9月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|襖編|Vol.5
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
上張り
前回に続いて襖の製造工程をご紹介します。今回の工程は建具職人による仕事になります。
襖の下地はまず、再度寸法を計測して微調整。必要に応じて裁断し直角に加工します。
続いて引手の位置に穴を空けていきます。下地骨の引手板の部分に、引手のパーツがぴたりと、はまるよう慎重に穴の形を整えます。引手の素材や形はさまざまで、デザインひとつで襖の印象はガラリと変わります。
次に上張りに使う襖紙を、襖よりも糊代の分だけ大きめにカット。襖紙の素材は紙、布、ビニールなど様々ですが、風合いの良い和紙が人気です。
下張りと上張りの間に、もう1層紙を張ります。これは受け紙といい、下地と襖紙が直接触れないようにして空気の層をつくり、断熱性を高めるとともに、湿気を吸収し襖紙をヨレにくくする働きがあります。
襖紙は霧吹きで水を吹きかけ、サイズを一回り大きくします。糊付けは、下地に接する四周の糊代にしっかりと。さらに受け紙が触れる部分に、薄いでんぷん糊を万遍なく塗って、ここに受け紙が少し重なるように乗せ、重ね代の浮いた部分に下地を留める糊を付けます。
そして受け紙の面が下地に接するように乗せて機械にセットし、上張りの紙を圧着しながら四周を巻き込んでいきます。襖紙は乾燥・収縮してピンと張った状態になります。
最後に縁と引手を取り付けます。引手を留める釘は触れる際に指が当たらないよう、上下方向に特殊な工具で打ち付けます。これで襖の完成です。
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