8月号
体験しながら楽しく学ぶ「HANSHIN健康メッセ2018」8月24日(金)~26日(日)に開催
国立大学法人神戸大学、学校法人兵庫医科大学、阪神電気鉄道株式会社が毎年夏休みに開催している「HANSHIN健康メッセ」も今年で第3回目を迎え、医療や健康について知識を得るだけでなく、体験できるイベントとして年々人気が高まっている。「ブラッシュアップしながらここまできました」と話す実行委員長の杉村和朗先生(神戸大学 理事・副学長)、副委員長の難波光義先生(兵庫医科大学病院 病院長)にお聞きしました。
今年も「なるほど医学体験!HANSHIN健康メッセ」が8月24~26日に開催される。このイベントは、神戸大学と兵庫医科大学、阪神電鉄が協力して、最先端の医療を体験も交えて紹介し、健康情報を発信しようという目的で毎年夏休み期間に開催され、今年で3回目を迎えた。知識を得るだけでなく、医療現場を実際に見たり、触れたりできるとあって、年々人気が高まっている。
超音波検査やカテーテル治療を実際の機器を使って体験したり、顕微鏡でミクロの世界を覗いてみたり、子どもたちはもちろん、大人にとっても興味深いブースを今年も両大学が開設する。体力測定や健康チェックは中高年やシニア層に人気のコーナー。食や運動、日頃の生活改善など、大人から子どもまでみんなに役立つ健康情報を伝えるセミナーも約20講座開催予定だ。
―今年で第3回目ですが、前回はどのような状況でしたか。
兵庫医科大学の難波先生と相談しながら手探りの状態で始めたイベントですが、昨年の第2回はそれぞれがテーマを二つずつ出し合いました。2015年に神戸で開催された日本医学会総会の一般公開展示でも好評だった手術支援ロボット「ダヴィンチ」を持ち込んだり、キリン堂さんにブース出展をお願いしました。そのほか体力測定や講演会などを開催し、評判は良かったのですが、事前周知が不十分で「知っていたら行ったのに」というお声を多くいただき、第2回目以降は早めにテーマを決めて告知できるようにし、混雑状況を把握し整理券を配布するなどして改善してきました。今年もとにかく早めに計画を立てて準備してきました。
―どういう年齢層が対象のイベントですか。
子どもたち、保護者、その親など、三世代で参加できるイベントです。夏休み期間に開催し、まず子どもたちに医療や健康について体験しながら学んでもらおうというものです。自由研究の参考にしてもらってもいいですね。これには病理部教授でアイデアマンの伊藤智雄先生が担当する非常におもしろい体験コーナーが貢献してくれています。子どもさんだけでなく、親御さんも一緒に楽しんでいらっしゃるようです。体力測定や介護グッズの紹介などもあり、一緒に来られたおじいちゃん、おばあちゃんにも楽しんでいただいています。
―一昨年のiPS細胞展示は好評でしたね。
医療関係者でも初めて見る人がいるというほど貴重な機会になったようです。iPS細胞を普段と違う環境に持ち出して顕微鏡で観察するのですが、弱ってしまったり、動かなくなったり、いろいろと苦労をしていたようです。
―今年の神戸大学の注目コンテンツは?
伊藤先生の、顕微鏡を使う体験コーナーを今年も開設。何が出てくるかご期待ください。もう一つは、切らずにやさしく治す治療法IVRです。兵庫医科大学さんと一緒にブースを開設し、実際の機器を使ってデモンストレーションも実施予定です。
―今後も続けていく予定ですか。
参加者に喜んでいただき、多くの皆さんに来ていただける限り、続けていきたいと思っています。会場が神戸からは遠く、阪神間の東の端の大阪ということがちょっと残念なのですが、駅からのアクセスが良いので、足を運んでいただけたらと思います。
HANSHIN健康メッセ実行委員会 委員長
神戸大学理事・副学長
杉村 和朗さん
―第1回、2回ともに大盛況でしたね。
思った以上にたくさんの来場者がありましたね。〝体験〟というキャッチフレーズが良かったのかもしれません。医療のプロから教えてもらえる上に、話を聞くだけでなく体験もできるというのが子どもたちにとっては楽しいのでしょう。第2回目からは誘い合ってお越しになる方もいらっしゃったようです。
―今回、兵庫医科大学はどのような内容を出展するのですか?
杉村先生と相談し補完しながら、各分野の先生方にお願いして楽しく学べる体験型の展示やイベントを計画しています。オープンフォーラムのセミナーには今年も兵庫医科大学皮膚科准教授の夏秋優先生が登場します。虫に刺された患者さんの治療が専門なのですが、子どもたちからは〝虫の先生〟と呼ばれ、大人気です。小児科が専門の名誉教授、服部益治先生には、夏の子どもたちの健康管理の話をしてもらう予定です。また、超音波で探しながら熱でがん細胞を焼いてしまう治療法や実際のエコー検査と同じ要領で物や体を覗いてみるなど、超音波検査法の進歩を反映した診断や治療を、サンプルを使って説明し、体験をしてもらうブースを開設します。
―夏休み期間中の開催ですが、来場する子どもたちにどんなことを伝えたいですか。
子どもは電車の運転手さんやサッカー選手を見て、「将来はあんな仕事をしたい」と思うものです。話を聞くだけでは実感を持てません。医療や介護のことを見て、触って、体験して、興味を持ってもらえたらいいですね。そして将来は、神戸大学はもちろん、兵庫医科大学や兵庫医療大学に来て、現場に携わる仕事に就いてほしいと思っています。
―第3回開催に向けての意気込みをお聞かせください。
本イベントは、我々医師が病院の殻に閉じこもって「患者さんが来たら診る」というスタンスではなく、病気の予防や早期発見の役に立つような社会貢献を果たす目的で主催しています。また同時に、来場客とのコミュニケーションを通じて、「患者さんに治療目的やリスクなどをどのように説明するのか」を体験させるための場としても意義あるイベントだと考えています。それぞれに状況や考え方が違う患者さん一人一人の目線に立つためのトレーニングの場にもしたいと思い、あえて参加スタッフを一部交代させるようにしています。
―今後については?
今の時代、医療と介護は切り離せません。子どもたちが見て、体験して、親御さんと一緒におじいちゃんやおばあちゃんの介護のことも考えるきっかけになるような展示も増やしていければいいのかなと考えています。
HANSHIN健康メッセ実行委員会 副委員長
兵庫医科大学病院病院長
難波 光義さん
阪神間で質の高い医療を提供する2つの大学と沿線活性化に取り組む鉄道会社が連携しブラッシュアップしながら3回目を迎えたHANSHIN健康メッセ。夏休みの子どもたちにとっては体験しながら楽しく将来の夢に向けてのヒントも得られそうなイベントとして、地域住民にとっては健康について情報満載のイベントとして、今年も期待できそうだ。