9月号
地域社会や世界に対して活力を与える存在になろう
国際ロータリー第2680地区 2018‐19年度ガバナー
矢野 宗司 さん
ロータリアンとして精力的に活動し、第2680地区ガバナーとして新しいことにも積極的に取り組む矢野宗司さん。ロータリークラブの活動や今後の展望についてお話を伺った。
「ひょうご五国+ワールドフェスタ」で兵庫県に活力を!
―国際ロータリー(RI)の現在に至るまでの経緯をご紹介ください。
ロータリーはアメリカ合衆国シカゴでポール・ハリスを中心に4名の集まりから始まりました。会員が増えていく中で、ロータリーの目的は親睦か奉仕かという論争が起き、最終的にポール・ハリスは「奉仕の理念がなければロータリーはシカゴだけに留まってしまう」と考えます。この考えが基となり、わずか4人で始まったロータリーの活動は、今では約200以上の国と地域に広がり、現在、会員数は約123万人にのぼります。ロータリーが唱える奉仕の理念が世界的な規模で広がり、RIの設立につながったのです。私もソウル、アトランタ、トロントの国際大会に参加しましたが、世界各地からさまざまな民族衣装を身にまとったロータリアンたちが集まります。人種や民族による差別や国家の壁もなく、ロータリアンみんながつながろうとしているのがよく分かります。
―バリー・ラシンRI会長が掲げる「BE THE INSPIRATION」とは。
「インスピレーションになろう」。このテーマを初めて聞いたときはどう捉えたらいいのだろうか、戸惑いがありました。「INSPIRATION」の動詞である「INSPIRE」は鼓舞する、精神を高揚させるというニュアンスですから、前進への活力になろうという意味があると考えました。我々ロータリアンがみんなを鼓舞し、前進への活力となる存在になろうという意味だと捉えています。つまり、ロータリーは地域社会や世界に対して前に進む活力を与える存在になろうということを唱えられたのだと解釈しました。その延長上で、地域に活力を与えることを目的として、本年度は「ロータリーデー」を開催しようと提唱しています。RIや第2680地区の活動をもっと広く知ってもらうことでインスピレーションをもたらす存在になることを目指しています。
―今年のロータリーデーは特別な企画を用意しているのですね。
11月3日、4日に神戸メリケンパークで「ロータリーデー ひょうご五国+ワールドフェスタ」を開催します。これは兵庫県政150周年記念特認事業の一環として開催するものです。井戸敏三・兵庫県知事に開催をご相談しましたところ、とても良い企画だと応援いただき、助成金もいただくことになりました。日頃からロータリーが地域に貢献していることを評価いただいたものと嬉しく思っています。あえて「第1回」としていないのは、あくまでも今年は県政150年の記念ですから、来年以降はその年のガバナーにお任せするつもりです。準備段階からもとても大変ですから、毎年の開催を強いて大きな負担をかけることがあってはならないと考えています。
―内容をご紹介ください。
会場は「地球のために」「未来のために」「平和のために」をテーマに、3ゾーンに分けられています。12~18歳の中・高校生でつくるインターアクトクラブ、18~30歳までの青年男女でつくるローターアクトクラブなどの活動を紹介します。ステージでは、3日には高校のブラスバンド部、4日はダンスやパフォーマンスを披露します。兵庫県「五国」の各地域から名産品も持って来ていただき、神戸からは世界の各国料理を提供するブースを出店予定です。
若い人たち、女性にも力になってもらおう
―第2680地区73クラブへの公式訪問は順調に進んでいますか。
地区内の各クラブを訪問することをとても楽しみにしていました。例年は12月までに全クラブを訪問しますが、今年は10月中に訪問を終えることを目標にしています。
―印象に残っているクラブはありますか。
神戸西神ロータリークラブは活気があり、前向きに変革を目指しています。バリー・ラシン会長は、「ロータリーがどういう活動をしているのかを知らない、また知ろうとしないロータリアンが多すぎる」と話しています。ホームページ「My Rotary(マイロータリー)」で活動の内容や今の動きなどを動画も交えて詳しく紹介していますが、ここに登録しているロータリアンは県内で30%程度です。ところが神戸西神では100%。個々のクラブの「つながろう」という意識が強くなれば、ロータリアン一人ひとりの絆はさらに強くなり、地域社会や日本国内はもちろん、さらには世界の平和に貢献していくことができると信じています。
―日本のロータリーはまだまだ男性社会というイメージですね。
世界で見ると会員の20・7%が女性ですが、日本では6・6%とまだまだ少ないです。しかし、昨年の当地区での会員増のうち、29%が女性です。女性の割合が年々増加してきています。ロータリーで奉仕活動に携わりたいという女性にどんどん入って来てほしいと思っています。日本の社会では極端な変化は難しいですから焦らずゆっくりと進めていくことが大切だと思います。現在、全国で女性ガバナーは一人だけですが、これからは徐々に増えてくるでしょう。女性が核になって活躍してくれる機会がますます増えると期待しています。
地区同士の交流と情報交換で刺激を受け改革につなげる
―他の地区と交流し、地区を越えた活動も目指しておられるのですね。
私がノミニー時代から近畿4地区で集まり、資料やデータを持ち寄って情報交換をしていました。そこで分かったことは、地区によってやっていることが全く違うということ。こういった会合を委員長にまで広げたら、もっと刺激を受けるだろうと考え、6月に第1回目の合同委員長会議を実施しました。約100人が参加する非常に活気のある集まりになりました。今のところ、唯一「RYLA(ライラ)」が第2670地区と合同ですが、他にも合同での活動が増えてくると思います。
また、お互いに良いところをヒントにして取り入れるのもいいでしょう。当地区では社会奉仕委員会がアンケート調査を行っていますが、この内容がとても良いということで取り入れたいと問い合わせをもらっています。他地区が実施している良い方法はどんどん取り入れようと思っています。例えば、青少年の交流活動で、毎年20人を受け入れている地区があります。10年たてばOBが200人。すると将来、彼等がこの活動の中心になってくれる日がきます。当地区でもその土台づくりを始めようと、今年は交換生の人数を増やしました。
―若い人に対するロータリーの果たす役割は。
若い人たちにいろいろなチャンスを与えることがロータリーの役目だと思っています。それに挑戦した若い人たちは必ず変化します。8月1日からタイへインターアクトの高校生が水支援の活動に出かけています。すごく良い経験をして帰って来るでしょう。3年前に私も同行しましたが、その様子がよく分かります。子どもたちは未来への扉を開きます。
ロータリーの活動が私を楽しく幸せな気持ちにしてくれる
―加古川中央ロータリークラブ入会のきっかけは。
単純に、加古川青年会議所の先輩に誘われて「はい、喜んで!」と(笑)。嬉しかったのは、自分をロータリアンとして認めてもらえたということと、当時は一業種につき一会員の入会しか認められませんでしたから、自分の業界で一人前だと認めてもらえたということ。奮い立ちました。それなのに忙しくて、なかなか例会にも出席できずにいると、推薦した先輩が、「こんなことなら推薦した私にも責任があるから2人でロータリーを辞めよう」と。これはちょっとこたえました。それからは、北海道にいようが東京にいようが、例会参加のためにとんぼ返りして頑張りました。
―加古川中央の主な活動は。
青少年育成に力を入れています。40周年時にミャンマーに小学校を建てました。教室ひとつだけの小さな学校ですが、これがないと子どもたちは2時間かけて通わなくてはならず、だんだん学校から遠ざかってしまいます。建てっぱなしはいけないと毎年出かけて要望を聞き、2年目には雨季の時期、浸水して使用が困難になるトイレへの通路を整備し、3年目には先生方の宿舎をつくりました。子どもたちの笑顔がすばらしい!支援に行くというより、私たちが幸せな気持ちになります。
―ガバナー月信の中にあるモットー「知好楽」とは。
私は今、公式訪問をはじめ、毎日ロータリーの活動で忙しくしています。周りからは、「大変ですね」と言われるのですが、むしろ私は楽しいんです。いろいろなクラブに行き、それぞれ特色のある例会を経験し、各クラブの会長やメンバーたちと情報を交換し、「こんなことをやっているんだ」と新しいことを知ることができる。何事も楽しんでやらなくては!
―前ガバナーの瀧川好庸さんから教えられたことは。
瀧川ガバナーはいつもニコニコ穏やかな方ですが、芯はとても強い方です。自分が決めた改革はきっちり実行されています。ガバナー事務所とエレクト事務所をひとつにする、月信に広告を入れるなど、今になって思えばいろいろあります。中でも地区運営会議を新設し、ガバナー、エレクト、ノミニー、代表幹事、8名で地区運営をしていきましょうという方針を示しました。今までの単年度のガバナーがそれぞれの個性を出していくという考えも大切ですが、ロータリーの活動の継続性をつくっていくという意味では大きな改革だった思います。
―ロータリー活動のすばらしいところは。
地域社会での奉仕から始まり、世界的な活動まで広範囲にわたっているということです。さまざまな業種、さまざまな能力をもったロータリアンが世界中にいて、大きなネットワークがあります。今後はマイロータリーで情報発信がより活発化すると思います。世界中のどこで何があろうと情報が発信され、すぐに協力支援活動の声が上がります。これは他の民間団体にはないことだと思っています。
―ロータリーの世界規模のすばらしい活動を広く知ってもらえるように私たちも応援させていただきます。本日はお忙しいところありがとうございました。
矢野 宗司(やの むねよし)
大阪大学人間科学部卒業。(株)加古川塾 学習塾経営。(株)ファーストアロー 不動産賃貸業経営
【ロータリー歴】
加古川中央ロータリークラブ、幹事、会長 ・ 地区社会奉仕委員長、地区戦略計画副委員長、
地区ロータリー財団副委員長、補助金小委員長 ・ 東播第2グループガバナー補佐
ロータリー財団メジャードナー、米山功労者メジャードナー
国際ロータリー第2680地区2018-19年度ガバナー