2026年
11月号
11月号

奥左=蓬莱石兼亀石組、右=鶴石組、手前左=新たに据えられた亀石組、右=仏手水鉢
美しきかな ひょうごの文化財|第二十三回|三身山を借景に作庭された枯山水の書院前庭|名勝 太山寺 安養院庭園
神戸市西区の伊川沿い、六甲山系西端の麓に位置する天台宗太山寺。奈良時代の創建とされ、最盛期には塔頭寺院が四十一院坊存在し、六甲山から流れ落ちる花崗岩を運び込み、書院前庭が造られたといわれている。現在残る五院坊(一院は敷地のみ)のうち国指定名勝「安養院庭園」(1980〈昭和55〉年指定)は毎年2回、春と秋に一般公開されており、低く設定された庭園の塀越しに、書院縁側から三身山の原生林を借景とする約235平方メートルの庭園を一望できる。
作庭の時期や作者を明らかにする史料は散逸しており特定はできないが、作庭様式や石組手法には桃山時代の特徴が見受けられる。古来中国大陸から伝わった「大海の彼方の蓬莱島には不老不死の仙人が住む」という蓬莱神仙思想を基本として、正面には花崗岩の巨石「蓬莱石」が置かれ、その右側の立石と合わせて亀石組が構成されている。右手の円錐形立石は鶴の羽を表現した鶴石組、手前には石橋、その下に、かつて深く掘り下げ神仙が住む洞窟を表現したといわれる洞窟石組が残る。縁側前には仏様の指先から水が滴り落ちる仏手水鉢が配置され、江戸末期には、仏教思想に基づき新たな亀石組が据えられ、亀の頭が安養院入口の方角に向けられている。
現在の書院は江戸時代中期築の茅葺民家2棟を北区から移築して連結したもので、茅を燻す囲炉裏や合掌造りの屋根裏など、書院内を歩くと当時の大規模農家の雰囲気も体感できる。

奥左=蓬莱石兼亀石組、右=鶴石組、手前左=新たに据えられた亀石組、右=仏手水鉢

秋の安養院

洞窟石組

書院から見る庭園
太山寺 安養院
神戸市西区伊川谷前開258
TEL.078-974-0408
太山寺 安養院庭園
秋季一般公開
11月24日(火)~30日(月)、
拝観料300円、
事前申し込み不要












