押部谷でオリーブを育てる「神戸オリーブ園」代表の松下勇人氏やオリーブによる街づくり活動を推進する「インターナショナルオリーブアカデミー神戸」理事長の宇津誠二氏、「湊川神社オリーブの木保存会」の中村成之氏ほかが登壇。オリーブの歴史やオリーブを神戸ブランドに!という意気込みを熱く語り、さらにイベント協賛の㈱J-オイルミルズのオリーブオイルマスターソムリエ、水野勢技世氏による産地毎の味の違いの説明やレシピ紹介、オリーブ関連賞品が当たる「くじ引き」も実施された。
健康に良いと注目されるオリーブに関連する様々な話に参加者も興味津々。「神戸オリーブ」に親しむ“実りある”時間を楽しんだ。
神戸オリーブの歴史を守る
神戸のオリーブの歴史を絶やすことがないよう、地域一体となって取り組みを推進中。日本最古のオリーブ樹は、「湊川神社オリーブの木保存会」の中村氏を中心に大切に守られる。神社で毎月1日に開催される手作り市の日には木の前で説明会も実施。また「神戸オリーブ園」ではボランティアメンバーの会「オリーブメイト」を構成。消費者と農業者が共にオリーブ樹を見守り育て、オリーブの草木染めや料理教室の開催等、“神戸オリーブのある新しいライフスタイル”を提案する。ほかにも「インターナショナルオリーブアカデミー神戸」の事務局が併設される「神戸北野美術館」では「神戸阿利襪園」の関連資料を展示。11月にリニューアルオープンする同美術館もぜひ一度のぞいてみたい。
自然の恵みを味わい、歴史に想いを馳せる…、今秋はオリーブがもたらす豊かさを神戸のあちこちで感じてみてはいかが。
history “神戸阿利襪園” から“神戸オリーブ園” へ
1879(明治12)年
政府が神戸市中央区山本通に日本初の国営オリーブ園、後に「神戸阿利襪園」と改称される試園を開設
1882(明治15)年
日本初のオリーブ油搾油に成功
1888(明治21)年
政府の財政難から「神戸阿利襪園」を前田正名に払下げ
1891(明治24)年
山本通園地を川崎正蔵へ売却
1904(明治37)年
「林山苗木場」でオリーブ園の再興を試みる
1908(明治41)年
「林山苗木場」でのオリーブ栽培を断念
2003(平成15)年
研究者により「神戸阿利襪園」の詳細が解明
2013(平成25)年
「インターナショナルオリーブアカデミー神戸」設立。県や市と連携し、北野界隈のオリーブ植樹。神戸北野ホテルのモニュメント建立(2015)などに尽力
2018(平成30)年
神戸のオリーブ栽培を復活させるため押部谷にオリーブ樹200本を植樹。“神戸オリーブ園復活プロジェクト”が始動
2021(令和3)年
さらにオリーブ樹を200本植樹。オリーブオイルやオリーブの新漬けの販売開始