10月号
KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜
この出会い、一億ボルト。
愛にイナズマ
みんながマスクをつけていた約3年間。マスクで覆わなければならなかったのは、鼻口だけだったのか。本音を隠して周りの様子をうかがって、心も覆っていなかったか。このままでいいのか?諦めるのか? この映画はガンガン問う。
主人公の花子は、何もかもが少しずつうまくいっていない映画監督。まっすぐに努力をするけれど報われず、ついにはどん底に。けれど、突然の出会いという奇跡だけは掴んで離さなかったことから、痛快な反撃の物語が始まる。
コロナ後となった“今”を、“今”、描いておきたいと声を上げた石井裕也監督。監督による熱き脚本に賛同した製作陣、俳優陣のエネルギーに、笑い、考え、しんみりし、また笑う。エレファントカシマシのまっすぐな歌が最後にガツンとくる。“まっすぐ”に敵うものはないと信じたい。
text.田中奈都子
『愛にイナズマ』(2023年 日本 2時間20分)
監督・脚本:石井裕也
出演:松岡茉優 窪田正孝
池松壮亮 若葉竜也
佐藤浩市
主題歌:「ココロのままに」エレファントカシマシ(ポニーキャニオン)
制作プロダクション: RIKIプロジェクト
配給:東京テアトル
シネ・リーブル神戸にて10月27日(金)より上映。
上映スケジュールはコチラ▼
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/
© 2023「愛にイナズマ」製作委員会
市民の権利を守るため奮闘する、女性だけのメディア
燃えあがる女性記者たち
強者を守り、弱者を叩く日本のメディアに強い危機感を覚える今、心から勇気をもらうドキュメンタリーだ。舞台は、家父長制が根強いインド。女性の生き方が制限され、暴力の対象になるだけでなく、カースト制度の最下層、ダリト(不可触民)と呼ばれる人たちは激しい差別を受けてきた。そんなダリト女性たちが立ち上げたメディア「カバル・ラハリヤ(KL)」の活動に密着。主任記者ミーラらメンバーはスマートフォンを片手に、地域のニュースだけでなく、性暴力問題や汚職問題、さらにはヒンドゥー教自警団組織の次期リーダーと大きな危険が伴う相手にも取材を敢行。市民に寄り添い、周囲の偏見に屈することなく、権力側にその声を届けるのだ。個々の事情に向き合いつつ、誇りを胸に励む記者たちから目が離せないはず。
text.江口由美
『燃えあがる女性記者たち』(2021年 インド 93分)
監督:リントゥ・トーマス、スシュミト・ゴーシュ
配給:きろくびと
元町映画館にて10月14日(土)より2週間上映。
上映スケジュールはコチラ▼
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