9月号
小さないのちを守る最も良い方法を一緒に考えましょう|小さないのちのドア
誰にも相談できずに困っている人の力になり、小さないのちと、お母さんも守りたい。そんな思いで、神戸市北区ひよどり台に「小さないのちのドア」が開設された。
ーマナ助産院についてご紹介ください。
1993年に開業以来25年、2千人以上の赤ちゃんが誕生しています。体を固定することなくフリ―スタイルで産むアクティブバースで安全を確保しつつ、お母さんの気もちを大切にするお産を目指しています。赤ちゃんを産んだ満足感や自己肯定感を持つことが育児への力になります。親子の良い関係性を築くことへとつなげていってほしいという思いを持っています。
ー「いのち語り隊」の活動とは?
2001年から、子どもたちや若い人たち、学校の先生方などを対象に、7人ほどの講師と協力いただくお母さん方20人ほどで、性といのちに関する講演活動を始めました。昨年は阪神間を中心に約150回実施しました。性教育と同時にいのちの大切さを話すことで効果的な性教育ができると思っています。
ー痛ましい事件を耳にすることが多くなりました。若い人たちの現状はどういうものなのですか。
実は、報道されている以外にも遺棄されたいのちの事件はたくさんあるんです。10代、20代の人たちの人工妊娠中絶が年間約10万件弱、恐らく実際にはそれ以上、1日に約500件行われています。自分にとって不都合なものは排除する。これが日本の現状です。さらに、若者の性感染症も増加の一途を辿っています。
ーそういった現状を目の当たりにして、何とかしたいという思いで赤ちゃんポストに手を挙げられたのですか。
「こうのとりのゆりかごin関西」からお話を頂き、いのちに関わることですからお断りするわけにはいかないと…。24時間対応しなくてはならない大変な仕事です。常勤医師が必要ということでその準備をしましたが、常駐でなくてはならない。これはもう助産院ではとても現実的ではないと判断しました。そこですぐ発想を転換し、私たちにできるのは「小さないのちのドア」だと考えました。赤ちゃんを置いて寂しく去っていくのではなく、赤ちゃんを連れてドアを開けてくれたら、私たちは「いのちを守って、よくここまで来てくれたね」と声をかけることができ、「大丈夫、この赤ちゃんは幸せになれるからね」と言ってあげることができます。そこから一人ひとりに合わせたケアができます。
ーどういう方針でケアされるのですか。
4年前から神戸市の助成金を得て生後4カ月までの赤ちゃんを持つお母さんを対象に産後ケアをしているのですが、そこへ育児で疲れ果てふらふらになったお母さんがやって来ます。「よく頑張ってるね」「お母さんにお世話をしてもらって赤ちゃんが幸せそうな顔をしてるよ」と言ってあげるだけでもお母さんはとても嬉しそうな顔になります。「育てられません」と言って「小さないのちのドア」を開けるお母さんにも声をかけ、ちょっと休ませてあげたら元気になってもらえるかもしれません。しばらく乳児院で預かってもらったら育てられるようになるかもしれません。どうしても無理ならば、特別養子縁組という方法を取るのもいいかもしれません。産みのお母さんが決して寂しい思い、後ろめたい思いをしないケアを「小さないのちのドア」ならできると思っています。
ー発想を転換して結果的には良かったですね。
そうですね。もうひとつ良いところは、妊娠中から相談を受けられることです。保険証も費用もいりません。来てくれたら、エコー検査もできますから、赤ちゃんがどんな状態にあるのか危険はないかなどアドバイスができます。親御さんとの調整もできますし、必要に応じてその段階からの特別養子縁組手続きもできます。一人で悩まず、ぜひドアを開けてください。
ー小さないのちを守る素晴らしいドアが開設されるのですね。一人でも多くの人に知ってもらえるように私たちも協力させていただきます。
♪ママとベビーの幸せのために!
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マナ助産院
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