8月号
harmony(はーもにぃ) Vol.54 ウクライナ避難民に 思うこと (上)
ロシアがウクライナに侵攻し、戦争を始めてからウクライナから戦火を逃れて隣国などへ逃れた避難民は800万人を超え、遠く離れた日本にも1000人あまりのウクライナからの避難民が緊急避難してきています。
彼らを受け入れる日本政府や日本人の支援の仕方は、これまでに迫害を逃れて来日した人たちとは大きく異なります。ウクライナ人の受け入れは「避難民」であり、「難民」ではない、という点も異なる一つかも知れません。
難民と避難民は、何らかの理由により自宅を離れて避難生活を余儀なくされている人たちのことであり、国境を越えるか越えないかで名称が異なります。難民は、人種、宗教、国籍、紛争、人権侵害といった迫害から逃れるために国外に逃れた人々のことです。
避難民は、正式には国内避難民といい、人種、宗教、国籍、紛争等により、安全確保のため自宅を離れ、国内に留まりながら移動している人々のことです。自国政府は国内避難民を保護する義務があり、政府が迫害を行っている、保護する理由がない等の理由で、国境を越えて他国に逃れてくる人々も出てきます。この時点で「難民」と名称が変わるのです。
避難民にしろ、難民にしろ、いのちの危険にさらされているためやむを得ず、自国を逃れて日本に来た状況に変わりはありません。なのに、ウクライナ人は「避難民」という特例措置で迅速に対応し、他の国々から逃れてきたひとたちとはなぜ扱いが異なるのか、疑問に感じている人も多いと思われます。
例えば、昨年8月、武装勢力タリバンがアフガニスタン全土を制圧したとき、日本政府のために働き、通訳として日本人の活動に協力してきた人たち、日本政府が国費で留学させた元留学生達は日本との関わりの故に迫害される状況がありますが、退避するための日本のビザがなかなか発給されません。外務省からは来日したときの滞在中の生活費の支払い能力、身元保証人も求められるため、アフガニスタンを出国できるまで命を奪われないために毎日のように居場所を変えているそうです。
(次号へ続く)
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